2022.05.10 東京海上日動 建設業界のICT施工導入を支援、建機向けテレマサービス開始

 東京海上日動は4月12日から、建設事業者向けに建設機械向けレコーダーを活用した動産総合保険の新たな特約と、それに付随するテレマティクスサービス(ペットネーム:シーレック/Ci―REC)の提供を開始した。建設機械向け向けテレマティクスサービスの提供は保険業界初(同社による)の取り組みで、事故が発生した際の補償提供に加えて同サービスの提供を通じて建設業界におけるICTの推進を支援し、建設現場の安全性や生産性の向上に貢献するとしている。

 建設業界では、技能労働者の減少・高齢化やインフラの老朽化に伴う公共工事の増加等を背景に、生産性の向上が喫緊の課題となっている。こうした状況下、国土交通省が建設現場の生産性向上を目的とした「i―Construction構想」を推進するなど、デジタル・テクノロジーを活用したICT施工が注目されているが、一方で、ICT建機等の導入・維持には高額なコスト負担が生じるケースも多く、建設事業者にとってICT施工を導入する際の大きな障壁となっている。こうした課題を解決するため、同社では建設機械向けレコーダーを活用したテレマティクスサービスを開発するとともに、比較的安価に導入できる取り組みを実施することを決めたとしている。
 同サービスは㈱EARTHBRAIN(アースブレーン)(注)と共同開発したもので、建設機械に生じた物的損傷等を補償する動産総合保険に特約を付帯した顧客に対して、パイオニア㈱と共同製作した前方カメラ搭載の端末を貸与し、アースブレーンの建設業界向けIoTオープンプラットフォーム「ランドログプラットフォーム」を活用して提供する。
 主な特徴は、①建設機械稼動状況の可視化による生産性向上②労働時間危険アラートの搭載による安全性向上③映像データ・位置情報の活用による正確な状況確認―の三つ。
 ①では、「ランドログプラットフォーム」を通して1日の作業内容や稼働時間、位置情報等を一元的に管理し可視化することで、作業日報の作成ロード削減や建設機械の効率的な利用につなげることができる。②は、建設機械の操作時間や作業内容が一定の条件を満たした際、休憩等を促すアラートを発出することで、事故削減に向けた取り組みとして活用できる。③では、デバイス内蔵のSDカードの録画映像データから事故発生時の状況を迅速・正確に確認できるほか、建設機械の盗難が起きた際には位置情報を把握することで位置特定に活用できる。AIを用いた独自の機械学習モデルを搭載しており、端末から取得するセンシングデータ(速度・加速度情報等)から建設機械の挙動を把握できるという。
 特約保険料は1台当たり月額5000円(予定)で、7月1日以降始期の動産総合保険契約に付帯する特約として提供する。対象となる建設機械は、バックホウ(掘削用の建設機械のうち、ショベルをオペレーター側向きに取り付けた油圧ショベル)で、製造メーカーや建設機械としての販売時期を問わず利用できる。
 同社では今後、建設機械のCO2の排出量を算定する機能などのサービスの拡充を予定しており、これからも外部ソリューションとの連携を強化し、建設現場の情報の収集・分析・活用を通じて、大きく変化する建設現場のリスク実態やニーズに応じた新たな保険やサービスの開発の検討に取り組んでいくとしている。
 (注)コマツ(㈱小松製作所)、㈱NTTドコモ、ソニーセミコンダクタソリューションズ㈱、㈱野村総合研究所が設立した合弁会社