2020.04.14 ■損保ジャパン 音声認識自動応答システム導入、顧客の用件をAIが理解し自動受付[2020年]

 損保ジャパンは3月から、自賠責保険の顧客対応部署(自賠責お客さまサポートデスク)で、電話受付にAIを使用した音声認識自動応答システム「CTC AICON(シーティーシーアイコン)を導入した。伊藤忠テクノソリューションズが提供するもので、AIが顧客の発話内容を理解し、問い合わせ内容ごとに適切な窓口の振り分けを行うサービスは保険業界初となる(同社調べによる)。

 「CTC AICON」の機能は、①音声認識を利用した用件把握②用件に沿った手続きの自動受付―の2点からなる。
 ①では、これまでは音声案内に従い、顧客が最適な窓口の番号をプッシュする必要があったが、同システムでは顧客の発話内容からAIが用件を音声で認識し、最適な担当アドバイザーにつなげる。例えば、顧客が「住所を変更したい」等の発話をすると、同システムが用件を認識し、必要に応じて自動音声で対応する。発話の情報はテキスト化され、担当アドバイザーに速やかに連携されるため、その後の対応がスムーズになる。
 ②では、同システムが顧客の発話から、自動受付による対応がスムーズと判断した場合、顧客を待たせることなく、音声認識による自動受付を行い、必要に応じて、途中で担当オペレーターにつないで交代する。
 損保ジャパンのコールセンターでは、顧客からの問い合わせの際に、担当アドバイザー(オペレーターのこと)につなげるまでの間、混雑状況によっては顧客を待たせてしてしまうという課題があった。また、少子化による労働人口の減少により、今後コールセンターの人材確保が難しい環境となることも予測されている。
 そこで、人手に頼らずスピーディーに顧客対応ができる仕組みを構築するため、このシステムを導入したという。これにより「音声認識を利用した顧客の用件把握」や「用件に沿った手続きの自動受付」が可能となり、顧客の問い合わせに要する時間の短縮を目指す。
 本サービスは導入後も随時改善を続け、2020年度内には、自賠責お客さまサポートデスク全体の受付件数(年間9万件程度)の約30%の通話の自動応答を目指す。さらに、20年度以降、自動車保険・火災保険・傷害保険などのコールセンター業務への展開も検討している。
 損保ジャパンでは、顧客とアドバイザーとの会話を、音声認識技術を用いてテキスト化し、その内容に基づく最適な回答候補をアドバイザーに表示する「アドバイザー自動知識支援システム」、新・海外旅行保険【off!(オフ)】のインターネットサイトにおける「AIによる自動応答(チャットボット)」導入などを通じて、「ヒト」と「機械」を組み合わせたコールセンターの実現を目指してきたが、今後も、デジタル技術をさまざまな業務に展開することで、顧客対応品質の一層の向上を図っていくとしている。