2019.09.30 第一生命 人生100年時代の予防の取組拡大 2型糖尿病の顧客向けの検証を開始

 第一生命は、人生100年時代におけるプリベンション(予防)の取り組みを拡大し、9月17日、2型糖尿病の顧客に向けた「生活習慣改善個別サポート」のサービス実現性・実用性等を検証する概念実証(Proof of Concept:以下、PoC)をスタートさせた。2016~19年にかけて学校法人藤田学園藤田医科大学(以下、藤田医科大学)と日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)と実施した2型糖尿病に関する共同研究プロジェクトの成果を活用し、2型糖尿病により同社が入院給付金を支払った顧客(500人程度)に対して、栄養指導を中心とした個別サポートのサービスを提供しながら、その実現性・実用性等を検証する。

 今回のPoCでは、日々の食事や運動データを活用し、専任の管理栄養士がチャットで一定期間サポートする「生活習慣改善に向けた個別サポート」を顧客に無料で提供し、2型糖尿病に対する個別サポートのサービス実現性・実用性等を検証する。PoCに当たっては、㈱エス・エム・エス(以下、SMS)、㈱おいしい健康(以下、おいしい健康)、日本IBMが協力する。
 検証の柱は、①栄養指導(SMS)②食事レシピ(おいしい健康)③糖尿病性腎症悪化予測ツール(IBM)―の3本。
 「栄養指導」では、参加者がスマートフォンに所定のアプリをダウンロードの上、食事写真や歩数等を記録する。SMS社の管理栄養士がその記録内容をもとに週に1度食事や運動習慣に関して、アプリのチャット機能を通じて改善に向けたサポートを行う。「食事レシピ」では、参加者は、糖尿病を改善する上で重要となる食事管理について、おいしい健康社が提供する管理栄養士監修のレシピ検索・献立作成サービスを利用できる。また、「糖尿病性腎症悪化予測ツール」については、参加者は、同社と藤田医科大学、日本IBMの共同研究で構築した糖尿病性腎症の悪化予測モデルを利用できる。参加者が過去半年間に実施した3回分の血液検査結果等12項目の結果を提出することで、参加者と類似する血液情報の人の「180日以内に腎症のステージが1から2以上になる統計的リスク」を直接通知するもの。
 PoCの実施期間は、今年9月~20年7月を予定しており、進捗状況によって終了時期を変更することもある。対象者は、同社の保険契約で19年8月以降に2型糖尿病により入院給付金を支払った顧客で、かつ所定の条件を満たした人(500人程度)。条件は例えば、年齢は40~70歳、透析療法をしていない、HbA1cが6.0以上~9.5以下、妊娠中でない等で、対象の顧客には別途案内を送付する。プログラム期間は一人当たり90日間。
 同社は、InsTechによるプリベンションの取り組みを通じて、国民の健康寿命の延伸、QOLの向上、医療費抑制に向けた新たな保険サービスの開発を行っている。これまでも、健康診断書を提出するだけで保険料を割り引くことができる「健康診断割引」や、認知症予防につながる「認知症予防サービス」を付帯した「かんたん告知認知症保険」を発売。また、ビッグデータの解析・活用による生命保険の引受基準の緩和や、宮古島において企業・住民が一体となった健康増進取り組みのPoCを実施するなど、プリベンションに対する取り組みを進めてきた。 
 全世界の糖尿病患者は4億2500万人に上り、40年までには約7億人に増加することが予想されており、日本においても糖尿病患者は328.9万人、関連する医療費は年間1兆2132億円となっている。同社では、「糖尿病は放置すると網膜症、心疾患、腎臓、神経、足病変などの重篤な合併症をもたらす疾患であり、これら糖尿病の合併症は健康寿命とQOLの低下につながるとともに、元に戻す(完治させる)ことは困難といわれている。そのため生活・食習慣の改善により合併症の発症を防ぐことが、健康寿命の延伸、QOLの向上、医療費抑制の観点からも大変重要」としている。