2021.12.20 生保各社21年度第2四半期(上半期)決算 新契約保険料は32%増、21社が基礎利益で増益
生保各社の2021年度第2四半期(上半期)決算を見ると、個人保険・個人年金保険計の新契約年換算保険料は全体で前年同期比32.5%増の8873億円を計上した(生保協会集計)。ただし、コロナ禍以前の19年同期との対比では、全体で13.3%減となっており、いまだ回復には至っていない。半数近くの会社がキャピタル損益で前年同期を上回り、21社が基礎利益で増益をみせている一方、18社で経常利益が前年同期を下回った。(4~6面に生保協会会員各社の業績詳細を掲載)
日本生命グループの連結業績は保険料等収入、基礎利益ともに前年同期比で増収・増益となった。コロナ禍で大幅に減少していた反動を受けたことや、国内外の企業業績回復による株式配当金および投資分配金の増加などが主因。連結保険料等収入は同8.4%増の2兆7217億円。国内における保険料等収入は、コロナ禍で大幅に減少していた反動を受けて増収した。対19年4~9月では、海外金利が19年度の水準と比較して低位で推移したため、外貨建保険の販売減少に伴う銀行窓販チャネル等の減少によりマイナスとなった。日本生命の新契約年換算保険料は同56.6%増の1157億円、大樹生命は同62.4%増の121億円。基礎利益の合計は、同20.6%増の4125億円。日本生命では利差益の増加により増益、大樹生命は保険関係損益の増加により増益。業績見通しは、20年決算報告時の減収・減益から増収・増益に見通しを変更した。
かんぽ生命の連結業績では、保有契約の減少等に伴い保険関係損益が減少したため基礎利益が減少したものの、キャピタル損益の改善等により、経常利益は前年同期比13.0%増の1838億円、中間純利益はキャピタル損益が価格変動準備金と相殺されることなどから同14.0%減の805億円となった。新契約年換算保険料は同52.2%増の229億円。かんぽ生命の単体ベースで基礎利益は同93億円減少して2172億円、中間純利益は同133億円減の799億円となった。
明治安田生命グループの連結保険料は、明治安田生命単体で一時払保険の販売量増加を主な要因に前年同期比3.0%増の1兆3839億円となった。そのうち海外保険事業等は同4.7%増の1751億円と増収。グループ基礎利益は同9.1%減の2845億円となり減益となったものの、引き続き高い収益性を確保した。明治安田生命単体の新契約年換算保険料は、同26.3%増の517億円。基礎利益は同5.7%減の2682億円、中間純剰余は同24.5%減の927億円。21年度の業績見通しは、グループ基礎利益はコロナ禍が継続する状況下において減益となるものの、引き続き5000億円台の水準を維持するとの見通しを示した。
第一生命ホールディングスのグループ修正利益は前年同期比86%増と大幅な増益を確保し、連結純利益は同114.2%増の1784億円となった。グループ全体の新契約年換算保険料は同77.3%増の1524億円。前々年同期比では1.9%増。国内3社(第一生命、第一フロンティア生命、ネオファースト生命)計の新契約年換算保険料は、第一生命の医療保険新商品や第一フロンティア生命の外貨建資産形成商品、ネオファースト生命の医療保険の商品改定等が寄与し、同96.7%増の1040億円となった。第一生命の保険料等収入は同1%増の1兆983億円、中間純利益は同421億円増の934億円だった。基礎利益は順ざやの増加を主因に同6%増の2450億円。21年度業績予想は、グループ修正利益は従来予想(2400億円程度)から2700億円程度に増加する見込みとの見通しを示した。
住友生命グループの新契約年換算保険料は前年同期比16.0%増の1131億円、連結基礎利益は同6.4%減の1840億円となった。“住友生命「Vitality」”は18年7月の発売から累計で約90万件を達成し、21年度上半期には約20万件と半期としては過去最高実績を記録した。保険料等収入は同1.0%増の1兆1788億円。そのうち住友生命は0.1%減の1兆0525億円。住友生命グループの基礎利益は、同6.4%減の1840億円。
ソニーグループの生命保険事業で、経常利益は、新型コロナウイルス対策関連費用の減少や有価証券売却益の計上、変額保険等の市況の変動に伴う損益の改善などがあったものの、21年4月の年金事業統合に伴う出再保険契約の解約で生じた危険準備金328億円の積立を第1四半期に一括で行ったことにより、前年同期比33.7%減の187億円となった。ソニー生命の新契約年換算保険料は同82.1%増の523億円、保険料等収入は同20.2%増の6888億円。基礎利益は同0.8%減の682億円、中間純利益は▲42億円となった。
メットライフ生命の保険料等収入は8849億円で前年同期比18.2%増、中間純利益は632億円で同40.6%増と増収増益だった。基礎利益は同28.9%増の992億円。新契約年換算保険料は同41.7%増の429億円だった。
アフラックの保険料等収入は6633億円で前年同期比3.6%減となった一方、基礎利益は同11.6%増の1891億円となった。新契約年換算保険料は同17.2%増の240億円だった。
プルデンシャル・グループの連結保険料等収入は前年同期比12.4%増の1兆1591億円、中間純利益は同26.6%増の631億円。生命保険会社3社(プルデンシャル生命、ジブラルタ生命、PGF生命)合算の基礎利益は同1.6%減の909億円。同新契約年換算保険料は同4.1%減少し618億円だった。プルデンシャル生命の保険料等収入は同4.7%増の4984億円、基礎利益は同25.7%減の232億円、新契約年換算保険料は同10.8%減の309億円。ジブラルタ生命の保険料等収入は同27.3%増の5573億円、基礎利益は同1.6%増の621億円、新契約年換算保険料は同10.1%増の257億円。
T&D保険グループの中間純利益は、前年同期比73.1%減の309億円。ただし、国内生命保険事業(太陽生命・大同生命・T&Dフィナンシャル生命)の中間純利益は同100.7%増と伸展した。グループ修正利益は国内生命保険事業が堅調に推移したことで計画を上回って進捗し、同65.5%増の557億円となった。同社では主に運用収支が好調だったこと等から、通期連結業績予想を上方修正した。中核生保3社合算の基礎利益は同20.6%増の930億円で、同新契約年換算保険料は同26.7%増の613億円となった。太陽生命の保険料等収入は同5.0%増の3228億円、新契約年換算保険料は同17.9%増の172億円、基礎利益は同1.6%減の287億円。大同生命の保険料等収入は同0.2%増の3931億円、新契約年換算保険料は同32.7%増の311億円、基礎利益は同37.3%増の673億円だった。
アクサ生命は、保険料等収入は前年同期比16.6%増の3578億円だった。新契約年換算保険料は同51.1%増の395億円となった。基礎利益は同94.5%増の433億円、中間純利益は同152.5%増の234億円。