2021.05.27 MS&ADHD 20年度末決算、当期純利益は1%増の1443億円
MS&ADインシュアランスグループホールディングス(MS&ADHD)が5月20日に発表した2020年度通期決算によると、連結経常収益は前期比5.3%減の4兆8922億円となった。連結経常利益は同94.4%増の3065億円で、連結当期純利益は同1.0%増の1443億円を計上した。損保子会社の連結正味収入保険料は、国内損保では増収するも海外子会社の減収により同2.0%減の3兆5009億円。生保子会社の生命保険料は、三井住友海上プライマリー生命で解約返戻金等が保険料収入を上回ったことなどを主因に、同121.4%減の▲2023億円と大幅に減少した。海外子会社の正味収入保険料は、円高影響やMS Amlinの収支改善に向けた取り組みなどにより12.4%減の6235億円だった。21年度の業績予想では、損保正味収入保険料が3.2%増の3兆6130億円、当期純利益が856億円増益の2300億円(過去最高益)を見込むとした。
連結当期純利益の内訳では、国内損保が前期に海外事業の再編影響(含む価格変動準備金取崩益)があったことの反動などから前期比241億円減の1151億円、海外子会社が新型コロナ関連ロス等の影響により同393億円減の▲31億円となったものの、国内生保が同272億円増益の550億円などとなった。特殊要因として、前期の株式相場下落による海外関連会社に係るのれんの一時償却(チャレンジャー社)や損失引当金(ReAssure社)の反動(+617億円)、連結納税制度導入に伴う一時的な税負担減少(+202億円)があった。また、新型コロナによる発生保険金は国内損保で220億円、海外子会社438億円の計658億円に上っている。
グループ連結の修正利益は前期比185億円減益の2146億円だったが、業績予想対比では46億円上回った。
株主還元については、20年度決算の年間配当を155円(前期比5円増配)とするほか、自己株式取得150億円を予定している。
国内損保主要2社の業績で、正味収入保険料は2社合計で前期比0.6%増の2兆8409億円となった。自賠責保険は減収となったものの、火災・自動車保険における料率改定影響等により増収を確保した。保険引受利益は、自動車保険や国内自然災害に係る発生保険金が減少した一方、自然災害以外の火災保険の発生保険金の増加や異常危険準備金の取崩益の減少等により、同29億円増の114億円。
三井住友海上の正味収入保険料は前期比0.8%増の1兆5595億円で、除く家計地震・自賠責ベースでは同2.8%増の1兆4019億円。正味損害率は同3.5ポイント下がり59.8%、正味事業費率は同0.7ポイント上昇し32.7%、コンバインド・レシオは同2.8ポイント下がり92.5%。家計地震・自賠責を除いたEI損害率は同1.0ポイント下がり60.8%となった。
あいおいニッセイ同和損保の正味収入保険料は前期比0.4%増の1兆2814億円で、除く家計地震・自賠責ベースでは同2.2%増の1兆1379億円。正味損害率は同3.4ポイント下がり58.6%、正味事業費率は同0.4ポイント上昇し34.9%、コンバインド・レシオは同3.0ポイント下がり93.5%。家計地震・自賠責を除いたEI損害率は同1.5ポイント下がり60.1%となった。
国内損保主要2社の資産運用・その他収支は、有価証券評価損の減少などにより同133億円増の1526億円。
三井住友海上の経常利益は同424億円(47.7%)増の1316億円、あいおいニッセイ同和損保は同261億円(44.6%)減の324億円となった。2社合計の当期純利益は、同250億円減益の1138億円だった。三井住友海上が同18億円減益の922億円。あいおいニッセイ同和損保が同231億円減益の216億円。
ソルベンシー・マージン比率は、三井住友海上が前期末比45.2ポイント上昇し746.5%、あいおいニッセイ同和損保が同88.6ポイント上昇し790.9%となった。
国内生保子会社のグロス収入保険料は合計で前期比6.9%減の1兆2973億円。三井住友海上あいおい生命の新契約年換算保険料は同10.6%減の262億円だった。保有契約年換算保険料は同0.0%減の4479億円。保険料(グロス収入保険料)は同1.8%減の5119億円を計上。経常利益は同37.3%増の256億円、当期純利益は事業費の削減に加え、代理店手数料や責任準備金繰入負担などの新契約費の減少により、同58.8%増の119億円だった。
三井住友海上プライマリー生命の保険料(グロス収入保険料)は、新型コロナの影響等を主因に同9.9%減の7854億円だった。経常利益は円安局面において契約者が設定した円貨ベースの目標金額に到達した契約の解約に伴う有価証券売却益等により、同408.9%増の1600億円。当期純利益は従来採用している積立方針に基づき将来の金利為替変動に備えるための価格変動準備金1005億円を積み立てたことなどから、同112.3%増益の431億円となった。
海外保険子会社の業績は、正味収入保険料はMS Amlinの収益改善に向けた取り組みや為替影響(▲188億円)などにより、同12.4%減の6235億円となった。当期純利益は欧州が新型コロナに起因するロスを主因に▲359億円の減益、また海外生保が▲107億円の減益となったことなどから、同108.8%減の▲31億円を計上した。MSアムリンの当期純利益はコロナロス影響を主因に同380億円減益の▲303億円だった。
21年度の業績予想については、正味収入保険料は、国内損保子会社が自動車保険の増収を主因に増収すること、および海外保険子会社もMS Amlinの増収や為替影響を主因に増収することにより1120億円の増収を見込む。当期純利益は、国内損保子会社は自動車のロスの反動増があるもののアーンド保険料の増加や責任準備金繰入負担の軽減などにより増益、海外保険子会社は新型コロナに起因するロスの影響がなくなることにより増益となり、全体では856億円増益の2300億円を見込むとした。