2019.03.06 損保協会定例会見 19年度自賠責運用益拠出事業決定 自動車事故被害者対策中心に スマホ活用した事故防止対策等も

 損保協会は2月22日、業界紙向けの定例記者会見を行い、2月21日の理事会で、2019年度自賠責運用益拠出事業が決定したことを明らかにした。新規5事業を含めた38事業に対する総額は18億5417万3000円で、19年度は自動車事故被害者対策を中心に取り組むとともに、昨今の交通環境の変化を踏まえ、スマートフォンを活用した事故防止対策など、新しい分野へも積極的に拠出することを基本方針とした。

 同協会は1971年から、各損保会社から拠出される自動車損害賠償責任保険の運用益を活用して、自動車事故防止対策事業や被害者対策事業などを支援している。
 2019年度の内訳は、自動車事故防止対策に1億5788万9000円、救急医療体制の整備に5億3828万6000円、自動車事故被害者対策に9億5482万5000円、後遺障害認定対策に7000万円、医療費支払適正化対策に1億3317万3000円。
 新規事業として追加したのは、自動車事故防止対策における「地域密着型交通安全教育の方策開発と普及活動支援」「スマートフォンを利用した個人交通事故リスク算出と行動改善に関する研究」「高齢者の運転再教育および運転リハビリテーションによる運転期間延伸手法の科学的検証と体系化に関する研究」「歩行者事故低減に向けた子どもに対する安全教育および周囲の監視に関する研究」と、自動車事故被害者対策における「交通事故などの遺族による被害者などの生きた証を伝承する活動が心のケアに寄与する影響に関する調査」の5事業。また、自動車事故被害者対策における「脊髄損傷当事者によるピアサポート事業支援」と「高次脳機能障がい者の社会復帰支援に関する研究事業」を拡充した。一方、自動車事故防止対策の「交通事故防止用機器の寄贈」、救急医療体制の整備の「公的病院への救急医療機器購入費補助」、自動車事故被害者対策の「交通事故無料相談事業支援」は減額した。
 定例会ではこの他、防災および地震保険普及に関する特別番組の放送、全米保険監督官協会(NAIC)の来訪について説明した。
 同協会は18年度地震保険広報活動の一環で、防災特別番組「防災スペシャル!大災害とニッポン」を制作し、2月9日の午後7時から、BS日テレで放映。同番組では、地震の基礎知識や歴史、防災、生活再建の鍵となるお金と地震保険について、それぞれの専門家が解説し、経済的備えの大切さなど、大災害から命と暮らしを守るために必要な情報を伝えたと報告した。同番組の視聴率を踏まえると13万680世帯に見られたことになるとし、多くの人に啓発することができたと説明した。
 また、地震保険をはじめとした自助による経済的備えの重要性を啓発するため、3月10日に東京MXテレビで、「いつか来る大地震への備え~被災者に学ぶ本当に必要な準備~」と題した防災特別番組を再放送(初回は昨年12月15日)することも報告した。同番組は、俳優の緒形直人氏によるロケを通じて、東日本大震災と熊本地震の被災地の復興状況や、地震保険などの経済的備えが果たした意義などを伝える内容となっている。なお、同番組は東京MX社が提供するアプリ「エムキャス」で、再放送後1週間は全国からいつでも好きな時間にスマートフォン・タブレットからも視聴することが可能だ。
 NAICの来訪は、NAICが金融庁との定期会合で来日するに当たり、同協会から訪問を打診したことにより、1月24日に実現。同協会は伊東祐次常務理事らが対応し、保険監督者国際機構(IAIS)の検討状況や米国再保険担保規制改革の動向、サイバー保険の現状と課題などについて意見交換したとし、同協会としての今後の要望・提言活動に生かしていく考えを示した。