2022.11.18 かんぽ生命 22年度第2四半期決算、純利益40%減の482億円 新契約年換算保険料は43%増と伸展

かんぽ生命は11月11日、2022年度第2四半期決算を発表した。連結業績では、新型コロナウイルス感染症に係る保険金支払が増加した他、主に有価証券の減損によりキャピタル損益が悪化。これらについては危険準備金・価格変動準備金により中立化されるものの、保有契約の減少等の影響により、中間純利益は前年同期比322億円、40.0%減の482億円となった。

連結主要業績では、経常収益は前年同期比236億円減の3兆2024億円で、通期業績予想の6兆2200億円に対する進捗率は51.5%。このうち保険料等収入は同1233億円減の1兆1514億円、資産運用収益は同51億円減の5561億円、責任準備金戻入額は同1157億円増の1兆4926億円だった。
契約の状況では、個人保険の新契約年換算保険料は同43.0%増の327億円と伸展。そのうち第三分野は同196.9%増の29億円と大幅に伸展した。保有契約年換算保険料は、個人保険が3兆3726億円で前期末比4.7%減、うち第三分野が6093億円で同2.8%の減少となった。個人保険の保有契約件数は、新旧区分合算で前期末比4.1%減の2186万件だった。商品別に見ると、養老保険は728万件(占率33.3%、前期末実績785万件)、終身保険は1132万件(占率51.8%、前期末実績1156万件)、学資保険は311万件(占率14.3%、前期末実績325万件)、その他は13万件(占率0.6%、前期末実績12万件)となっている。
連結の経常費用は前年同期比1256億円増の3兆1679億円で、このうち保険金等支払金は同105億円減の2兆7691億円、資産運用費用は同980億円増の1170億円、事業費等は同160億円増の2595億円だった。第2四半期の委託手数料は同235億円減の694億円。このうち、新契約手数料は同9億円減の187億円、維持・集金手数料は同226億円減の507億円だった。拠出金は同19億円減の250億円だった。
経常利益は同1493億円減の345億円で、通期業績予想の1600億円に対する進捗率は21.6%。中間純利益482億円の通期業績予想710億円に対する進捗率は68.0%で、経常収益、経常利益、当期純利益の通期予想には今回修正はない。
連結の総資産は前期末比2兆4266億円減の64兆7481億円で、純資産は同2397億円減の2兆1812億円となった。
今期の新型コロナウイルス感染症に係る支払状況では、死亡保険金が4002件・127億8121万円(21年度通期が3807件・133億1457万円)、入院保険金が92万1970件・379億6838万円(同11万562件・54億6951万円)だった。保険金支払全体の状況では、今四半期が約2.4兆円(21年度通期が約4.9兆円、20年度通期が約5.1兆円)となっている。入院保険金支払のうち、みなし入院に対する支払いは約9割を占めるが、9月26日以降のみなし入院による入院保険金の支払対象の見直しを受け、今後、同感染症に係る入院保険金の支払いは減少見込みとしている。
賃借対照表上の「金銭の信託」「有価証券」に計上している資産のうち、資産運用目的で保有する国内外株式、外貨建債券、投資信託等を対象とする「収益追求資産」への投資残高は、前期末比6874億円減の10兆5408億円で、総資産に占める割合は16.3%(前期末16.7%)。平均予定利率は前年同期から0.02ポイント下がり1.67%、利子利回りは同0.02ポイント増加し1.90%だった。
有価証券の含み益は3兆7812億円で前期末から1兆9440億円減少した。
連結ソルベンシー・マージン比率は992.0%で前期末比53.5ポイント減少した。
エンベディッド・バリュー(EV)は、海外金利上昇に伴う外国債券の含み益の減少等により、前期末比1892億円(5.2%)減の3兆4297億円だった。4月から9月までの新契約をベースに6月末の経済前提を使用した新契約価値は▲9億円で、新契約価値を将来の保険料収入の現在価値で除した新契約マージンは▲0.4%だった。新契約獲得にはその多寡によらない一定の事業費等が必要となるため、新契約価値はマイナスとなっている。
株主還元については、23年3月期の配当については1株当たり92円から変更はない。23年3月期は中間配当、期末配当の年2回の剰余金の配当を予定している。1株当たり配当については、25年度までの中期経営計画期間では原則として減配を行わず増配を目指す考えで、さらに株主に対する柔軟な利益還元を図ること等を目的に、機動的な自己株式取得等を行うことで総還元性向について中期平均40~50%を目指すとしている。
かんぽ生命単体ベースでは、新型コロナウイルス感染症に係る保険金支払いの増加、保有契約の減少および新しいかんぽ営業体制の構築に伴う事業費等の増加により保険関係損益が減少したため、基礎利益は前年同期を1079億円下回る1046億円となった。内訳は、保険関係損益が1144億円減の441億円、順ざやが65億円増の604億円。そのほか危険準備金の繰過繰入の減少等の臨時損益の計上が393億円増の15億円、キャピタル損益が減損等による悪化の影響で805億円減の▲721億円となった結果、経常利益は同1491億円減の339億円となった。さらに価格変動準備金の取り崩し等の特別損益が1170億円増の812億円、契約者配当準基金繰入額が88億円減の271億円、法人税等合計が88億円増の403億円となった結果、中間純利益は同320億円減の479億円となった。