2018.08.21 かんぽ生命 18年度第1四半期決算 四半期純利益が大幅増

かんぽ生命が8月10日に発表した2018年度第1四半期決算によると、四半期純利益は340億円と前年同期比41.1%の増益となり、通期業績予想比で38.7%と順調な進捗(しんちょく)となった。個人保険の新契約年換算保険料は主に保障性商品へのシフトにより、同9.5%減の946億円となったものの、第三分野の新契約年換算保険料は同28%増の170億円と、前期に続いて第1四半期としては過去最高の水準となった。個人保険の保有契約年換算保険料は前期末比0.7%減の4兆8239億円だった。第三分野の保有契約年換算保険料は同0.4%増の7540億円となり、前期に続き、増加基調に転じている。超低金利環境の継続を受け、収益追求資産(外国証券・国内株式等)への投資を9兆8308億円(総資産の13.1%)まで拡大した。

 個人保険の新契約件数は前年同期比2.4%減の45万件となった。商品別では、保険料改定の影響により、貯蓄性の高い商品の占率が減少。普通養老保険は12万件(占率:27.5%、前年同期実績14万件)、特別終身保険は2万件(占率:6%、前年同期実績3万件)、学資保険は3万件(占率:7.1%、前年同期実績3万件)となった。
 一方、保障ニーズを捉えた営業推進により、保障性の高い商品の占率が約6割となり、増加傾向が継続した。特別養老保険が10万件(占率:22.2%、前年同期実績8万件)、普通終身保険(定額型)が6万件(占率:13.7%、前年同期実績8万件)、普通終身保険(倍型)が10万件(占率:23.3%、前年同期実績7万件)となった。
 個人保険の保有契約件数は新旧区分合算で、前期末比0.9%減少し、3012万件となった。商品別に見ると、養老保険は1237万件(占率:41.1%、前期末実績1257万件)、終身保険は1298万件(占率:43.1%、前期末実績1296万件)、学資保険は462万件(占率:15.4%、前期末実績472万件)だった。
 連結経常収益は前年同期比1348億円減の1兆9786億円で業績予想比26.1%だった。このうち、保険料等収入は同1088億円減の1兆148億円、資産運用収益は同137億円減の3076億円、責任準備金戻入額は同190億円減の6213億円となった。
 経常費用は同1269億円減の1兆9034億円で、このうち保険金等支払金は同1356億円減の1兆7150億円、資産運用費用は同185億円増の348億円、事業費は同58億円減の1250億円だった。事業費の約7割を占める日本郵便へ支払う委託手数料は新契約の減少により、同62億円減の882億円となった。委託手数料のうち、契約獲得実績に応じて支払う新契約手数料は同52億円減の386億円、保全・支払業務等に応じて支払う維持・集金手数料は同11億円減の496億円だった。
 経常利益は同79億円減の752億円で、業績予想比34.2%、親会社株主に帰属する四半期純利益は同99億円増の340億円で業績予想比38.7%と増益を確保した。総資産は前期末比1兆8729億円減の74兆9583億円、純資産は同361億円増の2兆392億円となった。
 資産運用については、超低金利環境の継続を受け、運用資産の多様化を進めてきた結果、株式・外国債券などの収益追求資産の残高は9兆8308億円となり、総資産比で13.1%まで拡大した。平均予定利率は0.01%、利子利回りは0.03%低下し、101億円の順ざやを確保した。また、ヘッジ付外債の残高が増加したことに伴い、金融派生商品費用等のキャピタル損益は156億円の損失となった。
 有価証券の時価及び含み損益は、総資産の減少に伴い、満期保有目的及び責任準備金対応で保有する債券の含み益の合計は、前期末比やや減少し、7兆1763億円となった。その他有価証券の含み益は、外国証券、金銭信託の含み益が増加したことから前期末比増加し、6174億円となった。有価証券全体の含み益は7兆7938億円と前期末からやや増加した。
 健全性の状況については、経営環境の変化に伴うリスクに備え、将来にわたり健全で安定的な経営を確保するため、危険準備金2兆776億円、価格変動準備金9170億円を積み立てている。将来の逆ざや等を補う目的で積み立てている追加責任準備金は5兆9171億円となっている。連結ソルベンシー・マージン比率は、前年度末比6.8ポイント上昇し、1138.6%と引き続き高い健全性を維持している。