2020.08.25 ■第一生命HD 20年度第1四半期決算、グループ修正利益1800億円予想[2020年8月12日]

 第一生命ホールディングスが8月12日に発表した2020年度第1四半期決算によると、連結保険料等収入は前年同期比17・9%減の1兆230億円となった。グループ基礎利益は同8%減の1369億円だった。親会社株主に帰属する四半期純利益(連結純利益)は408億円で同21%減少した。グループ修正利益は同83%減の162億円。第一生命で3月末からの金融市場反転等を受けて金融派生商品損益が悪化し修正利益が同67%の減少となったことや、米プロテクティブで市場変動要因により損益が悪化したことなどが影響した。

 第一生命グループの連結主要業績は、連結経常収益が前年同期比2%減の1兆7913億円だった。連結経常利益は同27%減の767億円だった。
 新契約年換算保険料はグループ全体で同51・2%減の380億円、国内3社計では同63・8%減の209億円となった。国内新契約は第一生命の営業自粛をはじめとする営業活動の制限に加え、第一フロンティア生命では海外金利の大幅な低下に伴う外貨建貯蓄性商品の利回り低下も影響し、それぞれ同65%、同68%の減少。一方、代理店チャネルを中心に医療保険を展開するネオファースト生命では新型コロナに伴う需要増加等も受けて同27%の増加となった。海外は、1~3月期を取り込む米プロテクティブや第一生命ベトナムが堅調に推移したものの、豪TALの団体保険の反動減等により、全体では同15%の減少となった。
 グループ全体の保有契約年換算保険料は前年度末比0・6%増の3兆9950億円だった。国内3社計では同0・3%増の3兆663億円。第一生命は同0・7%減の2兆961億円で、このうち第三分野は同0・5%減の6915億円となった。第一フロンティア生命は同2・8%増の8305億円、ネオファースト生命は同0・1%増の1396億円だった。
 グループ各社の業績では、第一生命は経常収益が前年同期比365億円増の9451億円となった。このうち、保険料等収入は同382億円減の5437億円、資産運用収益が同925億円増の3681億円だった。
 経常費用は同937億円増の8964億円で、このうち保険金等支払金は同834億円減の4658億円、責任準備金等繰入額は同773億円増の1053億円、資産運用費用は同1138億円増の1758億円、事業費は同19億円増の956億円だった。
 経常利益は同572億円減の487億円、四半期純利益は同402億円減の194億円だった。新契約年換算保険料は同65・3%減の72億円で、このうち第三分野は同69・9%減の41億円となった。基礎利益は順ざやの増加を主因に同25%(233億円)増の1178億円となった。
 第一フロンティア生命は経常収益が同582億円増の4864億円となった。このうち保険料等収入は同2132億円減の1547億円、資産運用収益は同2715億円増の3317億円だった。経常費用は同113億円減の4408億円で、このうち保険金等支払金は同595億円増の2681億円、責任準備金等繰入額は同1128億円増の1621億円、資産運用費用は同1745億円減の3億円、事業費は同82億円減の87億円となった。
 経常利益は同696億円増の455億円、四半期純利益は同620億円増の365億円だった。新契約年換算保険料は同68・0%減の111億円。純利益の増加は、事業利益が債券売却益の増加などで同50%増の205億円となったことや、市場価格調整(MVA)関連損益の反転等によるもの。修正利益は、運用期間満了を迎えた変額年金の危険準備金戻入が剥落し、同26%減の108億円となった。
 ネオファースト生命の新契約年換算保険料は同26・6%増の24億円。新契約の拡大に伴い保険料等収入は同5%増の285億円となった。保険金等支払が増加したが、責任準備金等の戻入が相殺した結果、当期純利益は▲36億円となった。
 海外事業では、米プロテクティブは1億1700万米ドルの当期純損失となり、豪TALは前年同期比38%減の3700万豪ドルの当期純利益を計上している。
 第一生命のソルベンシー・マージン比率は前年度末比32・5ポイント低下して951・9%となったが、引き続き高い水準を維持している。第一生命ホールディングスの連結ソルベンシー・マージン比率は同12・4ポイント低下して871・7%となった。
 通期のグループ業績予想については、6月末の金融環境や下期の営業活動の正常化等を前提に、グループ修正利益は前期比34%減の1800億円程度、グループ新契約価値は同41%減の900億円程度と予想した。新型コロナ感染拡大に伴う影響等を受け、20年度はグループ中期経営計画における計数目標を下回るとの見通しを示した。
 決定を留保していた前期決算に対する株主還元としての自己株式取得については、300億円を上限とする実施を決定。21年3月期の1株当たり配当予想62円は変更なしとし、引き続き総還元性向40%をめどとする株主還元を検討するとした。