2021.06.01 住友生命 20年度決算、グループ単体とも減益に、保有契約保険料は横ばい

 住友生命が5月21日に発表した2020年度決算によると、住友生命グループの保有契約年換算保険料は、住友生命で新型コロナウイルス感染症拡大に伴う訪問活動自粛などにより新契約がわずかに減少するなど影響を受けたものの、メディケア生命で保有契約が増加した結果、前年度末比0.1%減の2兆8044億円と横ばいとなった。グループ全体の基礎利益は、国内事業は新型コロナウイルス感染症対応によるコスト増大、海外事業は新型コロナウイルス感染症の影響で企業保険部門の損益が悪化したため、前年比で9.0%減となった。

 住友生命グループの新契約年換算保険料は、前年比5.9%減の1907億円となった。国内事業は同3.2%減の1114億円となり、そのうち住友生命単体は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う上半期の訪問活動自粛などの影響が大きく、同13.5%減の949億円となった。一方、メディケア生命は商品改定した主力医療保険が好調で、同209.3%増の165億円となった。海外事業(シメトラ)は、新型コロナウイルス感染症拡大による代理店での個人年金の販売減少などにより、同9.6%減の792億円となった。
 保有契約年換算保険料は、住友生命で新型コロナウイルス感染症拡大に伴う訪問活動自粛などにより新契約が減少するなどの影響を受けたものの、メディケア生命で保有契約が増加した結果、グループ全体では2兆8044億円と前年度末比0.1%減で横ばいとなった。住友生命単体では同0.7%減の2兆2866億円、メディケア生命は同33.0%増の551億円、海外事業(シメトラ)は同0.0%の4625億円となった。
 グループの保険料等収入は、前年比1.3%減少して2兆4155億円。国内事業は、住友生命で新型コロナウイルス感染症拡大などに伴う一時払商品販売減少の影響などにより、同1.6%減の2兆1877億円となったものの、メディケア生命は保有契約が増加したことから同21.0%増加して487億円となり、国内事業全体では同1.2%減の2兆2368億円となった。海外事業は、保有契約が増加したことから米ドルベースでは前年比で増加したものの、為替の影響で円ベースでは同1.8%減少して1787億円となった。
 基礎利益は、グループ全体では3570億円と同 9.0%の減少となった。住友生命は、長期的な成長に向けた投資および新型コロナウイルス感染症拡大に対応したコストが増加したことなどにより、同6.4%減の3476億円。メディケア生命も新契約増加に伴い契約初期費用が増加したことなどにより、前年比で減少し▲198億円となった。海外事業は、シメトラでの新型コロナウイルス感染症拡大の影響を含む企業保険部門の損益悪化を主因として、同5.3%減の321億円となった。
 住友生命単体の利息及び配当金等収入は、公社債や貸付金の償還などの影響もあり、6117億円と同4.3%減少したが、株価上昇による有価証券評価損が減少したことなどにより、資産運用収支全体は増加した。
 連結ソルベンシー・マージン比率は、前年度末比7.5ポイント減少したが、862.5%と十分な健全性を維持している。
 ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(EEV)は、新契約獲得や保有契約からの収益確保など、保険事業のプラスの成果と国内金利・国内株価上昇などによるプラスの影響があり、前年度末比9050億円増の4兆4892億円となった。
 住友生命の20年度決算案に基づく社員配当金は、個人保険・個人年金保険は、一部の生前給付特約の長期継続配当等を増配とし、団体保険は据え置きとする。団体年金保険は所定の算出方法に基づき配当を割り当て、確定給付企業年金保険(02)等、新企業年金保険で予定利率1.25%(解約控除あり)、0.75%とともに責任準備金に対して0.08%を配当、拠出型企業年金保険(02)で予定利率1.25%の責任準備金に対して0.06%を配当する。
 住友生命では22年度末までの3カ年にわたって「スミセイ中期経営計画2022」を進めている。 同計画では「お客さま数(保有契約件数)」「保有契約年換算保険料」「基礎利益(国内・海外事業)」を計数目標として設定しており、20年度末で「お客さま数(保有契約件数)」は1405万件(目標:1400万件)、「保有契約年換算保険料」は2兆3418億円(目標:2兆3100億円)と目標を上回っている。
 また、新型コロナウイルス感染症への対応は、顧客に対してデジタルツールを活用した非対面でのリモート活動を積極 的に推進する他、職員に対しては、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置対象地域は出社抑制の実施などを行っている。。新型コロナウイルス感染症により入院や死亡した場合については、入院給付金や(災害)死亡保険金を支払う。医療機関の事情などにより入院できず、それ以外の場所で治療を受けている場合も、治療期間に関する医師の証明書などの提出で入院給付金を支払っている。