2024.03.26 損保協会 24年度に自賠責共同システム運用へ 非対面・キャッシュレスに対応 損調業務でペーパーレスシステム構築も

損保協会は2月27日、自賠責保険に関する顧客利便性向上と損保業界の業務効率化を目的に、①引受・契約管理業務②損害調査業務―でそれぞれ進めてきたシステム構築の検討の取り組み状況について発表した。

自賠責保険の契約引受・契約管理における損保業界共同のシステム(以下、共同システム)については、2024年度の運用開始に向けて現在検討を進めている。現在の自賠責保険制度は「対面での手続き」「現金での保険料領収」が前提となっているが、キャッシュレス・ペーパーレスの普及や、コロナ禍で加速した非対面対応等「顧客のデジタル化ニーズ」を踏まえ、共同システムは業務効率化にもつながる取り組みとして、損保協会の中期基本計画の重点施策の一つとなっている。自賠責保険の契約を管理できる共同システムを新たに構築することで、「異動(主に車両の権利譲渡による名義変更や引っ越しによる住所変更の手続きなど)・解約の非対面手続き」「保険料払込みのキャッシュレス」の実現を目指す。
現状の手続きでは、「異動・解約の手続きを行うために来店が必要」「保険料の領収方法が現金に限られる」「代理店から保険会社への保険料精算業務が発生する」などの課題があった。共同システムのリリース後は、異動・解約手続きの非対面化(ウェブ手続き)、および保険料領収のキャッシュレス化(クレジットカード決済)が可能になる。
また、共同システムによる契約管理を可能にすることで、現在、各損保会社・共済が法令に基づき対応している関係機関への報告の効率化も目指している。
自賠責保険の損害調査業務・支払い業務のシステム化では、現状は、保険会社間で診断書、証明書等の請求関係書類に関して紙の原本を郵送し合うフローとなっている。これを各社の請求関係書類を電子化して共有し合い、調査・精算処理をペーパーレスで行うシステムの構築に着手し、保険会社の損害調査業務の一層のペーパーレス化・効率化を目指すとしている。
同協会では各システムの運用開始のめどが立ち次第、あらためて具体的な実施時期や内容を発表することにしている。「各システムの構築を実現するには一定のコストが生じるが、可能な限り低廉なものとなるよう十分に精査しながら開発を進めている。また、これらのシステムを活用した業務プロセスの改善によって、中長期的には保険会社等の業務効率の向上も期待される」とし、今後も顧客のさらなる利便性向上と損害保険業界、ひいては社会全体の効率化を目指し、同システムの活用を促進していくとしている。