2019.09.26 損保協会 定例会見 自然災害に対する取組等説明 外国人向け情報提供サイトリリース

 損保協会は9月20日、業界紙向けの定例記者会見を行い、前日に日銀記者クラブで行われた金杉恭三協会長の会見の内容を報告した。金杉協会長は、就任時に設定した二つの重点課題である「自然災害に対する取り組み」と「高齢者・外国人向けの取り組み」などについて説明。これらの重点課題は日本の社会や経済にとって優先して対応するべき重要事項だと述べ、今後も着実に重点課題に対する取り組みを進め、日本の「安心かつ安全で持続可能な社会の実現」と「経済および国民生活の安定と向上」に貢献していく考えを示した。

 協会長会見で金杉協会長は、自然災害に対する取り組みについて、全国各地で啓発の取り組みを実施していることを説明。特に昨年大きな水害が発生した岡山県や、観測史上初の震度7を記録した北海道で開催した防災イベントでは、大規模災害対策における自助・共助・公助の重要性について啓発したことを報告した。
 関東地方を直撃した台風としては過去最強クラスとなった「令和元年台風15号」については、9月13日現在の各種損害保険の事故受付件数が約18万5000件(損保協会会員会社、外国損保協会会員会社などの合計)に上るとし、「発災後の停電の影響などもあるため、支払い規模の見通しは不明だが、支払い件数だけを見ると『平成30年台風24号』に迫る可能性がある」と示唆した。
 同協会の対応策に関しては、被災者に対する自然災害を補償する保険の案内や、災害救助法が適用された地域での継続契約手続きや保険料の支払い猶予、自然災害等損保契約照会センターの設置などについて、ウェブサイトを通じて案内しているとした。
 外国人向けの取り組みは、災害時の訪日外国人旅行者・在留外国人向け情報提供サイト「Information on Staying Safe in Japan」を9月6日に同協会のウェブサイトにリリースしたことを説明。同サイトはスマートフォンや5カ国語に対応しており、日本国内で災害や事故などに遭遇した時に有用と考えられる情報を一元化しているとした。
 また、同サイトをより多くの人に利用してもらうため、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会と連携し、全国約1万6000の宿泊施設にQRコード付きチラシを提供するとともに、ラグビーワールドカップが開催される12都道府県の宿泊施設(208施設)にうちわと情報カードを配布したとし、引き続き災害時における外国人の安心・安全に資する取り組みに注力する考えを示した。
 定例会見ではこの他、10月19、20日に愛知県名古屋市で開催される、内閣府などが主催する「ぼうさいこくたい(防災推進国民大会)2019」に参画することを報告した。
 同協会は、19日に開催される自然災害に対応する地域防災力向上をテーマとした防災人材交流シンポジウム「つなぎ舎」に協力団体として参加する他、20日には「南海トラフ地震への備え」をテーマにパネルディスカッション&演芸で学ぶセッションを開催する。また、20日に内閣府/南海トラフ地震対策中部圏戦略会議が主催するハイレベルセッション「南海トラフ巨大地震のソナエ」や、クロージングセッションにも参加する。
 同時開催される「あいち・なごや防災フェスタ」では、2日間にわたりテントブースを出展し、インスタント写真を用いた防災カードづくり体験や、小学生向け実践的安全教育プログラム「ぼうさい探検隊」で作成した愛知県内の「ぼうさいマップ」の複製展示を実施する予定だ。