2021.06.03 フコク生命グループ 20年度決算、基礎利益は微増828億円に[2021年5月21日]

 フコク生命グループが5月21日に発表した2020年度末(21年3月期)決算によると、2社(富国生命、フコクしんらい生命)合算の新契約高は前年度比3.5%減少、新契約年換算保険料も同12.3%減少となった。新商品「はたらくささえプラス」の発売や「感染症サポートプラス」の取り扱い開始が寄与し、新契約高は、第2四半期以降は前年を上回る水準となった。また、保有契約年換算保険料は横ばいとなった一方で、第三分野は前年度末比0.7%増加し、開示以来17年連続の増加となった。基礎利益は、解約・失効の改善により保険関係損益が前年並みを維持するとともに、富国生命の利息及び配当金等収入が過去最高を更新するなど、利差益が増加し、前年度比0.3%増加した。個人保険分野では、死亡保障性特約と医療保険について9年連続の増配となった。

 2社(富国生命とフコクしんらい生命)合算の新契約高は前年度比3.5%減の1兆6105億円で、新契約年換算保険料は同12.3%減の181億円となった。解約失効高は、コロナ禍における保険ニーズの高まりとアフターサービスの徹底により同16.5%減少、解約失効年換算保険料も同18.8%の減少となり大幅に改善した。
 保有契約高は前年度末比1.0%減と減少幅は年々縮小しており、引き続き反転増加に向けて取り組むとした。保有契約年換算保険料は同0.1%減の5488億円となった。このうち、フコクしんらい生命は同3.5%増の1703億円だった。合算の第三分野の保有契約年換算保険料は同0.7%増の1162億円となった。
 2社合算の保険料等収入は、富国生命の団体年金保険の減少を主な要因とし、同7.2%減の5847億円となった。
 フコクしんらい生命の金融機関窓販は、コロナ禍の影響を受けたものの、8月以降は利率更改型一時払終身保険の販売が好調に推移した。貯蓄性一時払商品の収入保険料は、前年度比16.1%増となった。
 富国生命単体の資産運用状況では、20年度は安定した配当が見込める内外の株式や外貨建を中心に社債を積み増し、また、一定の流動性を確保しつつ収益の底上げを図るために短期資金を取り崩して超長期国債に振り向けた。利息及び配当金等収入は、こうした取り組みの推進に加え、内外の株価上昇による株式ファンドの分配金増加などが寄与し、1572億円を計上し、3年連続で過去最高を更新した。
 2社合算の基礎利益は、解約・失効の改善により保険関係損益が前年並みを維持した他、富国生命単体の利息及び配当金等収入が過去最高を更新するなど利差益が増加したことから、前年度末比0.3%増の828億円となった。富国生命単体については、追加責任準備金の戻入により、臨時損益が同387億円増加したため、経常利益が同392億円増の881億円。特別損益が、価格変動準備金を500億円繰り入れたことにより、▲519億円となった。当期純剰余は、同13億円増加の354億円となった。
 連結ソルベンシー・マージン比率は、前年度末から27.8ポイント低下したものの、1303.9%と引き続き高い水準を維持した。
 富国生命単体の自己資本の内訳と自己資本比率については、経常益による内部留保の積み上げを第一義とし、適時外部調達を行うことで自己資本を強化。20年度は内部留保の積み増しや劣後債500億円の発行などにより、自己資本は889億円増加。ERMを着実に進め、保険金等の確実な支払いと配当還元の充実を通じて、契約者に安心・安全を提供するとした。
 社員配当金案では、個人保険については9年連続の増配を実施する。具体的には、危険差益への貢献が大きい主力商品「未来のとびら」の死亡保障性特約について危険差配当を増配し、18年4月以降に締結した契約を危険差配当の対象に追加する。また、新型コロナウイルス感染時の保障を拡大しなかった医療保険について保障の拡大に代えて増配する。増配額は約2億円で、増配件数は約100万件。
 企業保険については、団体年金保険のうち確定給付企業年金保険等について、株式含み益の増加を踏まえ利差配当を増配し、増配額は22億円となる。また、18年発売の新団体医療保険について、「健康経営配当」を新設し、上乗せする危険差配当率は、3~8%となる。
 同社は、今後も強固な財務基盤を維持しながら、配当還元の充実を通じて、顧客の実質的な保険料負担の軽減を進めるとした。