2020.05.25 ■MS&ADHD 19年度末(20年3月期)決算、連結正味収保は2.1%増[2020年5月20日]

 MS&ADインシュアランスグループホールディングス(MS&ADHD)が5月20日に発表した2019年度通期決算によると、連結経常収益は前期比6・0%減の5兆1683億円となった。損保子会社の連結正味収入保険料は国内損保の販売好調を主因に同2・1%増の3兆5737億円を計上した。一方、生保子会社の生命保険料は同26・7%減の9437億円にとどまった。海外子会社の正味収入保険料は為替影響を除くと同4・2%増だったが、円高ポンド安等の影響で同0・4%減の7119億円だった。

 MS&ADHDの連結経常利益は同45・8%減の1577億円で、連結の当期純利益は同25・8%減の1430億円に終わった。海外保険子会社がMSアムリンの黒字化を主因に167億円の増益となったものの、国内損保会社で異常危険準備金や自然災害責任準備金の繰入負担が増加したことに加え、年度末にかけての新型コロナの影響を受けた国内外の株価急落による評価損やチャレンジャー社ののれん償却などにより予想を570億円下回った。
 株主還元については、19時年度決算の年間配当を150円(前期比10円増配)とするほか、自己株式取得350億円を予定。
 グループ連結で20年度業績予想では、損保の正味収入保険料は1737億円減の3兆4000億円、当期純利益は130億円減の1300億円を見込んでいる。
 国内損保主要2社の業績で、正味収入保険料は、2社合計で前期比2・9%増の2兆8247億円となった。再保険コストの増加はあったものの、相次ぐ自然災害の発生を契機とした水災や地震補償のニーズの高まりにより個人・企業とも販売好調だった火災保険、補償の充実化提案やドラレコ型保険の新商品販売等が好調だった自動車保険、中小企業向けパッケージ商品の販売好調や大口契約の新規・更改増があった新種保険などで増収した。保険引受利益は異常危険準備金の取崩額の減少・同繰入額の増加等により同544億円減の84億円となった。
 三井住友海上の正味収入保険料を種目別に見ると、火災が前期比3・6%増の2060億円、海上が同0・6%減の619億円、傷害が同3・1%減の1466億円、自動車が同2・0%増の6703億円、自賠責が同3・2%増の1838億円、その他が同5・4%増の2790億円で合計は同2・3%増の1兆5479億円となった。除く家計地震・自賠責ベースでは、同2・2%増の1兆3637億円。正味支払保険金は同2・4%減の8886億円、家計地震・自賠責を除いたEI損害率は同2・8ポイント下がり61・8%、正味事業費率は同0・5ポイント上昇し32・0%となった。コンバインド・レシオは同2・4ポイント下がり95・3%。
 あいおいニッセイ同和損保の種目別正味収入保険料は、火災が同8・4%増の1992億円、海上が同10・8%減の72億円、傷害が同11・0%減の569億円、自動車が同4・1%増の7130億円、自賠責が同2・3%増の1628億円、その他が同3・2%増の1374億円で合計は同3・5%増の1兆2767億円となった。除く家計地震・自賠責ベースでは、同3・7%増の1兆1136億円。正味支払保険金は同6・0%減少して7246億円、家計地震・自賠責を除いたEI損害率は同7・3ポイント下がって61・6%、正味事業費率は同0・7ポイント上昇の34・5%、コンバインド・レシオは同5・1ポイント下がって96・5%となった。
 国内損保主要2社の資産運用・その他収支は、有価証券売却益の減少などにより同857億円減益の1392億円だった。このうち三井住友海上は同973億円減益の817億円、あいおいニッセイ同和損保は同116億円増益の574億円だった。
 三井住友海上の経常利益は同1373億円減益の891億円、あいおいニッセイ同和損保は同27億円減益の586億円となった。
 2社合計の当期純利益は、同695億円減の1388億円だった。自然災害ロスは前期比では減少したが、異常危険準備金・自然災害責任準備金の繰入負担があった。三井住友海上は、政策株式売却益の減少を主因に同770億円減益の940億円。あいおいニッセイ同和損保は、政策株式売却益の増加や法人税等の負担減少もあり同74億円増益の447億円。準備金の追加繰入は、異常危険準備金が三井住友海上350億円、あいおいニッセイ同和損保180億円、価格変動準備金が三井住友海上150億円、あいおいニッセイ同和損保150億円を実施した。
 ソルベンシー・マージン比率は、三井住友海上が前期末比21・9ポイント下がり701・3%、あいおいニッセイ同和損保が同14・1ポイント上昇して702・3%となった。
 国内生保子会社のグロス収入保険料は合計で前期比12・9%減の1兆3934億円。
 三井住友海上あいおい生命の新契約高(個人合計)は、前期の収入保障保険の販売好調の反動や法人向け商品の販売停止を主因に減少し前期比33・6%減の2兆684億円、新契約年換算保険料は同42・6%減の293億円だった。このうち第三分野は同8・7%増の192億円。保有契約高(個人合計)は同0・3%減の24兆4580億円。保有契約年換算保険料は同3・8%増の4481億円で、このうち第三分野は同28・1%増の1381億円。保険料(グロス収入保険料)は、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保からの第三分野長期保有契約移行による増収の影響もあり、同170億円の増収となり、5212億円を計上。経常利益は同4・4%減の186億円、当期純利益は同4億円減益の75億円だった。
 三井住友海上プライマリー生命の新契約高(個人合計)は同21・1%減の8827億円、保有契約高(個人合計)は同2・5%減の6兆5140億円だった。保険料(グロス収入保険料)は、外国金利の低下による定額商品の販売減少などにより同2235億円の減収で8721億円にとどまった。経常利益は同11・6%減の314億円。当期純利益は同29億円減益の203億円となった。
 海外保険子会社の業績は、正味収入保険料は為替影響を主因に同27億円減収の7119億円となったが、為替影響を除くベースでは300億円、4・2%の増収。当期純利益は同167億円の増益で361億円を計上した。MSアムリンは資産運用の好調を主因に同214億円の増益。アジアは同82億円減益の178億円だったが、前期に計上した不動産売却益の影響を除くと同9億円の増益となる。