2018.07.19 明治安田生命 第71回定時総代会、健康増進で「新たな価値」
明治安田生命は7月3日、東京都港区の「ザ・プリンスパークタワー東京」で第71回定時総代会を開催した。委任状も含め221人の総代が出席し、報告事項2件、決議事項4議案を全て承認・可決した。可決された2017年度剰余金処分案には剰余金処分額を2401億円とし、このうち1857億円(前年比159億円増)を社員配当(契約者)準備金として繰り入れる内容が含まれている。また、総代会で根岸秋男社長は、先ごろ立ち上げた「健康増進にかかるプロジェクトによる新たな価値の提供」について語った。
総代会の冒頭、根岸社長は「大阪北部地震の被災者に対してお見舞い申し上げます。被災地のお客さまに対し保険料の払い込み猶予期間を最長6カ月に延長することやお支払手続きの書類の一部省略等の対応を取ることを公表しました」と述べ、次の通り報告した。
説明事項として中期経営計画「MYイノベーション2020」の17年度進捗(しんちょく)状況の報告では、七つの重点方針と11項目の改革を進めてきたが、12番目の項目として、「システム開発態勢改革」を加えた。また、重点方針の成長戦略である「お客さま数の拡大」では、アドバイザー(営業職員)等チャネルで16年度対比14万人増加して694万人、法人チャネルでは同6万人増加し485万人を記録した。さらに、重点方針の2番目に掲げている「新たなマーケットへの取り組み」では、個人営業、法人営業の改革に「健康増進プロジェクトの創設・推進」がプラスされた。
中期経営計画のKPI(指標)では、企業価値(EEV)は前年度に比べ1201億円増加し4兆8333億円となったが、貯蓄性商品の解約率など、同社の制御が困難な変動による影響部分を上乗せした場合、2273億円増加し4兆9405億円となった。
企業ビジョン検証指標では、お客さま満足度、企業好感度ともに改善を示した。ただ、従業員意識調査(会社の総合的魅力)については、職員では上昇し、アドバイザーでは低下するといった結果も出た。品質確認指標の継続率はほぼ前年と同水準で推移し、解約・失効・減額率は若干低下し改善を示した。苦情発生状況では前年の4万6082件から4万98件と大幅に減少した。
報告の中盤で根岸社長は「従来の保険商品、サービスの枠を超えて、個人、企業、団体のお客さま、地域社会、当社従業員の継続的な健康増進を支援することを目的とした『健康増進プロジェクト』を立ち上げ具体的な検討に入った。今までの病気になったときや万一の保障に関するコンサルティングに加え、新たなサービス、アクションなどで、アドバイザー等が直接お客さまに働き掛ける」と述べた。
さらに「日常的な運動と定期的な検診を二つの柱とし、①加入後も毎年の健康診断などの結果に応じてメリットを提供する商品②病気の予防、早期発見のためのプロセスを支援するサービス③未加入者を含め地域社会のお客さまを対象とするアクション―の三分野で、新たな価値を提供していく。社会的課題である社会保障費の抑制や健康寿命の延伸に貢献し、併せて将来の当社収益の向上に備える」との内容を明らかにした。
また、「総代の皆さまとのコミュニケーションの機会を拡充することを狙いとして当社HP内に、総代情報サイトを創設した。総代の役割や当社経営情報などの情報提供機能に加え経営に関するご意見、ご要望を申し出できる機能も用意しているのでぜひ利用いただきたい」と要望した。
17年度決算についての報告によると、単体・グループとも過去最高益を記録した。外貨建て保険やスタンコープ社の業績貢献等により増収した他、単体は外国公社債の積み増し等による利息および配当金等収入の増加が利差益拡大に貢献した。連結ソルベンシー・マージン比率は900%超を確保するなど「引き続き高い健全性を維持」している。
基礎利益は5467億円で過去最高益を計上した。キャピタル損益、臨時損益の両方のマイナス分を差し引きし、経常利益は3683億円となった。そのうち価格変動準備金繰り入れ、法人税・住民税等を引き、当期未処分剰余金は2395億円となり、前年度に比べ23億円の増加となった。これらを社員配当準備金繰入額1857億円、基金償却準備金繰入額520億円として処分するとした。
総代からは①経営方針②総代会・お客さま懇談会③個人資産運用のアドバイス④顧問についての開示⑤取締役会、委員会⑥国内営業⑦海外保険事業⑧お客さまサービス⑨明治安田生命カード⑩資産運用―など22人から37件の質問・意見・要望があり、30件に集約して、それぞれ担当役員が、丁寧に回答した。
総代会の所要時間は約2時間。