2020.11.05 ■東京海上日動 小規模M&A表明保証保険を発売、バトンズのDDサービスと連携[2020年]
東京海上日動は11月から、小規模M&Aに特化した表明保証保険の販売を開始した。オンラインM&AプラットフォームやM&A仲介等を活用して行われる小規模なM&A案件に、保険の仕組みを組み込むことにより、中小企業の円滑な事業承継や積極的な事業展開を支援する。
東京海上日動は、本年1月に日本語で引受審査や証券発行を行う業界初の表明保証保険「国内M&A保険」、8月に標準表明保証条項を活用した中小企業向け表明保証保険「M&A NEXT」の販売を開始するなど、M&Aのリスクに関する保険商品の開発に注力している。ところが、これまでの商品では、企業情報を把握するデューデリジェンス(企業調査、以下DD)の実施を前提としていたため、費用の問題や専門知識・経験のある専門家が限られているなどの理由でDDが実施されない小規模なM&Aに対しては、保険を提供することができなかった。DDは、買収対象企業のリスクを洗い出し買収後のトラブルを減少させる効果があり、M&Aにおける重要なプロセスの一つだが、中小企業のM&A、特に小規模なM&AではDDを実施せず買収対象企業を十分に調査できないまま買収に至るケースも多いようだ。
今回、東京海上日動は、日本M&Aセンターのグループ会社でM&A総合支援プラットフォーム「Batonz(バトンズ)」を運営する㈱バトンズ(東京都千代田区、大山敬義代表取締役兼CEO、以下、バトンズ)と連携し、バトンズが提供する小規模M&Aに特化したDDサービス「バトンズDD(企業調査)」と小規模M&A向けの表明保証保険を組み合わせることで、小規模M&Aに対しても保険を提供する仕組みを構築した。
小規模M&A向け表明保証保険は、バトンズDDを利用するすべての買い手企業に、表明保証条項のうち「財務」「労務」に関する表明保証違反によって生じた損害を補償する表明保証保険(M&A Batonzベーシック、以下、ベーシック)を提供する。「ベーシック」の補償額は一律300万円。また、買い手企業が、「ベーシック」以上の補償額・補償内容を希望する場合は、「財務」「労務」に加え、「税務」「株式」に関する表明保証違反によって生じる損害を補償する表明保証保険(M&A Batonzアドバンス、以下、アドバンス)を提供する。「アドバンス」の補償額はニーズに合わせて個別に設定することが可能。「ベーシック」「アドバンス」ともに免責金額30万円が設定されている。
中小企業の経営者の高齢化や後継者不足により、休廃業や解散を選択する企業が増加傾向にあり、日本経済の大きな課題となっている。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、中小企業を取り巻く環境は一段と厳しくなっている。本年10月1日には、中小企業の事業承継を支援する法律「中小企業成長促進法」が施行されるなど、廃業回避や雇用継続の対策として、事業承継を促進する動きが国全体に広がってきている。
東京海上日動では、買収前の適切なDDと買収後の表明保証保険による補償をセットで提供することで、M&Aを取り巻くトラブルを減少させ、円滑な事業承継の促進につながると考え今回の商品開発に至ったとしており、小規模M&A向け表明保証保険を広く展開することで、後継者不足や雇用維持に課題を抱える中小企業の事業承継を支援していくとしている。