2019.09.27 生保協会 定例会見 外貨建保険の苦情分析報告 業界共通取り組みの検討へ

 生保協会の清水博協会長は9月20日に行われた日銀記者クラブの定例会見で、会員各社に対して行った顧客本位の業務運営に関するアンケートの実施概要と外貨建保険の苦情状況について説明した。外貨建保険については、PDCAを強化する観点から本年度は苦情分析の頻度をこれまでの半期に1度から四半期ごとに変更。4月から6月の間に寄せられた苦情は608件で、前期比ではマイナス14%になっているものの、前年同期比ではプラス19%になっていると説明し、「募集人教育の向上に関しては、外貨建保険の販売に必要な業務知識や苦情削減に資するコンプライアンスリテラシー等の向上に向けた業界共通の取り組みについても検討していきたい」と語った。

 顧客本位の業務運営に関するアンケートは、同協会が「顧客本位の業務運営の徹底」を本事務年度の所信取り組みの柱と位置付けていることに加えて、先般金融庁が公表した「利用者を中心とした新時代の金融サービス」においてもその重要性が示されていることを踏まえ、会員各社の体制や取り組みについて幅広く情報収集し、フィードバックを通じて会員各社の経営高度化の後押しをする目的で実施したもの。
 対象は国内で営業する全ての生保会社で、「お客様ニーズに沿った販売を徹底するための取組み」や「重要な情報を理解頂くための取組み」「高齢者に配慮した保険募集等のルール」「アフターフォローの取組み」などについて聞いている。アンケートは9月5日に発出され、一次回答締切は9月12日、最終回答締切は9月30日となっている。結果は10月中をめどに会員各社にフィードバックされる予定で、同協会のホームページにも掲載される。
 この他、かねてより課題となっている銀行等代理店における外貨建保険の苦情の状況を報告した清水協会長は、第1四半期の苦情件数は608件で、2018年度の第4四半期に比べると14%減少しているものの、前年同期比では19%増の状況にあると説明。苦情原因は「説明不十分」が約7割で、特に80歳以上では契約者本人以外(親族等)からの申し出が約4割に上ると語った。
 同協会では、金融機関によるアフターフォローの強化と適合性確認の強化に加え、募集人教育の向上を重点取り組みと位置付け、これまでに、ベストプラクティスの収集や各金融機関・元受会社による独自のリテラシー向上取り組み(研修等)を行ってきたが、今後は、金融機関に対するベストプラクティスの提供や、ベストプラクティスをベースとした取り組みの基準化の検討、「外貨建保険の販売に必要な業務知識」や「苦情削減に資するコンプライアンス・リテラシー」等の向上に向けた業界共通の取り組みの検討を進める方針だ。
 清水協会長は最後に、所信の一つであるビジネスコンテストへの協賛についても報告した。同協会では、若年層との接点の拡大、生命保険の意義の理解促進に向けてマイナビが運営する国内最大規模の高校生向けビジネスコンテスト「キャリア甲子園2019」と大学生向けビジネスコンテスト「CAREER INTERCOLLEGE2019」への協賛を発表している。
 いずれのコンテストでも、デジタル技術を活用した新しい保険商品やサービスのアイデアを募集していることを紹介した清水協会長は、今回の協賛について「保険のことをよく知ってもらうとともに、保険について考える機会を提供することで、学生が考える力を自ら育てることに貢献していきたい」と期待を込めた。