2020.07.16 ■住友生命 20年定時総代会開催、新中計2022スタート[2020年7月2日]

 住友生命は7月2日、大阪府大阪市のホテルニューオータニ大阪で「2020年定時総代会」を開催した。議長を務めた橋本雅博社長が19年度決算概要や「スミセイ中期経営計画2019」の成果、20年度の取り組み方針について報告した他、決議事項として19年度剰余金処分案承認の件など4議案を審議し、全て承認された。橋本社長は、新たな3カ年計画「スミセイ中期経営計画2022」をスタートし、“住友生命「Vitality」”の推進を通じて健康長寿社会に貢献すると述べ、「社会に貢献すること、社会に信頼されること、社会の変化に適応することで、お客さまに寄り添いながら事業を前進させていく」との方針を示した。

 総会では橋本社長が、事業経過と成果について、中計の最終年度となる19年度は、顧客本位の業務運営の下、①スミセイライフデザイナー(営業職員)②金融機関等代理店・保険ショップ③資産運用④海外事業―の四つの事業とその基盤強化に取り組んだと報告した。
中計の軸となるブランド戦略については、「“お客さま”」「社会」「会社・職員」との健康増進という新しい共有価値の創造を通じて、社会的課題である「健康寿命の延伸」に貢献するCSVプロジェクトを推進したと述べた。
 また、個人保険分野では営業職員や金融機関等代理店、保険ショップといったマルチチャネルでの保険販売とサービス提供に取り組み、社会環境の変化や多様化する顧客ニーズに対応した。営業職員チャネルでは、「人生100年時代」での健康長寿社会の実現を目指し、CSVプロジェクトを中心に取り組みを進めたとした。
 業績については、個人保険・個人年金の新契約年換算保険料が外貨建一時払終身保険の販売減少等により、前年度比13・2%減の1097億円で、保有契約全体の年換算保険料が前年度末比1・0%減の2兆3025億円となった。
 継続率については、13月目継続率が95・4%(前年度末比1・8ポイント減)、25月目継続率が93・2%(同1・5ポイント減)となった。
 収支については、収入面では、保険料等収入が前年度比7・5%減の2兆2243億円、資産運用収益が同2・6%減の7400億円となった。支出面では、保険金等支払金が同3・5%減の1兆8856億円、資産運用費用が同10・0%増の2684億円、事業費が同2・4%減の3200億円となった。この結果、経常利益は同52・6%減の951億円で、これに特別損益を加えた当期純剰余は、同18・6%減の493億円となった。基礎利益は同1・5%減の3715億円、総資産については、同0・7%増の32兆9511億円となった。ソルベンシー・マージン比率は、同56・6ポイント減の873・6%となったが、引き続き十分な水準を確保していると説明した。
 橋本社長は、人口構造の変化やデジタライゼーションの進展、働き方改革推進などにより、社会全体が加速度的に変化していくとした上で、「こうした環境の下、将来にわたって持続的に顧客の役に立つには、社会の変化を的確に捉えて対応し、社会から必要とされ続けることが重要だ」との見解を示した。
 20年度の取り組み方針については、顧客の健康増進のサポートに向け、「Vitality」を軸に「人生100年時代」に対応するコンサルティングと、顧客に寄り添い続けるサービスをスミセイライフデザイナー(営業職員)を通じて推進していくとした。
 金融機関等代理店・保険ショップでは、商品提供ラインを拡大することに加えて、顧客のニーズに応える商品のフルラインアップを実現する。また、顧客の安心と満足につながる収益力向上とリスクコントロール強化に取り組み、ESG投融資の推進や資産運用を支える専門人材の育成、シメトラとの協働等を通じた運用体制強化を図るとした。
 海外事業については、基本方針に基づき、シメトラやアジア出資先の収益力向上への取り組みを推進するとともに、海外出資先とのシナジー発揮や海外事業を支える人材育成、グループガバナンスの高度化に取り組むとした。
 デジタルトランスフォーメーションの取り組みについては、営業職員等を通じた「人ならではの価値」と融合させ、顧客の体験価値を向上させる改革を行う。顧客の意向や状況を常に収集・理解し、「人」と「デジタル」による顧客に寄り添ったサービスの提供を目指していくとした。
 こうした事業を支える経営基盤構築には、役職員一人一人が顧客視点で行動する必要があるため、「住友生命グループ行動規範」を周知・徹底・実践し、顧客本位の業務運営を推進し、働き方変革を促進していく。さらに、環境変化に対応して、将来にわたるサービスの提供を目指し、長期的な目線に立った企業体質変革に向けた投資を行うとした。
 橋本社長は、「あらゆる取り組みを着実に進め、さまざまな環境の変化に対応していくことで、社会に『なくてはならない』保険会社の実現を目指す」と決意を述べた。
 決議事項では、①19年度剰余金処分案承認②社員配当金割当③定款一部変更④取締役11人選任―の4議案について説明があった後、採決され全て承認された。