2020.05.22 ■第一生命ホールディングス 20年3月期決算 グループ修正利益16.2%増益[2020年5月15日]

 第一生命ホールディングスが5月15日に発表した2020年3月期決算によると、連結保険料等収入は海外金利低下による外貨建保険の販売減少により前年比8・6%減の4兆8854億円となった。グループ基礎利益は、第一生命で生命表の改定に伴う団体保険の保険料率引き下げ等による保険関係損益の減少や金利低下・為替円高による利息配当金等収入の減少等により同11・7%減の5349億円となった。親会社株主に帰属する当期純利益(連結純利益)は、外貨建保険での会計上の負債積み増しの発生により同85・6%減の324億円で減益となった一方で、グループ修正利益は海外の買収効果等により同16・2%増の2745億円となり、20年3月期の株主配当は始期予想の62円の予定とした。

 第一生命グループの連結主要業績は連結経常収益が前年比1%減の7兆1141億円となった。海外金利低下に伴う第一フロンティア生命の販売減少により連結保険料等収入が減少した一方で米国プロテクティブの資産運用収益が増加した。連結経常利益は同50%減の2183億円だった。
 新契約年換算保険料は、グループ全体が前年比30・9%減の3516億円だった。国内3社計は、同47・4%減の2204億円だった。各社ごとでは、第一生命が同6%減の896億円、このうち第三分野が同10・8%減の547億円、第一フロンティア生命が同41・9%減の1198億円、ネオファースト生命が同90・6%減の109億円となった。
 保有契約年換算保険料はグループ全体が前年末比0・4%増の3兆9697億円だった。国内3社計が同1・1%減の3兆578億円だった。各社ごとでは第一生命が同0・9%減の2兆1104億円で、このうち第三分野が同2・9%増の6947億円だった。第一フロンティア生命が同2・4%減の8078億円、ネオファースト生命が同3・3%増の1395億円だった。
 連結ソルベンシー・マージン比率は前年度末比14・4ポイント増の884・1%となった。
 グループ各社の業績を見ると、第一生命は経常収益が前年比2%減の3兆6806億円となった。このうち、保険料等収入は2%増の2兆3501億円、資産運用収益が同6%減の1兆743億円だった。
 経常費用は3兆3899億円で横ばい、このうち保険金等支払金は同3%増の2兆3974億円。基礎利益は、前年の4791億円から570億円減の4221億円、経常利益は同16%減の2906億円、当期純利益は同26%減の1286億円だった。
 第一生命は、保険料等収入が前年並みとなった一方で、認知症や就業不能を保障するニーズの高まりを受け、主力商品の「ジャスト」の累計販売件数が195万件を突破した。当期純利益は、19年度から実施している金利変動リスクの削減を目的とした終身保険契約の出再に伴う損益の計上などで、前年比442億円の減益となった。ソルベンシー・マージン比率は前年度末比13・6ポイント増の984・4%となっている。
 第一フロンティア生命は経常収益が前年比1%増の2兆650億円となった。このうち保険料等収入は同28%減の1兆3554億円、資産運用収益は同54%増の2476億円だった。経常費用は同8%増の2兆1595億円で、このうち保険金等支払金は同128%増の1兆6003億円となった。
 経常利益は同1336億円減の▲944億円、当期純利益は同1200億円減で▲1000億円で減益となった。その要因として「市場価格調整による損益」の▲2044億円の外貨建保険で会計上の負債積み増し(MVA積み増し)によるものだとした。
 保険料等収入は、海外金利低下に伴う外貨建保険の減少により減収となった。販売トレンド面では、顧客ニーズの多様化に合わせ販売ポートフォリオを分散化している。また、創業から10年が経過し、資産形成に貢献できた実績が着実に積み上がっているとした。
 ネオファースト生命の新契約年換算保険料は、経営者保険の販売停止によって大幅に減少したものの、第三分野商品の販売が好調を維持したことから保有契約年換算保険料は伸展した。
 21年3月期の業績予想については、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、今後の影響等を合理的に見通すことが現時点で困難であることから開示を見送るとしたが、配当予想は62円とし安定した株主配当を維持する方針を示した。