2020.02.25 ■東京海上HD 19年度第3四半期決算、連結純利益50億円の増益[2020年2月14日]
東京海上ホールディングスが2月14日に発表した2019年度第3四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比0・4%減の4兆948億円となった。正味収入保険料は円高の影響がある中でも、同3・0%増の2兆7102億円と基調は好調。国内では火災・新種保険を中心に、全種目で増収(4・1%増)となり、海外は円高の影響があったものの、Safetyの新規連結や北米でのレートアップ、南米の好調を主因に増収した。一方、生命保険料は国内の法人向け商品の一部販売停止の影響と海外での円高や北米での引受規律の強化の影響を主因に同7・9%減の7102億円となった。
東京海上HDの連結経常利益は同3・2%減の2992億円。親会社株主に帰属する四半期純利益は、ソーシャルインフレーションを主因としたPhiladelphiaの過年度リザーブ積増の影響を、国内自然災害の減少や北米での資産運用の好調が相殺し、同50億円増益の2266億円となった。グループ全体の利益指標である修正純利益は同284億円増の2149億円となり、進捗率は70・5%。
東京海上日動の保険引受利益は前年同期比77億円増益の362億円だった。正味収入保険料は同4・0%増の1兆6871億円。火災保険・新種保険を中心に全ての種目で増収した一方、自然災害にかかる発生保険金の減少、円高進行に伴う外貨建支払備金の積増負担の減少が寄与した。
種目別に見ると、火災は同15・8%増の2426億円で、補償拡充や件数増加、昨年10月の商品改定前の契約見直し等により増収した。海上は同3・4%増の485億円で船舶保険の保険料単価増を主因に増収。傷害は同2・4%増の1381億円で、加入者数の増加を主因に増収した。自動車は昨年1月の商品改定による保険料単価増により同1・0%増の8046億円となった。自賠責は満期到来台数の増加を主因に同4・5%増の2102億円。その他は超ビジネス保険・費用保険の販売拡大により同4・6%増の2429億円と増収した。家計地震・自賠責を除いた民保合計でも同4・0%増で1兆4762億円だった。
発生保険金(民保)は同375億円減少し、1兆51億円となった。民保E/Iベースの損害率は同3・9ポイント改善し69・8%。事業費率(民保ベース)は同0・2ポイント低下の31・7%、コンバインド・レシオ(民保ベース)は同4・1ポイント低下して101・5%に改善した。
資産運用等損益は同17億円減益の1578億円。このうち、ネット利息及び配当金収入は海外子会社からの配当金収入の増加により同100億円増益の1303億円、売却損益等計(キャピタル)はヘッジ目的で実施しているデリバティブの時価変動、前年同期のヘッジ益の反動により同87億円減益の575億円だった。政策株式売却に伴う売却益は同60億円減少の670億円(売却額920億円)。経常利益は同66億円増益の1970億円、親会社株主に属する四半期純利益は同37億円増益の1563億円となった。単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比67・1ポイント上昇し、892・5%。
日新火災の保険引受利益は前年同期比0億円減益の▲3億円。正味収入保険料(民保)は同42億円増の1001億円を計上、火災保険・新種保険を中心に増収し、自然災害の発生保険金の減少があったが、火災保険・新種保険での大口事故の増加、自然災害にかかる保険金支払の減少に伴う取崩額の減少があった。
資産運用等損益は、金融派生商品損益の減少を主因として、同7億円減の14億円となった。経常利益は同10億円減の4億円、親会社株主に属する四半期純利益は同9億円減益の3億円だった。単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比70・7ポイント低下し、1149・2%となった。
東京海上日動あんしん生命の新契約年換算保険料は、法人向け定期保険の一部販売停止を主因として、前年同期比49・6%減の281億円となった。保有契約年換算保険料は、販売停止に伴い新契約による増加が解約等による減少を下回ったため、前年同期比1・7%減の8405億円。
親会社株主に属する四半期純利益は販売停止に伴う代理店手数料や責任準備金の積増負担の減少があるもののシステム開発費や死亡保険金の増加等により、同9億円減益の179億円となった。基礎利益は同28億円減益の295億円。単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比324・6ポイント低下したが、1739・0%と高い水準を維持している。
海外保険会社の保険料(正味収入保険料と生命保険料の合算)は、前年同期比6・2%減の1兆3042億円だった。再保険子会社売却の影響を除くと同2・4%増となり、各事業の基調は良好。なお、円高の影響を除いた現地通貨ベースでは同8・4%増となる。
北米は、同2・0%減の8627億円。主要3社において、引受拡大・レートアップ等により現地通貨ベースで増収したものの、円高の影響により減収となった。
欧州・中東・アフリカは、同13・7%増で1364億円を計上。欧州では収益性を重視した引受により減収したものの、Hollardの新規貢献(プラス348億円)等により増収した。
中南米は、同0・7%増の980億円。ブラジルにおける企業向け商品や自動車保険の引受拡大等により増収した。
アジア・オセアニアは、23・8%増の1324億円。インド、タイにおける増収およびSafetyの新規連結(プラス209億円)等により増収した。
海外保険事業の事業別利益は、同66億円減益の1406億円だったが、再保険子会社売却の影響を除くと同6億円増益の0・4%増の数値となる。さらに円高の影響を除くと6・9%増に相当する。Delphiにおける資産運用収益の拡大や生保での増益等による。北米は同6・7%減の1141億円。各社別には、Philadelphiaが賠責の過年度リザーブ積増等により減益、Delphiが保険引受利益の改善に加え、資産運用収益の増加等により増益、TMHCCが資産運用収益の増加等により増益となった。