2020.05.27 ■SOMPOHD 19年度末(20年3月期)決算、正味収保3.9%増示す[2020年]

 SOMPOホールディングスが5月20日に発表した2019年度末(20年3月期)決算によると、連結経常収益は前期比3・2%増の3兆7603億円となった。このうち、正味収入保険料はSompoインターナショナル(SI)と損保ジャパンが引き続き好調で同3・9%増の2兆8254億円で、生命保険料は同1・8%増の3560億円だった。連結経常利益は、損保ジャパンの前年度の政策株式売却加速の反動などの影響をSIを中心とした海外保険事業のオーガニック成長など他事業の増益で一定カバーし、同3・3%減、65億円減益の1924億円。連結純利益は同241億円減益の1225億円となった。株主還元では年間配当150円とし、353億円の自己株式取得を決定した。

 国内損保事業のうち、損保ジャパンの保険引受利益は、国内自然災害の影響の減少を主因に前期比11億円増益の431億円となった。火災保険契約の長期化や消費増税影響を受けたが、ベースの損害率が改善している。
 正味収入保険料は、火災保険、自動車保険が増収をけん引、中小企業向けの新種保険も引き続き好調だったところから同1・7%増の2兆1847億円となった。種目別では、火災が長期契約を中心とした新規契約の増加、企業物件を中心とした料率適正化などを主因に同7・6%増と増収、2851億円となった。海上は同5・8%増の469億円。傷害は同2・2%減の1669億円だった。自動車は19年1月および20年1月の商品・料率改定による単価アップに加え、大口フリートの成約などにより増収し、同1・1%増の1兆847億円となった。自賠責は同0・8%増の2805億円。その他は中小企業向けパッケージ商品の販売が引き続き好調で、同1・0%増の3205億円となった。その他のうち、賠償責任は同0・4%減の1685億円。自賠責・家計地震を除いた合計では同1・8%増の1兆9038億円となった。
 国内自然災害の発生損害額の減少を主因に、正味支払保険金は同5・5%減の1兆3018億円となった。国内自然災害の損害では、元受発生保険金は3905億円だったが、再保険カバーによる回収額が2973億円だったため、正味発生保険金は932億円にとどまっている。自賠責と家計地震を除いたE/I損害率は同3・9ポイント改善し、63・3%となった。このうち自動車保険の損害率は同1・7ポイント改善し59・8%だった。
 正味事業費率(自賠責・家計地震を除く)は同0・3ポイント上昇し33・8%となったが、社費率は前期の13・5%から当期は13・3%と0・2ポイント下がり、着実に削減されている。コンバインド・レシオ(自賠責・家計地震を除く)も、同4・3ポイント改善し、97・3%となった。
 資産運用損益では、ネット利息及び配当金収入が前期比55億円増の1020億円、有価証券売却損益が同209億円減の791億円、有価証券評価損が▲117億円など。資産運用粗利益は前年度の政策株式売却加速の反動が主因となり、同389億円の減益で1509億円となった。なお、政策株式はおおむね計画どおり削減しており、時価ベースのネット削減額は1004億円だった。
 経常利益は同331億円減益の1823億円。当期純利益は、国内自然災害の影響が減少したものの、政策株式売却加速の反動の影響を主因に、前年度の固定資産売却益剥落の影響もあり、同451億円減益の1305億円となった。一方で、ベースの損害率改善などを背景に、異常危険準備金繰入額等(税引後)、価格変動準備金繰入額(税引後)、有価証券売却損益・評価損(税引後)、特殊要因(税引後)を加減した修正利益は同173億円増益の641億円を示した。単体ソルベンシー・マージン比率は前期末比4・9ポイント下がり、717・3%だった。
 国内生保事業では、SOMPOひまわり生命は、新契約高(個人保険)が前期比41・7%減の2兆4755億円、新契約年換算保険料が同32・5%減の250億円だった。保有契約高(個人保険と個人年金保険の合計)は同3億円減益の23・6兆円。保有契約年換算保険料(個人保険と個人年金保険の合計)は同0・2%増の3793億円だった。うち保障性商品は同3・9%増の1542億円。保険料等収入(法令に則った生命保険会社の様式に基づく数値で連結様式とは異なる)は、同0・5%増の4465億円となった。
 事業費は同6・1%減の876億円、資産運用損益は同1・7%増の458億円で、基礎利益は同2・0%減の272億円となった。保障性商品を中心とした保有契約拡大により、経常利益(法令に則った生命保険会社の様式に基づく数値で連結様式とは異なる)が同7・0%増の284億円で、当期純利益は同7・7%増、11億円増益の165億円と拡大した。修正利益は320億円と、新契約減少や保険金等の増加により前年(328億円)を下回った。
 単体ソルベンシー・マージン比率は前期末比35・4ポイント低下し、1472・1%となった。
 介護・ヘルスケア事業等の業績では、修正利益は前期比25億円増益の77億円。このうち介護事業(SOMPOケア)の売上高は同45億円増の1284億円で、修正利益は入居率改善・生産性向上によるコスト削減により、同21億円増益の62億円となった。
 海外保険事業では、収入保険料は前期比725億円増の6002億円を計上した。修正利益は、SIやSompoシゴルタ(トルコ)のオーガニック成長を主因に、同170億円増益の501億円となった。このうちSIはスペシャルティ保険を中心とした増益を主因に保険引受利益で同118億円の増益、資産運用利益で同56億円の増益、その他で同32億円の減益の合計320億円の修正利益を計上している。
 連結の20年度通期業績予想については、国内自然災害の平常化や各事業のベース利益の成長を見込み、連結経常利益は305億円増益の2230億円、連結純利益も274億円増益の1500億円を見込む。なお、新型コロナウイルス感染拡大などの連結純利益への影響額は、現時点で▲140億円程度を見込むとしている。