2020.04.15 ■金融庁 新型コロナウイルス関連で保険業界に要請 柔軟な約款解釈・適用を[2020年4月10日]

 金融庁では4月10日、栗田照久金融庁監督局長名で生命保険協会会長、日本損害保険協会会長、外国損害保険協会会長、日本少額短期保険協会会長宛てに「新型コロナウイルス感染症に関する保険約款の適用等について(要請)」とする要請文を発出した。「保険契約者等保護の観点から、前例にとらわれることなく、柔軟な保険約款の解釈・適用や商品上の必要な措置を検討」するように要請しており、業界としての検討が始まっている模様だ。また、13日には金融機関向けに「出勤者7割削減を実現するための要請について」も発出された。

 金融庁監督局長名で出された要請は以下の通り。

 新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴い、保険約款の解釈・適用を巡って、保険契約者等からの相談等が増えることも想定される。
 保険会社等においては、当該事案が生じた場合の現場での混乱を未然に防止するとともに、保険契約者等保護の観点から、前例にとらわれることなく、柔軟な保険約款の解釈・適用や商品上の必要な措置を検討していただきたい。
 なお、厚生労働省健康局より、別紙のとおり、新型コロナウイルス感染症の法律上の位置づけに関する見解を受け取っているので、保険約款の解釈・適用を行う場合に参考にしていただくとともに、商品上の対応を行う場合には、当庁としても最優先事項として迅速な対応を行うことを申し添える。
 以上について、貴協会におかれては、今後、保険会社等において、上記の趣旨を踏まえた適切な対応の検討がなされるよう、会員各社に周知いただくことを要請する。

 「別紙」は、4月9日付で厚生労働省健康局結核感染症課から金融庁監督局保険課宛てに出された「新型コロナウイルス感染症の法律上の位置づけについて」で、新型コロナウイルス感染症が「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下、感染症法)第6条第8項の指定感染症として定められていること、指定政令に基づき、新型コロナウイルス感染症については、感染症法第7条に基づき、感染症法上の消毒その他措置等を準用することにより、一類感染症又は新型インフルエンザ等感染症等と同等の法的措置が適用されていること、今後、得られている医学的知見に基づき、感染症の類型区分を見直し、指定感染症から一類感染症又は二類感染症等に位置付ける予定であることが記載されている。

 また、13日に発出された「出勤者7割削減を実現するための要請について(周知)」は、4月11日の新型コロナウイルス感染症対策本部における総理大臣の発言を踏まえ、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室から、出勤者7割削減を実現するための要請がなされたところから、金融機関等に出されたもので、「要請事項」として、「基本的対処方針の別添に挙げている、指定公共機関や指定地方公共機関等の、「緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業者」については、「三つの密」を避けるため取組みなど十分な感染防止策を講じつつ業務を継続することを優先した上で、各事業者の業務継続計画等を踏まえて可能な範囲で、出勤者7割削減に取り組むこと」とされている。