2021.05.28 SOMPOHD 20年度末決算、連結純利益は16%増の1424億円

 SOMPOホールディングスが5月20日に発表した2020年度通期決算によると、連結経常収益は前期比2.3%増の3兆8463億円となった。このうち、正味収入保険料はSompoインターナショナル(SI)の大幅な増収を主因に同3.5%増の2兆9235億円で、生命保険料は同2.8%減の3461億円だった。連結経常利益は、新型コロナ影響が損保ジャパンの自動車保険損害率低下という形でプラスに寄与し、同226億円(11.8%)増益の2150億円。連結純利益は同199億円(16.3%)増益の1424億円。修正連結利益は同513億円増益の2021億円で過去最高益を記録した。21年度の連結業績予想については、損害率の平常化により連結純利益が174億円減益の1250億円、修正連結利益が28億円増益の2050億円と見込む。

 SOMPOグループの連結純利益1424億円の増減要因は、損保ジャパンが+164億円、海外グループ会社が▲395億円、SOMPOひまわり生命が+34億円、介護・ヘルスが▲5億円、その他・連結調整等で+401億円となる。新型コロナの影響は、国内損保で+180億円、海外保険で▲140億円、国内生保は軽微、介護・ヘルスケアで▲20億円の計+20億円だった。修正連結利益へのコロナ影響は+230億円だった。
 国内損保事業のうち損保ジャパン単体の業績では、保険引受利益は自動車保険の損害率低下を主因に、前期比232億円増益の663億円となった。正味収入保険料は新型コロナによる影響を火災・自動車保険の増収でカバーし、自賠責・家計地震を除いた合計では横ばいの1兆9034億円だった。自賠責・家計地震を含む合計正味収入保険料は同2・0%減の2兆1414億円。
 自賠責と家計地震を除いたE/I損害率は新型コロナ影響による自動車保険や傷害保険の事故率低下を主因に、同3.5ポイント改善し、59.9%となった。このうち自動車保険の損害率は同4.9ポイント改善し54.9%、傷害保険の損害率は同7.8ポイント改善し44.8%だった。除く自賠責・家計地震のW/P損害率は5.1ポイント改善の58.4%。
 正味事業費率(自賠責・家計地震を除く)は消費増税の影響などにより、同0.6ポイント上昇し34.5%となったが、社費率は前期とほぼ横ばい(0.1ポイント上昇)の13.4%だった。新システムの移行開始影響を除くと、21年度の事業費率もおおむね横ばいを見込んでいる。コンバインド・レシオ(W/P、除く自賠責.家計地震)は、同4.4ポイント改善し、92.9%となった。
 資産運用損益で、ネット利息及び配当金収入は前期比78億円減の941億円だった。新型コロナ影響と子会社配当金を除けば堅調。有価証券売却損益が同142億円減の648億円、有価証券評価損が同84億円改善し▲32億円など。資産運用粗利益は同45億円の減益で1464億円となった。なお、政策株式の削減額は、時価ベースのネット削減額で703億円だった。
 経常利益は同150億円増益の1974億円。当期純利益は同164億円増益の1469億円となった。異常危険準備金繰入額等(税引後)、価格変動準備金繰入額(税引後)、有価証券売却損益・評価損(税引後)、特殊要因(税引後)を加減した修正利益は、同639億円増益の1281億円を示した。単体ソルベンシー・マージン比率は前期末比13.8ポイント下がり、703.5%だった。
 国内生保事業で、SOMPOひまわり生命は、新契約年換算保険料は、20年6月発売の新医療保険の販売好調により、同7.3%増の268億円だった。保有契約年換算保険料(個人保険と個人年金保険の合計)は同0.5%増の3812億円。保険料等収入(法令に則った生命保険会社の様式に基づく数値で連結様式とは異なる)は、同1.1%減の4415億円となった。
 事業費は同0.4%減の872億円、資産運用損益は同16.6%増の534億円で、基礎利益は同16.6%増の318億円となった。経常利益(連結様式とは異なる)が同13.0%増の321億円で、当期純利益は貯蓄性商品の保有減少に伴う責準負担軽減などにより、同20.9%増の200億円と拡大した。修正利益は保障性商品の保有増加等により、17億円(5.4%)増益の338億円。単体ソルベンシー・マージン比率は前期末比11.7ポイント低下し、1460.4%となった。
 海外保険事業では、収入保険料はSIでの料率引き上げなどによるオーガニック成長を主因に前期比1380億円増の7382億円を計上した。修正利益は、SIでの新型コロナや自然災害影響を主因に、同200億円減益の300億円にとどまった。SIの保険引受利益は同8400万ドルの減益で、資産運用利益が同5500万ドルの減益、前年度の有価証券未実現益の剥落等を主因にその他損益が同1億3400万ドルの減益となった結果、当期純利益は同2億6700万ドル減益の2億8500万ドル、修正利益は同1億3700万ドル(162億円)減益の1億8200万ドル(188億円)となった。
 介護・ヘルスケア事業等の業績では、修正利益は前期比3億円増益の81億円。このうち介護事業(SOMPOケア)の売上高は同34億円増の1318億円で、修正利益は新型コロナによる特別損失等があるも会社区分変更による税効果の特殊要因もあり、同10億円増益の73億円となった。
 21年度通期業績予想については、新型コロナ影響の一定の剥落と自然災害の平常化を織り込み、連結経常利益が14.0%減の1850億円、連結純利益が12.3%減の1250億円と見込む。株主還元の原資となる修正連結利益は、2年連続過去最高益となる2050億円を見込む。なお、21年度の新型コロナの連結純利益への影響額は現時点で▲60億円程度、修正連結利益への影響額は+90億円程度を見込むとしている。