2021.11.24 金融庁 顧客本位原則取組方針公表の金融事業者リスト更新、「保険会社等」は80者増え301者に

金融庁は11月10日、「顧客本位の業務運営に関する原則」等に基づく取組方針を公表し金融庁に報告のあった金融事業者リスト(2021年9月末時点)および投資信託の共通KPIに関する分析(本年3月末基準)を公表した。

 金融事業者リストは、9月30日までのリストへの掲載を希望する金融事業者からの報告分を確認・とりまとめうえ、更新したもの。9月15日に公表した9月3日時点のリストから141者増えて634者となった(別表参照)。
 増えた掲載事業者141者の内訳は、都市銀行4者、地域銀行12者、協同組合金融機関等9者、保険会社等80者、金融商品取引事業者36者。
 また、「保険会社等」はさらに小分類に分けられ、別表のとおり、生命保険会社34者、損害保険会社22者、少額短期保険業者47者、保険仲立人4者、乗合代理店166者、生命保険代理店11者、損害保険代理店15者となった(金融庁の集計表の「保険会社等」は301者だが、公表リストの「保険会社等」に区分されている事業者数の合計は299者)。前回公表時から、損害保険会社が4者、少額短期保険業者が15者、保険仲立人が1者、乗合代理店が50者、生命保険代理店が4者、損害保険代理店が6者増えた。
 金融庁では、4月12日に公表した「金融事業者における顧客本位の業務運営のさらなる浸透・定着に向けた取組みについて」で、金融事業者の取組方針等の記載内容について、好事例の比較分析を行い、顧客にとって分かりやすい情報を発信することを目的として、「顧客本位の業務運営の取組方針等に係る金融庁における好事例分析に当たってのポイント」を公表している。今回、同庁ではリストに記載されている金融事業者の取組方針等をこのポイントに照らして確認を行った。その結果、具体的対応を示し、取り組み等の成果や進捗について、検証し、評価する際の目線となり得る好事例が認められたとして、以下の3例を示している。
 ①取組方針等の見直し時期や頻度について、「適宜」や「定期的」などといった曖昧な表現ではなく、1年に1度など具体的頻度を示しているもの②「顧客にふさわしいサービスの提供(原則6)」におけるアフターフォローなどのサービスに関して、「定期的」や「丁寧」などといった抽象的・主観的な表現ではなく、どのような場合に実施するか・目的・内容等を具体的・定量的に示しているもの③「動機づけの枠組み等(原則7)」について、業績評価の項目として、単に「顧客本位に資する」といった抽象的な説明ではなく、具体的な評価項目を示しているもの―。
 また、今回の確認作業を踏まえ、8月18日に公表した「取組方針等の記載や金融事業者リストへの掲載等に関するQ&A」についても改訂を行った。同庁では、今後も各金融事業者との対話等を通じて、好事例の比較分析を行い、その結果についても、とりまとめて、公表することを予定しているとしている。
 なお、金融庁では、リストに掲載した金融事業者に対して、取組方針に基づき実施した取組みについて、来年6月末までに報告様式中の「報告フォーマット(2)」シートにある「取組状況における該当箇所」により金融庁に報告することを求めている。その報告内容に応じてリストを更新することとし、当該報告がなかった場合には、リストに非掲載となる。
 リストへの掲載を希望する金融事業者に対する次回の報告期限は、12月28日。