2019.06.03. フコク生命グループ 19年3月期決算 利配収入26年ぶり過去最高 個人保険は7年連続増配

 フコク生命グループが5月27日に発表した2019年3月期決算によると、保険料等収入は富国生命の団体年金保険の減少などにより、前年度に比べ微減となった。2社(富国生命、フコクしんらい生命)合算の基礎利益については、過去最高であった前年度からは減少したものの、6年連続の900億円台を確保した。個人保険は7年連続で増配を実施することとしている。富国生命単体の利息および配当金等収入は、2002年度以来、26年ぶりに過去最高を更新した。

 2社合算の新契約高は前期比14.7%増の1兆6375億円。新契約年換算保険料も、同9.6%増の178億円。解約失効高は同2.0%減少。解約失効年換算保険料は同2.3%減少し、引き続き改善した。
 保有契約高は、前期末比1.2%減少したものの、減少幅は縮小。保有契約高の反転増加に向けて引き続き取り組む方針だ。保有契約年換算保険料は、両社共に減少し、同1.8%減の5590億円だったが、第三分野の保有契約年換算保険料は同1.2%増加の1138億円となった。
 保険料等収入(合算)は、富国生命の団体年金保険の減少などにより前期比3.3%減の5774億円となったものの、富国生命の個人保険分野の平準払いは安定的に推移した。
 フコクしんらい生命の金融機関窓販では、18年4月に信用金庫業界初の「認知症診断給付金付き介護保障定期保険特約」を発売したこともあり、保障性商品の販売件数が大きく伸展。18年10月発売の「利率更改型一時払終身保険」により、販売実績が大きく伸展した。同社では、今後も保障性商品の販売に注力しつつ、貯蓄性商品もバランスよく販売していく方針だ。
 富国生命単体での資産運用を見ると、18年度は自己資本の充実に応じたリスクテイクにより収益性向上を図るため、内外金利差の拡大トレンドを背景にオープン外債中心の投資を実施してきた。海外主要中央銀行が金融政策正常化に対し慎重な姿勢に転じたことから戦略を見直し、ヘッジ付外債を購入した他、既保有のオープン外債にヘッジを付し、為替リスクを圧縮。利息および配当金等収入は1554億円と、1992年以来、26年ぶりに過去最高を更新した。
 2社合算の基礎利益は過去最高であった前年度からは7.3%減少したものの、912億円と6年連続で900億円台を確保した。基礎利益の内訳を見ると、危険差益は安定的に推移しているものの、大型システム開発投資の減価償却費などにより費差損が拡大し保険関係損益は減少。利差益は利息および配当金等収入の増加により前年度比2.3%増加した。
 連結ソルベンシー・マージン比率は前期末から109.0ポイント上昇し、1236.4%と引き続き高水準を維持した。
 富国生命単体の自己資本比率の長期推移と内訳については、経常利益による内部留保の積み上げを第一義とし、適時、外部調達を行うことで自己資本を強化。自己資本の充実度に応じたリスクテイクの下、収益力の向上を図る方針で、18年度決算においては内部留保を424億円積み増した。
 こうした状況を踏まえ、個人保険については7年連続の増配を実施。健康志向の高まりを先取りし、入院給付金の支払いがない医療保険契約に対する配当(健康配当)を05年度決算から実施しており、今期はこの健康配当を増配する。医療保険の配当総額は、この増配により2億円増加して33億円。増配対象契約は104万件に上る。