2019.04.11 東京海上日動 “空飛ぶクルマ”開発企業に保険提供 試験飛行の賠償責任を補償 航空保険ベースに補償範囲拡大
東京海上日動は3月28日、国内で“空飛ぶクルマ”の試験飛行・実証実験を目指す企業に対し、保険の提供を開始したことを発表した。“空飛ぶクルマ”の実用化に向けては、経済産業省と国土交通省が発足した「空の移動革命に向けた官民協議会」がまとめた「空の移動革命に向けたロードマップ」において、2019年から試験飛行や実証実験等を行い、20年代半ば、特に23年を目標に事業をスタートさせ、30年代から実用化をさらに拡大させていくとの目標スケジュールが掲げられている。東京海上日動では、試験飛行・実証実験が開始されることに先立ち、“空飛ぶクルマ”を開発中の企業に対して、保険商品の提供を開始した。
“空飛ぶクルマ”とは、既存のインフラに依存せず、「電動」かつ「自動」で「垂直離陸」が可能な移動手段のこと。現在、主に次のような利用が想定されている。
▽都市での活用:渋滞を避けた通勤等
▽災害時の活用:救急搬送や迅速な物資輸送
▽離島・山間部での活用:過疎地・高齢化地域に移動手段を提供
“空飛ぶクルマ”の実用化に向けては、2018年8月に経済産業省と国土交通省が「空の移動革命に向けた官民協議会」を発足し、18年12月に開催された第4回会合において、「空の移動革命に向けたロードマップ」がとりまとめられた。同ロードマップでは、19年に試験飛行・実証実験、20年代半ばに実用化、30年代以降に実用化の拡大―との目標スケジュールが掲げられるとともに、保険制度や被害者救済ルール等の必要性も明記されている。
東京海上日動では、国内で試験飛行・実証実験が開始されることに先立ち、“空飛ぶクルマ”を開発中の企業に対して、保険商品を提供する。
今回、同社が提供する保険商品では、“空を飛ぶ”という特徴から、従来の「航空保険」をベースに第三者への賠償責任補償(対人・対物)をカバーする一方、補償の適用範囲を、飛行中だけでなく、“クルマ”として走行している状況下にも拡大。また、保険約款上の“航空機”の定義を、有人航空機だけでなく、無人航空機(リモートコントロールのための装置等を含む)まで拡大した。
現時点では、試験飛行・実証実験は許可を受けた特定施設内でのみ可能であるため、保険の適用場所は、指定施設の敷地内(屋内・屋外)に限定している。なお、その施設が借用施設である場合は、その施設の損傷に対する賠償責任も補償範囲に含む。
同社では今後、段階的に高度化していくとみられる実証実験の内容に合わせ、新たな法整備などに随時対応しながら、迅速かつ柔軟な商品開発・改定を行うとともに、技術進展のプロセスで得られる知見を基に、新たな補償・サービスの開発を検討していく。
同社は、まだ日本に自動車が1000台ほどしか走っていなかった1914年に、「人とクルマの毎日を安心なものにしたい」という思いから、日本で初めて自動車保険の営業認可を取得。“空飛ぶクルマ”についても、保険提供を皮切りに、最先端のリスク研究と商品開発への挑戦を重ね、実用化、そしてさらなる拡大の時代到来まで、世の中に安心・安全を提供し続ける役割を果たしていくとしている。