2021.10.21 東京海上日動 オペリスク損失に賠償責任保険、投資運用事業者向けに販売開始

東京海上日動は10月から、投資運用事業者が抱える多種多様なオペレーショナルリスク(以下、オペリスク)を幅広く補償する賠償責任保険の販売を開始した。投資運用事業者がオペリスクにより第三者に損失を与えた際の賠償責任に備えることができる商品で、本保険の販売を通じて、国内における開かれた国際金融センターの実現に向けた取り組みを支援する。

 世界的に低金利環境が長期化する中、より高い利回りの金融商品への投資が加速している。また、近年では個人投資家による投資が拡大し、投資運用事業者の事業展開も活発だ。このような環境下、政府は海外の投資運用事業者や高度外国人材を呼び込み、日本を金融取引のハブにする国際金融センター構想を実現するための規制緩和や税制改正を進めている。
 投資運用事業者は、市場リスク、信用リスク等に加え、オペリスクを抱えており、投資の拡大とともに、金融手法が高度化・複雑化したことにより投資運用事業者のオペリスクは増加し、投資家への予期せぬ損失や金融システムへの深刻な影響が生じる可能性が高まっている。そこで、東京海上日動では、投資運用事業者が抱える多種多様なオペリスクを幅広く補償する賠償責任保険の販売を開始したもの。
 本保険は、アセットマネジメント、ベンチャーキャピタル、プライベートエクイティ、不動産投資信託等の幅広い種類の投資運用事業者(これらが運用する投資ファンドを含む)とその役員・従業員を被保険者とする。
 投資基準の逸脱、デューデリジェンスの不備、金融商品の設計誤り、不適切な募集文書の使用、顧客に対する金融商品・投資スキームの説明誤り等による事務リスク、サイバー攻撃やシステム不具合により取引が停止するシステムリスク等が顕在化した等のオペリスクに対し、顧客等の第三者に損失が生じたことに起因して、被保険者が損害賠償請求を提起された場合の法律上の損害賠償金や争訟費用を補償する。
 また、法や規制に抵触するまたはそのおそれがある事象等が生じ、公的機関から調査を受けた場合に、被保険者が支出した調査への対応費用(弁護士費用等)を補償する特約を任意付帯できる。
 本保険で補償するオペリスクは、市場リスク、信用リスク、取引先リスク、流動性リスク以外のすべてのリスクを指し、事務、システム、規制・制度変更、レピュテーション、コンダクト、法務、人的、情報などさまざまな分野にまたがる。補償されない市場リスクは、「金利、為替、株式、債券等の市場価格の変動により、保有資産の評価額が変動するリスク」、同信用リスクは、「投資対象の債務者の財務状況が悪化することにより、債権の回収ができない状態に陥るリスク」、同取引先リスクは、「取引の相手方が破綻し、契約不履行に陥るリスク」、同流動性リスクは、「株式、債券等を現金化したい時にできない、またはできたとしても著しい損失が生じるリスク」としている。