2019.06.04 AIG損保 自然災害診断ツールの提供開始、地震、津波などの発生予測をマッピング

 AIG損保は6月から、使用を希望する代理店や同社の営業担当者などを対象に、自然災害診断ツール「BCP ACTIVE CARE promotion(自然災害診断サービス)」の提供を開始した。地震、津波、洪水、土砂崩れといった自然災害リスクの発生予測をマッピングすることで、中小企業の顧客に災害時のリスクを認識してもらい、リスクマネジメントの支援に活用するもので、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会が実施した「ジャパン・レジリエンス・アワード2019(強靭化大賞)」で優秀賞を受賞した。同ツールを展開することで、代理店のリスクコンサルティング力を高め、同社が注力する中小企業マーケットの開拓を進めていく考えだ。

 「BCP ACTIVE CARE promotion」は、企業の自然災害リスクに対する認識を高めることから保険提案アプローチまでをフロー化したセールス・プロモーション・パッケージで、代理店のPCに専用ソフトをダウンロードして使用する。
 「データプロット画面」では、代理店、募集人ごとに担当する法人契約者の所在地を日本地図上に表示し、その地図に、色分けした地震、津波、土砂崩れ、洪水のハザードマップを重ねることにより、契約者所在地周辺の自然災害リスクの度合いを視覚化する。地図は拡大表示が可能で、企業ごとの自然災害リスクを一目で把握することができる。
 「代理店表画面」では、代理店や募集人単位で法人契約者のハザード状況や業種別集計、付保状況などが表示され、担当顧客の分析に役立つ。また、契約者ごとの自然災害リスク情報をまとめたレポートを自動作成することができ、自然災害リスクにフォーカスした火災保険のパンフレットなどと併用することで、法人顧客の所在地における自然災害リスクを案内しつつ、必要な補償の提案をスムーズに進めることができる。
 また、同社と連携する法人会・納税協会の会員企業の自然災害リスクを表示するパッケージも用意している。自然災害リスクに関する情報を提供することで、その対策などに関心を示す企業を同社代理店につなげて、法人開拓に結び付ける考えだ。
 近年、自然災害の頻発、巨大化に伴い、中小企業を中心に事業継続に支障を来すケースが増加している。中小企業庁では昨年11月に、有識者で構成された中小企業強靭化研究会を発足。今年1月の中間取りまとめでは、自然災害リスクへの認識不足による準備の不十分さを災害発生時の事業中断の主な要因に挙げており、今後、中小企業強靭(きょうじん)化法を前提とした公的認定制度の創設や、保険加入等のリスクファイナンス対策の促進などで事前対策を強化していくとしている。
 国のこうした動きを受けて、同社では、中小企業のBCP策定やリスクマネジメントを支援していくことが保険会社としての役割だと考え、「BCP ACTIVE CARE promotion」の開発に着手。昨年末に、法人会・納税協会用をリリースするとともに、代理店向けのパイロット版を製作し、テストを重ねて機能改善を図った。6月から約100代理店に提供し、ユーザーからのフィードバックを基にさらなる改善と機能拡充を図った後、より多くの代理店に提供していく。
 同社では、「法人のお客さまが自社の抱えるリスクを認識し、被災した際でもしっかり事業継続していける体制を整備してもらうことを目的に、今回の新ツールを開発した。代理店の方々にフル活用してもらい、リスクコンサルティングから、お客さまにとって必要な補償の提案につなげていただければと思っている」として、今後のツールの浸透に意欲を示している。