2020.06.01 ■フコク生命グループ 19年度末(20年3月)期決算、新契約高・年換算保険料2年連続増[2020年5月22日]

 フコク生命グループが5月22日に発表した2019年度末(20年3月期)決算によると、2社(富国生命、フコクしんらい生命)合算の新契約高は前年度比1・9%増加の1兆6688億円、新契約年換算保険料は前年度比15・6%増加の206億円でどちらも2年連続の増加となり、保険料等収入は前年度比9・1%増加の6299億円となった。2社合算の基礎利益については前年度から減少して826億円となった。個人保険は8年連続で増配を実施することとしている。富国生命単体の利息および配当金等収入は2年連続で過去最高を更新した。

 2社合算の新契約高は前期比1・9%増の1兆6688億円で、新契約年換算保険料も同15・6%増の206億円となった。解約失効高は同2・3%減少、解約失効年換算保険料も同6・9%減少し引き続き改善した。 
 保有契約高は前年度末比1・3%減少し、保有契約高の反転増加に向けて引き続き取り組むとした。保有契約年換算保険料は同1・7%減の5496億円となり、このうち、フコクしんらい生命は同1・2%増の1644億円だった。合算の第三分野の保有契約年換算保険料は同1・4%増の1153億円となった。
 2社合算の保険料等収入は前年度比9・1%増の6299億円で、富国生命は団体年金保険、フコクしんらい生命は一時払い終身保険がそれぞれ増加した。
 フコクしんらい生命の金融機関窓販では、18年10月に「利率更改型一時払終身保険」を発売し、貯蓄性商品の販売実績が大きく伸展。保障性商品の販売件数は前年度比で減少した。
 富国生命単体での資産運用では、19年度は世界的に長期金利が低位で推移したことから内外の公社債への投資を抑制した。株価の下落局面では、安定した配当が見込める株式をリスクを適切にコントロールしつつ積み増した。金融資本市場の変動率が高まった年度終盤には、含み益が大幅に増加した内外の国債を一部売却する一方、割安と判断した内外の社債を購入するなど機動的な資産運用を実践した。利息及び配当金等収入は、残高を積み増した株式の配当金増加などが寄与し、1563億円を計上し2年連続で過去最高を更新した。
 2社合算の基礎利益は、富国生命単体の利息及び配当金等収入が過去最高を更新するなど利差益が増加したが、団体保険の料率引き下げや営業職員数の増加に伴う費用増などにより、前年度から9・5%減少して826億円となった。キャピタル損益は、有価証券売却益が増加し前年度比で50億円増益の4億円。臨時損益は危険準備金や追加責任準備金など内部留保の積増額を計上し▲350億円。経常利益は同8・3%減の488億円となった。
 連結ソルベンシー・マージン比率は、前年度末から95・3ポイント上昇し、1331・7%と引き続き高い水準を維持した。
 富国生命単体の自己資本比率の長期推移と内訳については、経常利益による内部留保の積み上げを第一義とし、適時外部調達を行うことで自己資本を強化。19年度は基金120億円の追加募集を行うなど424億円の自己資本を積み増した。
 社員配当金案では、個人保険については8年連続の増配を実施する。具体的には、05年度決算から実施している入院給付金の支払いがない医療保険契約に対する配当(健康配当)を増配する。さらに、14年度決算において復活させた満期時の特別配当について、これまでの死亡保障契約に追加し、入院給付金の支払いがないまま満期を迎える医療保険契約も新たに対象とする。医療保険の配当総額は、これらの増配により3億円増加して36億円となり、増配対象契約は106万件に上る。
 同社は、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大により契約者の家計が影響を受ける中、増配を行うことで実質的な保険料負担を軽減し、契約者の配当への期待に応えるとしている。