2022.05.11 厚労省 「公的年金シミュレーター」開始、金融庁は3月から公的保険ポータルサイト

 金融庁は3月11日、同庁ホームページ上に公的保険制度を解説するポータルサイト「公的保険について~民間保険加入の検討にあたって~」を開設、4月25日には厚生労働省ホームページ上で年金額を試算できる「公的年金シミュレーター」の試験運用が始まったことを公表した。

 金融庁ポータルサイト「公的保険について~民間保険加入の検討にあたって~」は、個々人がさまざまなリスクに備えるために民間保険に加入するに当たり民間保険が公的保険を補完する面もあることから、公的保険の保障内容を理解したうえで必要に応じた民間保険に加入すべきことを分かりやすく解説する意図で作成されたもの。また、厚労省の「公的年金シミュレーター」は公的保険のうち特に年金について、個々人の働き方・暮らし方の変化に応じて将来受給可能な年金額を簡単に試算できるツールとして開発されたものだ。2020年の年金改正審議の中で、「公的年金・私的年金を通じて、個々人の現在の状況と働き方・暮らし方の変化に伴う将来の見通しを全体として『見える化』し、老後の生活設計をより具体的にイメージできるようにするための仕組みを検討すべき」との指摘があったことを踏まえ、開発された。
 金融庁は、昨年12月末に改正した保険会社向けの総合的な監督指針の中で、特定保険募集人等の教育について「公的保険を補完する民間保険の趣旨に鑑みて、公的保険制度に関する適切な理解を確保するための十分な教育を行う」こと、契約意向把握・確認の方法について「顧客が、自らのライフプランや公的保険制度等を踏まえ、自らの抱えるリスクやそれに応じた保障の必要性を適切に理解しつつ、その意向に保険契約の内容が対応しているかどうかを判断したうえで保険契約を締結するよう図ること、そのために、公的年金の受取試算額などの公的保険制度についての情報提供を適切に行うなど、取り扱う商品や募集形態を踏まえ、保険会社又は保険募集人の創意工夫による方法で行う」ことが重要である旨を明確化した。公的保険制度を解説する金融庁のポータルサイトや厚労省の公的年金シミュレーターは、これらの改正監督指針にのっとった取り組みを支援するツールであると言える。
 金融庁の「公的保険について…」は、「はじめに」の部分で、個人の生命に関わるリスクごとに公的保険制度と主な民間保険の対比表を掲げ、そのあと、公的医療保険、労災保険、公的年金(老齢年金/障害年金/遺族年金)、公的介護保険、自立支援医療、障害福祉サービス、雇用保険のそれぞれについて概略を説明し、制度の詳細についてはQRコードから厚労省ホームページの該当する公的保険制度のページに遷移できる仕組みとなっている。
 また厚労省の「公的年金シミュレーター」は、パソコンやスマートフォンを用いて、自分の将来の年金額を簡単に試算できるツールで、主な特徴は、①ねんきん定期便の二次元コード情報を利用するなど、老齢年金の年金額を簡単に試算することができる②働き方・暮らし方の変化によって年金額にどのような変化が生じるか、簡単な操作でシミュレーションできる③利用に際して、ID・パスワードの登録は必要なく、また、個人情報は記録、保存されない④年金受給開始時点における税・保険料の大まかなイメージを示す機能も付属―といった点。現在は、「試験運用」で、利用者視点による改善を行った上で本格実施を開始する予定としている。
 若年世代をはじめ幅広い年代の人が、将来受給可能な年金額を手軽に試算できるように想定しており、年金額の試算の際に入力できる年齢は、16歳から71歳までとなっている。試算できるのは老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)で、その他の障害年金、遺族年金等は試算できない。年金額改定への対応については、現在の見込額は22年度の計算式に基づくもので、来年度以降は各年度の4月上旬に当該年度の改定率に基づく年金額に切り替わる予定としている。
 なお、日本年金機構の「ねんきんネット」が同様のサービスを実施しているが、「公的年金シミュレーター」は、簡易に年金額の試算を行うためのツールとして開発されたもので、被保険者等の個人情報を用いず、また、働き方・暮らし方の入力は年単位で行うなど簡素化しているところから、「ねんきんネット」とは異なり、特別支給の老齢厚生年金など詳細な試算は行えず正確な年金額を試算することはできないという違いがある。
 金融機関等における商用目的での利用の可否については、特に利用目的を制限していないが、厚労省では、顧客等に対してシミュレーターを利用する場合には、顧客本位の業務運営の観点から公的年金制度に関する情報提供が適切に行われるようにとしている。