2020.11.10 ■明治安田生命 2020年度下期資産運用計画説明会、健全性重視した取組推進[2020年10月26日]
明治安田生命は10月26日、東京都千代田区の本社で、2020年度下期資産運用計画説明会を開いた。運用企画部長の中野康一氏が、20年度上期末のポートフォリオと含み損益の状況やコロナ禍における資産運用の取り組みについて報告するとともに、20年度下期資産運用計画の概要について説明した。20年下期の資産運用計画については、新型コロナウイルスの第2・3波の有無や規模によって、経済に与える影響が不透明であり、ボラティリティの高いマーケットの推移を予測し、経営理念の「確かな安心を、いつまでも」に立ち返り健全性を重視した取り組みを推進することに加えて、高位・安定的な収益を得るための態勢(資産運用プラットフォーム)の再構築を推進する方針を示した。
コロナ禍における資産運用の取り組みについて同社は、資産運用における業務継続体制の整備を推進、具体的には、出社する従業員の感染防止対策の徹底や在宅勤務の推進などにより、平時と同様の業務ができる態勢を維持した。
また、在宅で有価証券発注業務等を可能にするシステム環境の整備や、押印の廃止、ペーパーレス化による出社を要する業務の削減などを行い、コロナ禍を踏まえた「新常態」の働き方改革を推進した。
国内貸付や不動産については、生保会社としての金融機能の維持や顧客保護の観点から、国内企業からの借り入れ打診に対し、資金面の支援を社会的要請として捉え柔軟に対応したことに加え、返済条件の変更等についても個別事情に応じて迅速かつ適切に対応した。また、同社不動産に入居する店舗・オフィスからの家賃の支払い猶予と減額等を実施した。
この他、スチュワードシップ活動については、議決権行使では、当面の間、「低ROE」「株主還元不十分」「業績不振」の企業に対しては、対話を通じて業況を把握して、一時的な影響によるものかどうかを考慮した上で、最終的な賛否を判断したと報告した。 引き続き、20年度上期末のポートフォリオの状況(速報値)について説明。総資産(一般勘定・薄価ベース)は、39兆6500億円となり増加の見通しとした。
一般貸付は、コロナ禍を受けて企業からの借り入れ申込が増加し200億円の増加となった。公社債は低金利環境が継続する中、金利が上昇した局面を捉えて超長期の日本国債を買い入れたことにより1200億円の増加となった。
株式は300億円の減少、外国公社債等は米ドル・豪ドル建債券に為替オープンで投資した他、ヘッジ付外債・アウトソーシングの投資を進めたため決算取引を除いたベースで2400億円の増加、外国株式等は外債・外株アウトソースへの入替に加えて、新規の積み増しを行った結果100億円の増加となった。
その他の証券は、900億円程度の増加、不動産は横ばいとなった。
20年度上半期末含み損益の状況(速報)については、全体で19年度末比4400億円増の5兆5000億円となった。そのうち公社債は国内金利の上昇により、同1700億円減少した。一方で、国内株式の含み益が株価の回復を受けて同5300億円、外国株式等が同500億円の増加となった。また、外国公社債の含み益は同100億円の減少となった。
20年度の経済環境の見通しについて、日本経済は、繰り越し需要の蓄積に特別定額給付金の効果も加わり、足元では高い伸びとなっているものの、反動増の一巡後は、成長率が再度鈍化するとの予想を示し、マイナス成長の見通しとした。
20年度下期の資産配分計画については、円建債券とヘッジ付外債、またオープン外債とアウトソース等の間で配分額が変更できる計画を策定しているとし、内訳として円建債券は増加の見通し、外債は償還を含めて減少の見通しとした。また、ボラティリティの大きい金融市場動向を踏まえ、金利スワップ・オプション等のデリバティブを活用して適宜リスク管理を実行する方針を示した。
[QQ]国内外の金利水準、ヘッジコスト等に応じて配分を変更していくとし、ヘッジ付外債(ソブリン等)は減少の見通しとしている。
国内貸付は、コロナ禍の影響などを精査しながら、スプレッド確保に重点を置いた運営を推進していく考えを示し、横ばいとした。株式は価格変動リスク抑制の観点から、薄価占率上昇を抑制したい考えから減少の計画とした。
オープン外債と外国投信等については、定められたリスク量を上限として、為替・金融市場の環境に応じて配分を変更して投資を行うことから減少とした。外国投信は、海外金利・クレジットを中心に市場環境を見ながら投資を行うことから増加の計画を示唆した。
ヘッジ付外債(クレジット)は、コロナ禍の影響などを精査しつつ、先進国を中心に高水準のスプレッドを確保する良質な案件を厳選して積み増すため、増加の見通しとした。投資用不動産は、保有物件の建替え・再開発に加えて、国内中核都市における新規投資を推進することから、やや増加の見通しと説明した。