2020.08.26 ■かんぽ生命 20年度第1四半期決算、連結純利益は38.3%増[2020年8月7日]

 かんぽ生命は8月7日、2020年度第1四半期決算を発表した。連結業績では、四半期純利益が前年同期比38・3%増の467億円となった。新契約の減少に伴う事業費等の減少、20年3月期に計上した保険金等支払引当金について、契約調査の進展等を見積もりに反映したことによる戻入等によるもので、通期業績予想1240億円に対して進捗率は37・7%となった。新契約年換算保険料は、19年7月中旬以降、今期も積極的な営業活動を自粛していることから、個人保険が同93・5%減の60億円、うち第三分野が同98・3%減の2億円だった。個人保険の新契約件数は前年同期比94・4%減の2万件だった。

 連結主要業績では、経常収益は前年同期比1225億円減の1兆6963億円で、通期業績予想に対する進捗率は24・8%。このうち、保険料等収入は同2230億円減の7128億円、資産運用収益は同161億円減の2607億円、責任準備金戻入額は同1324億円増の7012億円だった。
 経常費用は同1365億円減の1兆6264億円で、このうち、保険金等支払金は同1147億円減の1兆4619億円、資産運用費用は同71億円増の383億円、事業費等は同290億円減の1261億円。第1四半期の委託手数料は、同242億円減の499億円。委託手数料のうち、新契約手数料は同191億円減の144億円、維持・集金手数料は同51億円減の355億円だった。拠出金は、同3億円減の140億円だった。
 経常利益は、同139億円増の699億円となり、通期業績予想に対する進捗率は35・0%。総資産は前期末比8629億円減の70兆8018億円で、純資産は同4254億円増の2兆3538億円となった。
 かんぽ生命の保有契約年換算保険料は、個人保険が4兆2038億円で前期末比2・7%減、うち第三分野が7026億円と同1・8%の減少となった。
 個人保険の保有契約件数は、新旧区分合算で前期末比2・2%減の2647万件だった。商品別に見ると、養老保険は1004万件(占率37・9%、前期末実績1041万件)、終身保険は1245万件(占率47・0%、前期末実績1259万件)、学資保険は385万件(占率14・5%、前期末実績393万件)、その他は13万件(占率0・5%、前期末実績13万件)となっている。
 かんぽ生命の単体ベースで、順ざやが前年同期から58億円減少し66億円となったものの、新契約の減少に伴う事業費等の減少、20年3月期に計上した保険金等支払引当金について、契約調査の進展等を見積もりに反映したことによる戻入等により保険関係損益が同254億円増の1038億円となった結果、基礎利益は前年同期を上回る1104億円となった。キャピタル損益は価格変動準備金で中立化する会計処理を継続して実施し、382億円の損失となったが、基礎利益の増加に伴い、経常利益は同137億円増の695億円、四半期純利益も同128億円増の464億円となった。
 外国証券等の収益追求資産への投資残高は、時価の上昇の影響により前期末比5・1%増の10兆4482億円で、総資産に占める割合は14・8%に拡大した。平均予定利率は、前年同期から横ばいの1・69%、利子利回りは前年同期から0・03ポイント低下し1・74%だった。
 有価証券の含み益は7兆5896億円で前期末から20億円減少した。このうち満期保有目的の債券は5兆7570億円で同4605億円の減少、責任準備金対応債券は9068億円で同969億円の減少、その他有価証券が9256億円で、同5555億円の増加となっている。
 連結ソルベンシー・マージン比率は、1121・5%で前期末比50・6ポイント増加した。
 エンベディッド・バリュー(EV)は前期末からの金利および株価の上昇等により8・6%増加し、3兆6085億円だった。
 21年3月期の連結業績予想は、経常収益が6兆8500億円、経常利益が2000億円、当期純利益が1240億円と見込む。株主還元等では、普通配当を1株につき76円を予定。この他、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を慎重に見極める必要があることから中間配当は行わず、期末配当のみとする予定。