2021.05.26 東京海上HD 20年度末決算、連結純利益は37%減の1618億円

 東京海上ホールディングスは5月20日、2020年度末決算を発表した。それによると、連結経常収益は前年度比0.1%減の5兆4611億円となった。正味収入保険料は同0.2%増の3兆6065億円で通期予想3兆5500億円を上回った。生命保険料は同2.7%減の9549億円だったが、通期予想9200億円を上回った。連結経常利益は同26.7%減の2667億円。親会社株主に属する当期純利益は新型コロナの影響や各種準備金の負担増加を主因に、同37.7%減、979億円減益の1618億円となり、通期予想2000億円を381億円下回る結果となった。修正純利益は、異常危険準備金等の影響を控除し、同494億円増益の3361億円と、ほぼ通期予想通りの着地となった。

 連結の正味収入保険料は、為替影響を除くと前年度比2.7%増となり、基調は好調に推移した。国内の正味収入保険料は2兆4423億円で、コロナの影響や自賠責の料率引き下げを主因とした減収を、自動車・火災の料率改定効果や新種の拡大等による増収により挽回し同0.6%増となった。海外の正味収入保険料は1兆1667億円で、コロナの影響やボトム重視の引受による減収を、各拠点における料率引き上げ等でカバーし、現地通貨ベースでは同7.7%増(為替込みでは同0.3%減)となった。
 21年度の連結正味収入保険料については4.3%増、3兆7600億円と予想している。為替影響を除いて2.2%増。国内は2兆4440億円とし、自賠責の料率引き下げを主因とした減収の一方で、コロナ影響の反動や自動車の料率改定効果等によりほぼ横ばいを見込む。海外は1兆3130億円とし、主に北米の料率引き上げ等により、現地通貨ベースで6.0%増を見込む(為替込みでは12.5%増)。
 連結の生命保険料は、事業保険の解約等により、為替影響を除いて同0.7%減となった。国内の生命保険料は5988億円で、コロナ下での対面販売自粛の影響を、医療保険の新商品効果等で挽回したが、事業保険の解約による保有契約の減少等により同4.5%減となった。海外の生命保険料は3564億円で、Tokio Marine HCC(TMHCC)でのメディカルストップロスの料率引き上げ、引受拡大等により、現地通貨ベースで同6.5%増(為替込みでは同0.4%増)を示した。
 21年度の連結生命保険料については2.6%減、9300億円と予想している。為替影響を除いて4.9%減。国内は5520億円とし、事業保険の解約による保有契約の減少等により7.8%減を見込む。海外は3780億円とし、現地通貨ベースでほぼ横ばいを見込む(為替込みでは6%増)。
 連結純利益は、前年度実績2597億円を979億円下回る結果となった。増減要因としては、国内損保が▲71億円、国内生保が+118億円(主にシステム開発費の減少による)、海外保険が▲1069億円、金融・一般等が+42億円だった。このうち国内損保については、コロナ影響が+291億円、自然災害が+535億円、異常危険準備金(除くコロナ影響)が▲853億円、その他が▲44億円となっており、コロナ影響については、保険引受が+106億円、資産運用が+185億円の内訳となっている。海外保険については、コロナ影響が▲889億円、自然災害が▲113億円、Pureのれん・無形固定資産償却が▲202億円、海外子会社株式の減損等が▲63億円、為替が▲115億円、その他が+313億円の内訳となっており、コロナ影響については、保険引受が▲621億円、資産運用が▲267億円の内訳となっている。
 21年度の連結純利益については、コロナ影響や各種準備金の積増負担の反動等に加え、各拠点において料率引き上げ等の成長施策を着実に実施することで、前年度対比1531億円増益の3150億円を見込んでいる。増減要因としては、国内損保が+644億円、国内生保が+7億円、海外保険が+952億円、金融・一般等が▲71億円としており、コロナ影響の反動は国内損保で+349億円、海外保険で+943億円と見込んでいる。
 実力を示す修正純利益は各種準備金等の影響を控除し、前年度対比243億円増益の4240億円を見込んでいる。
 20年度末の国内損保事業のうち、東京海上日動の保険引受利益は▲169億円となった。既経過保険料の増加や発生保険金の減少の一方、各種準備金の負担増加により、前年度比554億円の減益(ただし、各種準備金の増減影響を除くと1331億円の増益となる)。資産運用等損益は1702億円で、有価証券売却益や配当金の減少により、同118億円の減益。経常利益は同666億円減の1572億円。当期純利益は、同605億円減益の1093億円で、通期予想1550億円を456億円下回る結果で終わった。
 正味収入保険料(民保)は料率改定効果による火災・自動車の増収で同520億円増の2兆219億円となった。発生保険金(民保)はコロナ影響等による海外での発生保険金の増加があったが、自然災害の減少、コロナ影響等による自動車・傷害の事故頻度低下により同623億円減少し1兆2084億円となった。異常危険準備金の積増/積減は、前年度の火災の特別繰入(360億円)の反動による繰入の減少があったが、自然災害の減少やコロナ影響による取崩の減少により、同1378億円増加し718億円の積増となった。自然災害責任準備金の積増/積減は、積立上限に達したことによる積増負担の減少により128億円減少し83億円の積減。E/I損害率は、自然災害の減少やコロナによる外出自粛の影響等により、前年度比5.5ポイント低下し60.8%となった。事業費率は、消費税増税を主因とした手数料率の上昇の一方、社費率の低下により、同0.8ポイント低下の31.6%。コンバインド・レシオは、同6.2ポイント低下の92.5%となった。
 東京海上日動では、21年度の保険引受利益については、コロナ影響の反動等により事業費や発生保険金が増加する一方、各種準備金負担の減少や既経過保険料の増加により、1259億円増益の1090億円を見込んでいる。当期純利益は、1106億円増益の2200億円を見込む。
 日新火災の20年度末保険引受利益は、既経過保険料の増加や発生保険金の減少を主因として、前年度対比40億円増益の68億円となった。資産運用等損益は、有価証券売却益の増加を主因として、同136億円増の172億円。これらの要因により、当期純利益は、同133億円増益の170億円となった。通期予想を10億円上回る結果。21年度については、保険引受利益は80億円増益の148億円、資産運用等損益は120億円減益の51億円を見込んでおり、当期純利益は、56億円減益の114億円を見込んでいる。
 東京海上日動あんしん生命の20年度末の新契約年換算保険料は、コロナ下での対面販売自粛の影響を、新たな医療保険や回払変額保険の販売好調で挽回し、前年度比6.9%増の433億円となった。通期予想を53億円上回る結果。基礎利益は前年度比188億円増益の684億円。当期純利益は、前年度のシステム開発費増加の反動や為替ヘッジコストの減少を主因に、同121億円増益の464億円を計上した。通期予想対比では、新契約年換算保険料の上振れに伴い5億円下回る結果に。21年度については、新契約年換算保険料を450億円、保有契約年換算保険料を7960億円、基礎利益を600億円、当期純利益を470億円と見込んでいる。