2022.11.21 第一生命HD 22年度第2四半期決算、グループ修正利益18%減 新契約年換算保険料は21%増
第一生命ホールディングスが11月14日に発表した2022年度第2四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比49.1%増の5兆6150億円で、連結保険料等収入は同34.9%増の3兆2694億円となった。連結経常利益は前年同期比23.4%減の2192億円。グループ修正利益は第一生命では入院給付金等の支払い増加を順ざやの増加や新規出再費用の減少等が相殺、また、海外金利上昇等に伴う米PLCの営業外損益の大幅な悪化や第一フロンティア生命の責任準備金積増し等の影響により同18%減の1279億円で、通期予想に対する進捗率は53%となっている。親会社株主に帰属する四半期純利益(連結純利益)はグループ修正利益の減益に加えて、第一フロンティア生命のMVA関連損益に含まれる金利変動損益の悪化の影響により同39.4%減の1082億円。グループ基礎利益は同22.6%減の2024億円だった。
新契約年換算保険料はグループ全体で同21.7%増の1855億円、国内3社計では海外金利上昇で外貨建商品の訴求力が高まった第一フロンティア生命が第一生命チャネルによる販売増加も後押しし大きく進展した結果、同20.9%増の1258億円となった。国内新契約年換算保険料は、第一生命が同35.3%減の252億円、第一フロンティア生命が同63.8%増の946億円。ネオファースト生命が同18.3%減の58億円だった。海外5社計の新契約年換算保険料は円安の影響により前年同期比で23.5%増の597億円。
グループ全体の保有契約年換算保険料は前年度末比6.0%増の4兆4898億円だった。国内3社計では同0.3%増の3兆999億円。第一生命は同1.1%減の2兆296億円で、このうち第三分野は同0.1%減の7077億円となった。第一フロンティア生命は同4.4%増の9377億円、ネオファースト生命は同4.7%減の1325億円だった。
第一生命グループのその他の指標で、連結ソルベンシー・マージン比率は708.9%と前年度末比193.7ポイント低下したが、引き続き高い水準を維持している。
グループ各社の業績では、第一生命の保険料等収入は同576億円増の1兆1560億円、資産運用収益は同672億円増の7187億円だった。
経常費用は同1161億円減の1兆8474億円で、このうち保険金等支払金は同3088億円減の1兆1564億円、責任準備金等繰入額は同197億円増の363億円、資産運用費用は同1811億円増の3415億円、事業費は同76億円減の1955億円だった。
経常利益は同413億円増の2212億円、中間純利益は同184億円増の1119億円だった。基礎利益は、円安等による外国証券からの利配収入の増加や出再等による予定利息の減少により順ざやが増加したものの、新型コロナ感染拡大に伴う入院給付金支払いの増加等により保険関係損益が大きく悪化したことから、同25%減の1382億円。修正利益は、新規出再費用の減少等により臨時損益が前年同期比で大きく改善したこと等から、同20%増の1119億円となった。ソルベンシー・マージン比率は前年度末比50.5ポイント低下して856.8%。
第一フロンティア生命の保険料等収入は同6008億円増の1兆2288億円、資産運用収益は同6327億円増の7545億円だった。経常費用は同1兆7124億円増の2兆5269億円で、このうち保険金等支払金は同1兆5836億円増の2兆3212億円、資産運用費用は同1114億円増の1599億円、事業費は同141億円増の377億円となった。
経常利益は同679億円減の▲114億円で、中間純利益は円安によるターゲット到達一時益が発生したものの、MVA関連損益に含まれる金利変動損益の悪化等により562億円減の▲106億円。基礎利益は順ざやが増加したものの標準責任準備金積増しに伴う保険関係損益の悪化等により、同87%減の28億円。MVA関連損益等を除いた修正利益は同72%減の56億円だった。
ネオファースト生命の保険料等収入は、医療保険の保有契約が増加したものの経営者保険の解約等により、前年同期比5%減の639億円となった。中間純利益は、新型コロナ感染拡大に伴う入院給付金支払いの増加等により、同7億円減の▲42億円だった。
海外事業では、海外保険事業全体の修正利益は、豪TAL・第一生命ベトナム・その他子関連会社が増益の一方、米プロテクティブの大幅な悪化により前年同期比55%減の194億円となった。米プロテクティブは営業利益は買収事業で前年同期の一過性要因の剥落があったものの、死亡保険金支払いの減少によるリテール保険事業の利益回復や資産運用収益の上振れに伴うステーブルバリュー事業の利益増加等が寄与し、同11%増の3億200万米ドル。中間純利益は、主に金融市場変動影響による営業外損益の悪化(評価損等)から、同3億3500万米ドル減の▲3800万米ドルだった。豪TALは、基礎的収益力は前年同期のアステロン・ライフの保険負債評価のモデル変更に伴う一時益が剥落したものの、その影響を除いた個人保険・団体保険の損益が良好だったことや8月に買収手続きを完了した旧Westpac Life(名称変更しTLIS)の利益貢献も寄与し、同9%増の1億6600万豪ドル。中間純利益は、基礎的収益力の増益に加え、前期の大幅な豪金利の変動(フラットニング)による資産・負債の時価評価の悪影響から回復し、同320%増の1億5800万豪ドルだった。第一生命ベトナムは、保険料等収入(再保険収入を除く)は初年度保険料がコロナ禍による活動制限の緩和から前年同期比並みに回復したほか継続保険料も引き続き拡大し、同19%増の10兆4010億越ドン。中間純利益は継続保険料が拡大したものの、前期に計上された一部商品の規制緩和に伴う責任準備金戻入の影響剥落により同4%減の1兆3310億越ドンだった。
本四半期の新型コロナに関連した保険金等の支払い状況については、第一生命、第一フロンティア生命、ネオファースト生命の国内グループ3社合計の9月30日時点での判明分として、死亡保険金(給付金)が1282件・約70億円、入院給付金等が49万497件・約571億円、そのうち第一生命の死亡保険金(給付金)が977件・約41億円、入院給付金等が44万9544件・約533億円とした。9月26日から新型コロナ感染における「みなし入院」による入院給付金等の支払い範囲を変更。第一生命は、期初業績予想で入院給付金等の支払いを約300億円見込んでいたが、7~9月を中心とした感染拡大等を踏まえ、現時点では約900億円(+600億円)を見込み、今回の業績予想に反映している。
また、第一生命HDは同日、「業績予想の修正」を発表。22年5月12日に公表した23年3月期(22年4月1日~23年3月31日)の通期連結業績予想を修正し、経常収益9兆6500億円(前回発表予想7兆6120億円)、経常利益4300億円(同5120億円)、親会社株主に帰属する当期純利益2190億円(同2850億円)、1株当たり当期純利益213円73銭(同278円19銭)、グループ修正利益は従来予想の2700億円程度から、2400億円程度に減少する見込みとした。
23年3月期期末配当予想(1株当たり配当金86円)に関する修正はない。