2021.05.25 かんぽ生命 20年度末決算 当期純利益は10.2%増、事業費・保険金支払い減で基礎利益増加

 かんぽ生命は5月14日、2020年度末決算を発表した。保有契約の減少が続く状況の中、新契約の減少に伴う事業費の減少や入院保険金等の支払いが減少したことにより基礎利益が増加、また、キャピタル損の改善等により経常利益が前年同期比20.6%増となったことなどにより、当期純利益は同10.2%増の1661億円となった。新契約年換算保険料は、当期は積極的な営業活動を自粛していたことから、個人保険が同79.1%減の306億円、うち第三分野が同93.4%減の14億円となった。保有契約年換算保険料は、個人保険が前期末比9.7%減の3兆8981億円、うち第三分野が同6.5%減の6691億円だった。21年度の連結業績予想については、経常収益6兆3800億円(前期比6%減)、経常利益2900億円(同16.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1180億円(同29.0%減)、1株当たり当期純利益209円80銭と見込む。

 連結主要業績は、経常収益が前期比4251億円減の6兆7862億円となった。このうち保険料等収入が同5476億円減の2兆6979億円、資産運用収益が同161億円減の1兆1216億円、責任準備金戻入額は同1280億円増の2兆8954億円だった。経常費用は前期比4843億円減の6兆4404億円で、このうち保険金等支払金が同3252億円減の5兆8660億円、資産運用費用が同531億円減の708億円、事業費等が同1058億円減の5035億円となった。
 以上の結果、経常利益は同591億円増の3457億円となった。親会社株主に帰属する当期純利益は同154億円増の1661億円。総資産は前期比2.1%減の70兆1729億円、純資産が同47.4%増の2兆8414億円。
 個人保険の新契約件数は前期比80.6%減の12万件で大幅に減少した。商品別では、養老保険が9万件(占率73.1%、前期実績34万件)、終身保険が1万件(占率9.8%、前期実績25万件)、学資保険が2万件(占率17.0%、前期実績4万件)だった。
 個人保険の保有契約件数は、新旧区分合算で前期比8.2%減の2483万件だった。商品別に見ると、養老保険が906万件(占率:36.5%、前期実績1041万件)、終身保険が1206万件(占率:48.6%、前期実績1259万件)、学資保険が357万件(占率:14.4%、前期実績393万件)だった。
 資産運用については、総資産残高は前期末の71兆6647億円に比べ1兆4917億円減少し、70兆1729億円となった。株式、外国証券等の収益追求資産については、日経平均株価等の回復により含み益が増加したことから残高は増加した。国内の公社債については、安定的な収益が確保できる資産として長期債と超長期債を中心に運用を行ったが、償還等により残高は減少した。貸付金については、郵政管理・支援機構への貸付、シンジケート・ローン、地方公共団体貸付、保険約款貸付を実施しており、郵政管理・支援機構への貸付金の償還により残高は減少した。
 資産運用収益については、金銭の信託運用益が増加したものの、総資産残高の減少に伴う利息及び配当金等収入の減少等により、前期比161億円減の1兆1216億円となった。資産運用費用については、為替リスクのヘッジに伴う金融派生商品費用の減少等により、前期比531億円減の708億円となった。その結果、資産運用収支は前期比370億円増加し、1兆508億円となった。
 順ざや・利回りの状況は、順ざやが763億円で、平均予定利率が前期比増減なしの1.69%、利子利回りが同じく前期比増減なしの1.82%だった。また、キャピタル損益は価格変動準備金と相殺されることから大幅に改善し、171億円の損失(前期は1024億円の損失)となった。
 連結ソルベンシー・マージン比率は、前期末から50.3ポイント上昇し1121.2%となった。
 21年3月期の株主還元等については、普通配当が1株当たり76円(期末配当のみ、合計は前期と変わらず)とした。22年3月期の配当は1株当たり90円とし、中間(45円)・期末(45円)の年2回の剰余金の配当を予定しているとした。