2020.10.07 ■SOMPOグループ サステナビリティへの取り組みを強化、「ESGアンダーライティング」導入[2020年]
SOMPOグループはこのほど、気候変動や生物多様性の喪失といった地球環境問題や人権尊重に関わるグループの取り組みをより一層進め、ステークホルダーとのパートナーシップによって持続可能な社会の実現に貢献するために、サステナビリティへの取り組みを強化することを表明した。取り組みの一つとして、グループ傘下の損保ジャパンは、9月から保険引受判断に「ESGアンダーライティング」を導入、本年12月から石炭火力の保険引受・投融資制限を行う。
SOMPOホールディングスは本年4月に、従来のグループCSR推進本部会議を、グループCOOを議長とする「サステナビリティ・CSR協議会」に組織改編し、サステナビリティに関するグループの推進体制を強化した。
同グループは、長年にわたり市民社会、地域社会、行政、他企業等とのパートナーシップによって社会的課題の解決に取り組んでおり、「サステナビリティ・CSR協議会」の傘下に設置した「ESG/サステナビリティ」「CSR推進」の二つのワーキンググループでは、市民社会(NGO等)、専門家、有識者等との対話を実施し、気候変動や生物多様性等の地球環境問題や人権保護等に対するステークホルダーからの期待や要請を的確に把握し、保険引受・投融資を含む各事業の運営に生かしていく。
損保ジャパンの「ESGアンダーライティング」については、従来の引受リスク判断に加え、同社のCSR部門が、地球温暖化など環境への悪影響、児童労働などの人権侵害の可能性をESGリスクのチェックリストに照らして審査する。ESGリスクのチェックリストの対象となる案件はNGOなどと連携し、損保ジャパンがSOMPOリスクマネジメントと情報連携を行う。ESGリスクの可能性がある案件については、商品業務部、CSR部門、営業店で協議の上、該当企業の対策状況なども踏まえた上で引受判断を行うとしている。 パリ協定以降、CO2などの温室効果ガスの排出を削減し、脱炭素社会を目指す取り組みが加速している状況を踏まえ、損保ジャパンは、石炭火力の保険引受・投融資制限を行う。本年12月から、日本国内における石炭火力発電所の新設工事については、省エネルギー法の発電効率基準を満たす高効率案件に限って保険引受・投融資を行うこととする。保険引受制限を行うのは、工事の発注者や受注者が付保する工事関連保険や、付随する運送保険になる。
SOMPOグループでは、「気候変動や生物多様性の喪失といった地球環境問題は、私たちの生活基盤に大きな影響を与える課題であり、多様なステークホルダーによる取り組みを進め解決を図っていく必要がある」「安心・安全・健康に暮らせる社会の実現に当たっては、社会システムやインフラ等のレジリエンスを高めていくことも不可欠」とし、取引先、投資先、地域社会、市民社会との対話や協働といったパートナーシップにより課題解決に向けた対策を講じるとともに、グループが有するノウハウ等を活用し、レジリエントな社会の実現を目指すとしている。
SOMPOグループでは、気候変動に対する取り組みとして、損保ジャパンで太陽光や風力等の再生可能エネルギー事業に対する保険商品・関連サービスの提供を継続し、CO2削減に取り組む企業のイノベーションを積極的にサポートするとともに、スマート社会の構築や防災レジリエンスを高める施策にも積極的に取り組んでいく。
また、すでに保険引受・投融資を行うことを表明している案件を除き、日本国内の石炭火力発電所の新規建設に関する保険引受・投融資は原則として行わないとしている(エネルギー政策等を踏まえた一定以上の発電効率を有する設備については、温室効果ガスの排出削減等の環境負荷軽減対策や代替手段の有無等を確認の上、慎重に検討し対応する場合がある)。
生物多様性の保全に向けた取り組みとしては、地域における保全活動の支援、環境人材育成といった従来の取り組みに加え、ラムサール条約やUNESCO世界遺産条約に登録された自然環境の保護・保全状況の把握に努め、対話・協議を通じて取引先・投資先等へ適切な対応を促していく。
さらに、人権尊重に向けた取り組みとして、誰一人取り残さない人間中心の社会の実現に向け、顧客、取引先をはじめ、事業活動に関連するすべてのステークホルダーの人権に配慮し、人権侵害の危険性を回避、防止するために、ステークホルダーとの対話を強化するとし、取引先等に対しては、国際的な行動規範に基づく人権の尊重を期待するとともに、万一、人権への負の影響が生じる可能性を把握した場合には、対話・協議を行うなど、適切な対応を促していくとしている。