2020.05.29 ■住友生命 19年度(20年3月期)決算、保有契約年換算保険料は微増[2020年5月22日]
住友生命が5月22日に発表した2019年度決算によると、住友生命グループの保有契約年換算保険料は、海外事業(シメトラ)の増加の影響などにより、前年度末比0・9%増の2兆8065億円となった。また、グループ全体の基礎利益は、国内事業は前年同水準、海外事業は増加となり、前年とおおむね同水準となった。
住友生命グループの新契約年換算保険料は前年比3・4%減の2027億円となった。国内事業は一時払終身保険の販売減の影響などにより、同13・4%減の1151億円となり、そのうち住友生命単体は同13・2%減の1097億円、メディケア生命は同15・7%減の53億円となった。一方、海外事業(シメトラ)は企業保険部門などの販売増により、同13・7%増の876億円となった。
保有契約年換算保険料は、海外事業(シメトラ)の増加の影響などにより、グループ全体で2兆8065億円と前年度末比0・9%増加した。住友生命単体では同1・0%減の2兆3025億円、メディケア生命は同8・7%増の415億円、海外事業(シメトラ)は同10・3%増の4624億円となった。
保険料等収入は、前年比6・1%減少して2兆4467億円。そのうち国内事業は、一時払終身保険の販売減少の影響が大きく、同7・2%減少して2兆2646億円だった。海外事業は、保険契約の保有増を主要因に同10・4%増加し、1819億円となった。
基礎利益は国内事業が前年同水準、海外事業が増加となり、グループ全体では3925億円と前年とおおむね同水準となった。住友生命は団体保険の料率改定などの減少要因があった一方で、外国債券の積み増しなどにより運用収支が増加し、同1・5%減の3715億円、メディケア生命は▲75億円、海外事業(シメトラ他)は同2・1%増の339億円だった。
住友生命単体の利息及び配当金等収入は、公社債や貸付金などの利息収入が減少したものの、海外クレジット資産の積み上げ効果などにより、同0・1%増の6394億円と前年並みの水準となった。
連結ソルベンシー・マージン比率は前年度末比45・6ポイント減少したが、870・0%と十分な健全性を維持している。
ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(EEV)は、新契約獲得や保有契約からの収益確保など保険事業のプラスの成果がある一方、国内超長期金利および株価の低下によるマイナスの影響により、同1148億円減少し3兆5841億円となった。
住友生命の19年度決算案に基づく社員配当金は、個人保険・個人年金保険は一部の医療保険を対象に増配とし、団体保険は据え置きとする。団体年金保険は所定の算出方法に基づき配当を割り当て、確定給付企業年金保険(02)等、新企業年金保険で予定利率1・25%(解約控除あり)、0・75%共に責任準備金に対して0・02%を配当、拠出型企業年金保険(02)で予定利率1・25%の責任準備金に対して0・06%を配当する。
住友生命では19年度末までの3カ年にわたって「スミセイ中期経営計画2019」を進めてきた。同計画では「企業価値(EV)」「保有契約年換算保険料」「生前給付保障・医療保障等の保有契約年換算保険料」を計数目標として設定して進めてきたが、18年7月に発売した「住友生命『Vitality』」は40万件を達成するなど好評を得ているものの、金利が当初の想定より低下したことなどを受けて、いずれの計数目標も目標を下回った。
本年度から新たな3カ年計画「スミセイ中期経営計画2022」をスタートしており、同計画では将来にわたって持続的に顧客の役に立つために、社会環境を的確に捉えた上で、「社会になくてはならない保険会社」の実現を目指す。具体的には、①社会に貢献する②社会に信頼される③社会の変化に適応する―の三つを基本方針とし、計数目標として顧客数、保有契約年換算保険料とそのうちの生前給付保障と医療保障など、国内・海外事業における基礎利益を設定し、同計画を進めていく。
なお、同計画は今年3月に策定したもので、新型コロナウイルスによる社会の変化に対し、同社としてどう適応していくのか、社会に対してどのような貢献を果たしていくべきなのかといった視点で修正を検討していくとしている。