2021.05.31 明治安田生命 20年度決算、グループ・単体共に減収・減益、経営目標は全項目で目標達成

 明治安田生命が5月21日に発表した2020年度決算によると、グループ・単体共に減収・減益となったものの、過年度の推移を踏まえれば高い収益性を維持しており、また、ソルベンシー・マージン比率は連結で過去最高を記録するなど、コロナ禍においても業界トップ水準の健全性を確保した。20年度の単年度の経営計画「とことん!アフターフォロー特別計画」は、経営目標の全項目で目標を達成した。

 グループ保険料(連結損益計算書上の保険料等収入)は、明治安田生命単体における外貨建て一時払保険の販売が減少したことを主因として、前年度比8.3%減の2兆6693億円となった。グループ保険料のうち、海外保険事業等は同0.4%減の3172億円だったが、スタンコープ社の業績は同0.4%増の2956億円となり、順調に推移している。
 グループ基礎利益は、利息及び配当金等収入の減少を主因として、同8.8%減の5798億円となったが、3年連続で最高益を更新した過去3カ年に次ぐ水準で、引き続き高い収益性を確保している。グループ基礎利益に占める海外保険事業等の割合は8.3%。
 連結の経常収益は同1.1%減の4兆286億円、経常費用は同0.5%減の3兆7996億円、経常利益は同9.7%減の2289億円、親会社に帰属する当期純剰余は同9.2%減の1887億円だった。
 連結ソルベンシー・マージン比率は、前年度末差8.9ポイント増の1152.5%と過去最高を記録するなど、引き続き高い健全性を維持している。また、同社の企業価値を表わす新たな指標である「グループサープラス(注)」は、同1兆3200億円増の7兆3700億円。
 明治安田生命単体の業績は、保険料等収入は前年度比9.3%減の2兆3521億円となった。このうち、個人保険・個人年金保険は同8.6%減の1兆5368億円、営業職員チャネルは同5.5%減の1兆2933億円で、営業職員チャネルにおける平準払保険は同1.4%減の1兆2330億円にとどまった。一方、一時払保険は同48.7%減の602億円だった。銀行窓販チャネルは同24.4%減の2083億円だった。
 新契約年換算保険料は、同10.9%減の937億円となった。このうち、営業職員チャネルは同8.4%減の831億円、銀行窓販チャネルは同24.9%減の88億円だった。一方、保障性商品は「ベストスタイル 健康キャッシュバック」の貢献などにより、同6.2%増加して578億円となった。
 保有契約年換算保険料は、新契約年換算保険料の減少により、前年度末比1.4%減の2兆1952億円。このうち、営業職員チャネルは同0.5%減の1兆6273億円、銀行窓販チャネルは同4.1%減の5223億円となった。第三分野保有契約年換算保険料は、解約・失効・減額等が昨年度から大幅に改善したことにより、同3.0%増加して4588億円となった。
 団体保険の保有契約高は同0.4%減の115兆8768億円で、引き続き業界トップシェアを堅持している。団体年金保険は同0.7%増加して7兆8430億円。
 基礎利益は前年度差414億円減の5502億円で、外国債券の利息や内外株式の配当金の減少などにより、利差益が同293億円減少したことが主因。また、テレワークなどのインフラ投資やコロナ対策などにかかる費用、営業職員人件費の増加などの影響により、費差益が同148億円減少した。
 資産運用収支(一般勘定)は、株価が上昇したことに伴い、有価証券の減損が前年度より大きく減少したことなどにより、同2082億円増の8508億円となった。利息及び配当金等収入は8403億円と同312億円減少した。
 ソルベンシー・マージン比率は1069.1%と前年度末差0.2ポイントの減。引き続き高い健全性を維持している。オンバランス自己資本は同1729億円増加し3兆9055億円、実質純資産額は同1兆1880億円増加し10兆6847億円となった。
 一般勘定資産全体の含み損益は、株価上昇による株式の含み益が増加したことを主因に、同9203億円増加し6兆5224億円となった。
 契約クオリティを示す指標は、積極的なアフターフォローにより引き続き良好な水準を維持。解約・失効・減額率は3.96%と前年度差0.16ポイント改善したが、特に主力商品では1.04ポイントと大幅に改善している。総合継続率は、13月目が同0.8ポイント上昇の95.3%、25月目が同0.1ポイント上昇の88.8%となった。
 経常収益は前年度比1.0%減の3兆6117億円。経常費用は同0.9%減の3兆3799億円で、このうち保険金等支払金は同1.1%増の2兆3176億円、責任準備金等繰入額は同12.5%増の2943億円、資産運用費用は同25.9%減の2656億円、事業費は同3.7%増の3754億円。経常利益は同1.5%減の2318億円、当期純剰余は同0.8%減の1985億円だった。
 20年度決算に基づく社員配当のうち、従来の社員配当は危険差配当率・費差配当率をすえ置き、利差配当率を引き下げる。一方、従来の社員配当に加えて、内部留保への貢献度に応じて支払う新たな社員配当の「MYミューチュアル配当」を10月から開始することとし、初年度の支払い総額は249億円を予定している。
 21年度の業績は、グループ・単体共に増収・減益の見通し。基礎利益はコロナ禍が継続する状況下において減益となるものの、引き続き明治安田生命単体では5000億円台の水準を維持する見通し。
 「とことん!アフターフォロー特別計画」の経営目標に掲げる「お客さまアクセス数(個人営業)」は528.3万人(目標達成率105.6%)、「同(法人営業・団体保険加入者)」は283.5万人(同113.4%)、「同(法人営業・団体保険等窓口)」は6842団体(同100.6%)となり、対面・非対面を併用したアクセスの推進により個人・法人営業共に目標を達成した。また、同社の「アドバイザー(営業職員)数」も3万6736人(同106.4%)と04年9月以来の水準となり、経営目標の全項目で目標を達成した。
 (注)近時の国際的な保険グループに対する資本規制および国内の経済価値ベースのソルベンシー規制などの動向を踏まえ、「ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(EEV)」を廃止し、新たな指標として「グループサープラス」を開示している。経済価値ベースで評価した資産と負債の差額で、企業価値を表わす指標。