2019.05.20 かんぽ生命 19年3月期決算、当期純利益15.3%増、第三分野の増加基調続く

 かんぽ生命は5月15日、2019年3月期決算を発表した。当期純利益は前期比15.3%増の1204億円で増益となり、通期業績予想(修正後)に対する進捗(しんちょく)率は108.5%となった。個人保険の新契約年換算保険料は、主に保障性商品へのシフトと若年層の開拓の影響により、同6.6%減の3513億円となったものの、第三分野の新契約年換算保険料は同4.1%増の616億円で、過去最高の水準となった。個人保険の保有契約年換算保険料は前期末比3.8%減の4兆6771億円で、第三分野の保有契約年換算保険料は同0.3%増の7531億円。収益追求資産(外国証券等)への投資は、前期末比で8.1%増の10兆2177億円だった。総資産に占める割合は、同1.5ポイント増加し、13.8%まで拡大した。エンベディッド・バリュー(EV)は、前期末から4.9%増加し、3兆9257億円。新契約価値は前期から1.3%減少し、2238億円となった。

 個人保険の新契約件数は前期比1.6%減の171万件だった。商品別では、保障ニーズを捉えた営業推進により、特別養老保険が39万件(占率:23.0%、前期実績33万件)、普通終身保険(倍型)が40万件(占率:23.7%、前期実績36万件)で、増加傾向が継続。普通養老保険は44万件(占率:26.1%、前期実績49万件)、普通終身保険(定額型)が23万件(占率:13.5%、前期実績28万件)、特別終身保険が10万件(占率:6.0%、前期実績12万件)、学資保険は12万件(占率:7.5%、前期実績13万件)だった。
 個人保険の保有契約件数は、新旧区分合算で前期末比4.2%減の2914万件だった。商品別に見ると、養老保険は1165万件(占率:40.0%、前期末実績1257万件)、終身保険は1301万件(占率:44.6%、前期末実績1296万件)、学資保険は434万件(占率:14.9%、前期末実績472万件)、その他は13万件(占率:0.5%、前期末実績13万件)。
 連結経常収益は前期比362億円減の7兆9166億円で、通期業績予想に対する進捗率は103.4%。このうち、保険料等収入は前期比2765億円減の3兆9599億円、資産運用収益は同801億円減の1兆2044億円、責任準備金戻入額は同3188億円増の2兆7167億円だった。
 経常費用は同80億円増の7兆6517億円で、このうち、保険金等支払金は同211億円減の6兆8688億円、資産運用費用は同399億円増の1460億円、事業費は同136億円減の5198億円。事業費の約7割を占める日本郵便へ支払う委託手数料は、新契約の減少等により、同141億円減の3581億円となった。委託手数料のうち、新契約手数料は同196億円減の1461億円、維持・集金手数料は同55億円増の2119億円だった。
 経常利益は、事業費が減少したものの、キャピタル損が増加したことを主因に同443億円減の2648億円となり、通期業績予想(2600億円)に対する進捗率は101.9%。親会社株主に帰属する当期純利益は、キャピタル損の増加を価格変動準備金の戻入益で相殺し、同159億円増の1204億円、通期業績予想(1110億円)に対する進捗率は108.5%と増益を確保した。総資産は前期末比3.8%減の73兆9050億円、純資産は同6.6%増の2兆1351億円だった。
 資産運用については、昨今の超低金利環境の継続を受け、運用資産の多様化を進めてきた結果、株式・外国債券など収益追求資産の残高は10兆2177億円となり、総資産比で13.8%まで拡大。平均予定利率は前期から0.01ポイント低下し1.70%、利子利回りは0.02ポイント低下し1.79%で、584億円の順ざやを確保した。ヘッジ付外債の残高が増加したことに伴い、金融派生商品費用等のキャピタル損益は837億円の損失となった。
 満期保有目的と責任準備金対応で保有する債券の含み益の合計は7兆8764億円、その他有価証券の含み益は6334億円で前期末から増加。その結果、有価証券全体の含み益は8兆5099億円となった。
 健全性の状況については、経営環境の変化に伴うリスクに備え、将来にわたり健全で安定的な経営を確保するため、危険準備金1兆9627億円、価格変動準備金8974億円を積み立てている。追加責任準備金は5兆8801億円。連結ソルベンシー・マージン比率は1189.8%と、引き続き高い健全性を維持している。
 20年3月期の連結業績予想は、経常収益7兆1800億円、経常利益1900億円。19年3月期における運用収益の上振れ効果が剥落することに加え、事業費の増加により、当期純利益は930億円を見込む。
 19年3月期の期末配当は、1株当たり68円の普通配当に加え、業績を踏まえ、1株当たり4円の特別配当を実施。これにより、1株当たり配当金は72円となる。
 20年3月期の株主還元として、剰余金の配当は普通配当を1株につき8円増配し、1株当たり76円とする予定。また、20年3月期から、株主への利益還元の機会を充実することを目的に、中間配当、期末配当の年2回の剰余金の配当を行う。
 なお、同日開催の取締役会で、3740万株の自己株式を消却することを決議した。