2020.06.18 ■損保協会 定例会見、認定個人情報保護団体の業務報告[2020年6月12日]

損保協会は6月12日、業界紙向け定例記者会見を行い、認定個人情報保護団体の認定業務に関する2019年度の実施状況を報告した。19年度の苦情受付件数は14件、相談・問い合わせ件数は13件だった。また、前日に行われた金杉恭三協会長による日銀記者クラブの会見について報告。新型コロナウイルス感染症や近年多発する自然災害対策などに対する同協会と業界の取り組みを説明した。(金杉協会長のステートメント全文を4~5面で掲載)

 19年度の苦情処理実績は、苦情受付件数が14件、そのうち解決件数が12件(全て第三者機関などを用いずに解決)、未済件数が2件だった。苦情内容の内訳は「安全管理措置(法第20~22条)」が最も多い5件で、次いで「第三者提供の制限(法第23条)」が4件、「適正な取得(法第17条)」が3件、「個人保有データに関する事項の公表、開示等(法第27~30条)」と「その他」がそれぞれ1件だった。また、これら以外の相談・問い合わせ件数は13件だった。
 認定個人情報保護団体の認定業務は、個人情報の保護に関する法律第47条の規定に基づき、対象事業者の個人情報などの適正な取り扱いを確保することを目的としている。19年度、同協会では対象事業者の個人情報の取り扱いに関する苦情処理、対象事業者に対する情報提供、個人情報保護指針の制定・改廃および指導・勧告などを実施した。
 20年度も引き続き、「苦情処理」「情報提供」「指導・勧告・その他の措置」「その他業務」を実施する。具体的には、苦情処理業務は苦情解決の申し出に対する相談に応じて必要な助言を行い、事情を調査するとともに、対象事業者に内容を通知して迅速な解決を求める。苦情解決事案の処理については、苦情処理業務に関する規則第12条に定める弁護士などの第三者に適宜意見を聴取して対応する。
 情報提供業務は、「損害保険会社に係る個人情報保護指針」と「損害保険会社における個人情報保護に関する安全管理措置についての実務指針」を随時見直し、常時公表するとしている。また、19年度の個人情報の取り扱いに関する苦情・相談の対応状況の概要について、「認定業務に関する実施報告」の別紙としてまとめて公表する。
 「指導・勧告・その他の措置」の業務は、対象事業者の個人情報の取り扱いが適切でない場合に行う。「その他業務」では、個人情報保護に係る情報(行政当局の情報も含む)を対象事業者に提供する。また、個人情報保護の動向に関する調査研究を行い、適宜対象事業者に情報提供する他、対象事業者の個人情報の適正な取り扱いの確保に関し必要な業務を行う。
 金杉協会長の会見報告では、記者団から新型コロナウイルス感染症に対する業界の課題認識などに関する質問が寄せられた。金杉協会長はコロナ収束後も以前のような業務運営には戻れないとして、「新しい生活様式」への適応やテレワークなどによるビジネス変革を進める必要性を指摘した。さらに新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って顧客から新しい補償を求めるニーズが高まり、各会員会社が商品改定・開発を実施しているとした。次年度の課題としては、常態化する自然災害への対応を挙げた。同協会では、昨年12月に自然災害対応検討プロジェクトチームを設置し、主に①風水災の保険金支払い②不正請求対策―の2点について、業界共同の対応策を引き続き検討していると報告した。
 また、今期で退任する金杉協会長は次期協会長に対する期待として、こうした課題を踏まえた自然災害に対する対応力強化と、業務効率の向上を目指した業界の標準・共通化を挙げ、協会長退任後も理事の一人として全力でサポートすると語った。