2018.10.29 損保料率機構 自動車保険の参考純率変更 2020年から 自家用普通・小型乗用車「型式別料率クラス」細分化

 損害保険料率算出機構(損保料率機構)は、「損害保険料率算出団体に関する法律」(料団法)第9条第1項後段の規定に基づき、9月26日付で自動車保険参考純率の変更に関する届け出を金融庁長官に行い、10月23日に料団法第8条の規定に適合している旨の通知を受領した。2020年1月1日以降、自動車保険参考純率における「型式別料率クラス」を変更し、自家用普通・小型乗用車のクラス数を現行の9クラスから17クラスに細分化する他、自家用軽四輪乗用車にも料率クラス制度を導入する。

 今回の改定は、型式間のリスク較差をより適切に保険料に反映させることを目的としたもの。
 昨今、安全運転サポート車(サポカー)などに見られるように、先進安全自動車(ASV)技術が進展している。自動車保険の参考純率では、こうした技術に対するリスク評価を「型式別料率クラス」において行っており、すでに同制度を導入している自家用普通・小型乗用車については、現行のクラス数をさらに細分化することで、型式間のリスク較差をより適切に保険料に反映できるようにする。
 また、これまで「型式別料率クラス」を導入していなかった自家用軽四輪乗用車については、同制度を導入することで、型式間のリスク較差を保険料に反映できるようにする。
 この背景には、自家用軽四輪乗用車の普及が進むとともに(保有車両数総計中の自家用軽四輪乗用車の構成比は、07年20.3%から17年27.0%と上昇)、自動車ごとの特性(形状・構造・装備・性能)も多様化しているため、型式別の保険実績にも差が見られるようになったことが挙げられる。
 自家用普通.小型乗用車における「型式別料率クラス」について、現行の各クラスの間にもう一つクラスを設けることで現行の9クラスから17クラスに細分化し、各クラス間の保険料率の較差(1.2倍)は√1.2倍(約1.1倍)に変更する。
 図表の通り、改定後における保険料の最も安いクラスと最も高いクラスの保険料率の較差(約4.3倍)は、現行と変わらない。現行のクラス1~9は、それぞれ改定後の奇数クラスに相当する(現行クラス1→改定後クラス1、現行クラス2→改定後クラス3、以降同様)。
 同機構では、各型式の直近のリスク実態と、適用しているクラスが見合っているかどうかを確認して見直す「クラス見直し」を毎年1月に行っている。リスク実態と適用しているクラスが見合っている場合にはクラスの移動はなく、両者が見合っていない場合にはクラスが移動する仕組みで、現行の仕組みでは、リスクが低い場合には「マイナス1」、リスクが高い場合には「プラス1」、クラスを移動することとしている。
 今回の改定でクラスが細分化されることに伴い、リスクが低い場合にはその度合いにより「マイナス2」または「マイナス1」、リスクが高い場合にはその度合いにより「プラス2」または「プラス1」、クラスを移動することとする。ただし、より早期にリスクに見合った保険料とするため、今回の改定により、発売後約3年が経過した型式においては、リスクが低い場合にはその度合いにより「マイナス2」よりも大きくクラスを移動することとする。
 なお、改定後の「マイナス2」の保険料率の減少幅は、現行の「マイナス1」の保険料率の減少幅と同等になり、改定後の「プラス2」の保険料率の増加幅は、現行の「プラス1」の保険料率の増加幅と同等になる。 自家用軽四輪乗用車への型式別料率クラスの導入については、従来、全型式一律の保険料率を適用していたところ、補償内容(対人賠償責任保険、対物賠償責任保険、搭乗者傷害保険、車両保険)ごとに「型式別料率クラス」を導入し、型式間のリスク較差を保険料に反映することになった。同制度導入に伴う保険料の急激な上昇を抑える観点から、区分の数はクラス1~3の3段階としている。
 併せて、クラス制度導入後は、保険実績の蓄積が十分な型式(発売後約3年が経過した型式)における衝突被害軽減ブレーキ(AEB)によるリスク軽減効果は、「型式別料率クラス」により評価することとなる。このため、AEB装着車に対する保険料割引(9%割引)の適用対象を、現行の「型式の発売時期を問わず、全ての型式(全型式)」から、自家用普通・小型乗用車と同じ「発売後約3年以内の型式」に変更する。