2020.07.17 ■日本郵政、契約調査の状況報告 全契約深掘調査が6月末完了[2020年6月30日]

 日本郵政の増田寛也社長は6月30日、オンライン上で記者会見を開き、日本郵政グループで実施している「お客さまの信頼回復に向けたご契約調査」の進行状況について報告した。増田社長は、全契約調査の深掘調査について顧客都合によるものなどを除き、6月末で契約内容の確認がおおむね完了する見込みだと述べた。また、今後の信頼回復に向けたフォローアップ活動の基本方針として「全顧客に対して契約の確認と意見を聞き、生命保険を顧客に役立てる活動を積極的かつ継続的に実施する」と語った。
 増田社長はまず、特定事案調査について、顧客都合によるものを除き3月末で対応が完了していると説明。かんぽ生命の特定事案調査の募集人調査については、6月25日時点で法令違反が315件(420人)、社内ルール違反が3268件(2194人)と報告した。また、業務廃止は11人(退職者10人を含む)、1カ月から6カ月の業務停止は924人、2週間または3週間の業務停止は1513人、不服申立期間中など処分判定中は166人で、業務停止期間中は募集人に対して研修を実施する他、活動再開後も郵便局管理者が4カ月間にわたって処分された募集人の活動のモニタリングを行い、適正な募集活動を確保するなどといった施策を示した。
 日本郵便でも、かんぽ生命が保険業法に基づき実施してきた法令/社内ルールに違反した募集人の処分に関して、募集人が所属する代理店として6月中旬から人事上の処分を進めているとした。
 全契約調査についても、6月21日時点で102・7万人の顧客から回答を得ていること、顧客都合によるものを除き3月末で対応が完了していることを話した。このうち法令違反/社内ルール違反の可能性がある苦情は3750件で、すでに募集人調査や顧客の利益回復に向けた対応を実施しており、苦情などがあった顧客(うち0・8万人が契約復元などを希望)に対しては、かんぽ生命社員などによる訪問や専用コールセンターの電話対応などを行っているとした。
 また、全契約調査の深掘調査は、顧客都合によるものを除き6月末で契約内容の確認がおおむね完了する見込みであり、今後引き続き丁寧な対応を実施していくと述べた。
 深掘調査のうち、多数契約調査に関する募集人の処分は、6月21日時点で業務廃止が75人(退職者5人を含む)、3カ月または6カ月の業務停止が2人で、多数契約以外の調査では、金額や回数の多寡に応じてかんぽ生命社員の訪問またはレターによる調査を実施していると説明した。
 これらの現状を踏まえ、今後の信頼回復に向けたフォローアップ活動の基本方針として、「日本郵政グループは、すべてのお客さまに対して、ご意向の通りの契約となっているか確認し、ご意見を伺い、ご加入の生命保険をお客さまのお役に立てる活動を積極的かつ継続的に実施していく」を掲げ、本年度は営業再開後も目標を設定せず、フォローアップ活動を中心とした活動を進めることで、顧客からの信頼回復を図る考えを示した。
 さらに、「契約者・被保険者が別人の終身保険契約」「払込完了の契約を解約し契約乗換を行った契約」も継続的に確認活動の対象とするとともに、6月15日に顧客の声を分析するグループ横断型の「JPボイスプロジェクト」を立ち上げたことを明らかにし、商品開発やリスク感度の向上などに生かしていくと語った。
 最後に増田社長は、かんぽ生命商品の営業再開について、①不適切販売の調査が計画通りに進み、利益回復の道筋がついている②法令/社内ルール違反の募集人の募集停止の実施③違反した募集人・管理職に対する処分の道筋がついている④不適正募集の防止策の実施⑤募集人に対する再教育とその仕組みの整備―の五つの条件を示し、「これらを全て満たした上で、JP改革実行委員会などの第三者の意見を踏まえて総合的に判断する」と説明した。