2017.06.26 太陽生命 認知症治療保険22万件突破、商品とサービス、一体で提供

 今年6月、太陽生命が2016年に発売した認知症治療保険(「ひまわり認知症治療保険」「認知症治療保険」)の販売件数が発売から15カ月余りで22万件を超えた。「ひまわり認知症治療保険」は簡単な告知で加入できる「選択緩和型」の商品で、シニア世代に多い白内障や熱中症、骨折なども幅広く保障する点が受け入れられ、60代から70代の女性を中心に販売が拡大している。また、同商品の販売に伴って16年4月にスタートした請求手続きなどをサポートする「かけつけ隊サービス」を併せて提供するスタイルが顧客であるシニア世代はもちろん、外部団体からも高い評価を受けている。

 厚生労働省は15年1月、「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」の中で、認知症を患う人の数が25年には700万人を超えるとの推計値を発表した。これは65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症に罹患(りかん)する計算だ。
 同リポートが発表された翌年3月、「ひまわり認知症治療保険」は産声を上げた。時宜にかなった商品性により、発売直後から販売件数は急激に増加。発売から1年を過ぎた現在も着実に実績を伸ばし続けている。被保険者の半数以上を70歳以上のシニアが占めており、男女比を見ると男性が29%なのに対して女性は71%と70歳以上の女性に特に受け入れられていることが分かる。
 また、商品の提供に合わせて開始した給付金の請求手続きをサポートする「かけつけ隊サービス」は、支払い手続きの専門知識を有する全国の支社の内務員が顧客の元に直接訪問するというもの。専用の社用車を全支社に配置し、ひと目で同社社員であることが分かるよう、内務員の制服も制作した。サービス内容についても、シニアの契約者が戸惑うことの多い給付金請求手続きの他、「診断書の取得代行」や「請求書類作成の代筆」など順次拡充し、利用件数は2万5000件を超えた。
 商品とサービスを一体で提供することにより、顧客に安心感を与えることを目的とした同取り組みは、超高齢社会の到来に向けて顧客ニーズを的確に捉えた商品・きめ細やかなサービス展開であると高く評価され、今年、日本マーケティング協会が主催する「第9回日本マーケティング大賞」で金融機関として初めて奨励賞も獲得した。
 認知症治療保険の発売は多くのメディアでセンセーショナルに取り上げられ、同社のブランディングにも大きく寄与しているが、中嶋毅営業企画部長は「当社にとって同商品の開発は14年に立ち上げたベスト・シニア・サービス(BSS)の延長線上にあるもの。かけつけ隊についても、サービス開始に先駆けて全社を挙げて業務の効率化に取り組み、圧縮できた時間を振り向けるようにしている」とあくまで冷静だ。
 BSSとは、70歳以上のシニアの顧客の契約時の家族同席や、営業職員の携帯端末を利用したテレビ電話による契約確認、加入後の年1回以上の訪問などを通じてシニアの顧客をサポートする取り組みの総称。その背景には「シニアマーケットでのトップブランド構築」という大きなビジョンがある。このビジョン実現のための一手として、同社では14年10月から「保険組曲Best医療保障系商品」の加入年齢範囲を75歳から85歳に拡大している。
 さらに、16年6月からは「太陽の元気プロジェクト」として、従業員・顧客・社会を元気にする社内横断的な取り組みも開始した。この中で、顧客の元気をサポートする施策として、歩行速度から将来の認知症・MCI(軽度認知障害)のリスク予兆を感知して通知する国内初のスマートフォンアプリ「認知症予防アプリ」をリリースするなど、シニアの健康について多様な側面からアプローチを行っている。
 大きなビジョンの下、商品とサービスの両面から着実に歩みを進めてきた結果、16年度の保障性商品の営業実績は年換算保険料ベースで前年比110%を記録した。中嶋氏は「保障性商品による10%の伸展には大きな意義がある。これはシニア世代の保険に対するニーズの表れであり、当社はその期待に応えて安心を提供していく」と力を込める。
 同社では今後もシニア層の拡大に合わせて、社会に求められる商品やサービスの提供に取り組んでいく方針だ。