2024.03.27 損保協会 独禁法遵守指針別冊を新設 「独占禁止法上の留意点」公表 行動規範にも「独占禁止法」記載追加

損保協会は3月6日、保険料調整行為にかかる業界としての再発防止の取り組みとして、昨年12月15日に発表のとおり、「損害保険会社の独占禁止法遵守のための指針」の別冊「保険契約引受にかかる独占禁止法上の留意点」(以下、留意点)を新設するとともに、啓発活動(教育・研修)の強化を行うと発表した。また、3月21日に同協会ホームページ掲載の「行動規範」を改定し、「(3)法令等遵守(コンプライアンス)に関する指針」に「特に、独占禁止法に関し、遵守体制を整備し、公正かつ自由な競争を徹底する」の記載を追加するなど、独占禁止法遵守に関する記載の追加を行った。

【留意点の新設】
新設した「保険契約引受にかかる独占禁止法上の留意点」は、保険会社の自主ルール策定・見直しに活用しやすくするため、「損害保険会社の独占禁止法遵守のための指針」の保険契約引受の内容について、より具体的に解説したもの。
主なポイントとして、▽保険契約引受時における競合他社との接触、情報交換に関する留意点を示した▽共同保険の制度特性を解説のうえ、共同保険特有の留意点を示した▽契約関係者の属性、自社単独契約・共同保険契約の類型別の留意点を示した▽保険会社の各部門別に特有の留意点を示した▽日常の社員活動時において、会議や各種イベントに参加する場合の留意点を示した▽保険契約引受時に起こる可能性のある具体的な独禁法違反事例を示した―ことを挙げている。
留意点の「はじめに」では、その目的について、「『損害保険会社の独占禁止法遵守のための指針』の別添として、会員会社がそれぞれ定める自社における独占禁止法遵守のためのルールの前提となる基本的な考え方や、会員会社の営業部門担当者の各状況における留意点を示すことを目的とするものである。なお、2024年3月現在、関係保険会社では、保険料調整事案に関する当局対応、再発防止策の検討・実施等を継続しており、今後、保険契約引受業務等における独占禁止法上の課題や留意すべき点が新たに明らかとなれば、内容を更新していくこととする」と説明するとともに、「会員会社は、本資料を活用し、保険契約引受に向けた各業務プロセスにおける独占禁止法遵守にかかる社内ルールの充実化を図ることが期待される。また、社内ルールの内容は独占禁止法の趣旨、内容を理解させ、実際に行動するときの手引きとなるものでなければならない。策定したルールは配付されるのみでなく、継続的な研修等により定着させることが必要である。そのうえで、個別具体的な対応において疑義が生じた場合は営業部門等現場から独占禁止法コンプライアンスを担当する部門への相談がなされる体制を整備することが求められる。さらに、必要に応じ、公正取引委員会や弁護士等の専門的な見地からの助言を得て、事業活動の適切性を確保していくことが期待される」としている。
同資料中の「1 保険契約引受時の留意点」では、「(1)基本的な考え方」「(2)共同保険の場合の留意点」に続き、「(3)契約関係者との接触における留意点」で、自社単独契約および共同保険契約のそれぞれの場合の留意点について、①情報の収集・共有②保険契約者との関わり方③代理店との関わり方④他社との関わり方―の4点から説明している。
③の「代理店との関わり方」では、共同保険契約について、「非幹事契約固有の留意事項」として、「非幹事保険会社である自社が、代理店から幹事保険会社の保険料等の水準を聞き、当該情報を参照して、自社保険料の算定や引受可否に関する判断等をする行為は、たとえ直接的に幹事保険会社とコミュニケーションを取らず、具体的な金額を聞いていなかったとしても、代理店を通じて保険会社間で意思の連絡があったものとして独占禁止法上問題となる可能性がある」と記載。また、④の「他社との関わり方」では、共同保険契約について、「契約締結済の共同保険の引受保険会社の会合等で、幹事保険会社から、更改後の次期契約について、見積り金額の提示と非幹事維持の依頼を受けた際、一切発言しなかった(肯定も否定もしていない)としても、否定しなかったという行為自体が、更改後の次期契約について幹事保険会社受注または保険料に関する競争を実質的に制限したとみなされる(独占禁止法上問題となる)可能性がある」とした。
参考資料「保険契約引受に関する独占禁止法違反想定事例集」では、主として損害保険会社が保険契約引受に関する対応を行う上で遵守しなければならない独占禁止法の基本ルールについて、以下の項目で具体的事例を提示しポイントをまとめている。
1.〈事例〉競争入札(相見積りも含む)のケース:①競争入札に際し、他社と事前に打合せを実施②競争入札に際し、他社に提案の真偽を確認③他社との会合における不適切な情報交換等に対して発言もせず、見積りも提出しなかった④既にシェアや幹事保険会社が決まっている場合の不適切な情報の共有
2.〈事例〉共同保険のケース(相見積りの場合、競争入札の場合共通):①契約の更改において、幹事保険会社が非幹事保険会社に自社の保険料水準等を事前に連携②契約の更改において、非幹事保険会社が幹事保険会社に自社の保険料水準等を事前に連携
3.〈事例〉その他のケース:①代理店から幹事保険会社の保険料水準を提示され、非幹事参入が可能か、打診された

【啓発活動(教育・研修)の強化】
同協会では前記留意点の新設に加え、業界としての再発防止の取り組みの実効性を高めるための啓発活動を実施する。
代理店(募集人)向けとして、保険会社が代理店を指導する際に活用している「募集コンプライアンスガイド」を改定し、保険募集における独占禁止法上の留意点を追記した(3月26日付既報)。また、保険会社・代理店(募集人)向けとして、独占禁止法の基礎知識をわかりやすく解説する動画コンテンツを制作し、募集人向けの教育支援サイトに掲載した。