2017.08.25 生保各社の17年度第1四半期決算 第三分野商品の販売伸展

 生保各社がこのほど発表した2017年度第1四半期決算によると、超低金利環境継続の影響を受けて、一時払の貯蓄性商品の予定利率引き下げや一部販売休止などを行った影響で各社で保険料等収入が前年同期実績を下回った。一方、医療保険・がん保険や外貨建て商品の販売に戦略的にシフトした効果が現れ、第三分野商品の販売が伸びており、営業業績は想定通りの水準となっているようだ。〈4~6面に生保協会会員各社の業績詳細を掲載〉

 かんぽ生命は四半期純利益が前年同期比24.3%増の241億円で通期予想に対して進捗(しんちょく)率は28.1%となった。個人保険の新契約年換算保険料は、17年4月の保険料改定の影響等で同27.4%減の1045億円と前年同期実績を下回ったが、保障性商品を重視した営業の取り組みで、第三分野の新契約年換算保険料は同9.7%増の132億円と第1四半期としては過去最高を記録した。個人保険の保有契約年換算保険料は前年度末比0.7%減の4兆9463億円とやや減少。第三分野の保有契約年換算保険料は7347億円と前年度末並み水準を維持した。
 日本生命の保険料等収入は三井生命の増収やMLC Limited(MLC)の連結反映があったものの、日本生命単体での前年同期の大型団体契約獲得の反動減等を主因に減収となった。基礎利益は三井生命や海外生保会社の増益や、MLCの連結反映があったが、日本生命単体での減少等を主因に減益となった。ただし、基礎利益の計上ルール変更の影響を除けば単体・連結共に増益。国内の個人保険・個人年金保険については、新契約業績が年換算保険料で増加し、件数、保障額等で減少した。保有契約業績は件数、年換算保険料で増加、保障額等は減少した。
 明治安田生命はグループ保険料(連結損益計算書上の保険料等収入)は明治安田生命単体の減収等により、7164億円と前年同期比7.8%減少した。明治安田生命単体は一時払商品の一部販売休止や予定利率引き下げ等によって、同14.4%減の6411億円と減収になったものの、平準払商品の保険料等収入が前年同期を上回り推移する等、計画通り進捗した。グループ基礎利益は明治安田生命単体の増益、スタンコープ社の利益貢献額の増加等により、同19.4%増の1037億円と大幅な伸びを示した。明治安田生命単体の基礎利益は、前年度下半期に外国公社債の残高を積み増したこと等により、利息および配当金等収入が増加したため、同15.9%増の1017億円となった。
 第一生命ホールディングスの連結経常収益は前年同期比5%減の1兆5925億円となった。第一生命で16年8月に一時払終身保険の販売を停止したことによる一時払保険料の減少等が主な要因。第一生命の保障性商品や第一フロンティア生命の貯蓄性商品の販売増によって、全体として営業業績は想定通りの水準となった。連結経常利益は同17%減の981億円で、第一生命が前年同期に計上したヘッジに関わる資産運用益が剥落した影響等によって減少したものの、第一フロンティア生命の黒字回復によって一部相殺した。親会社株主に帰属する四半期純利益(連結純利益)は同48%増の719億円となった。当四半期にジャナス・ヘンダーソン合併に係る株式交換益を計上したことや、第一生命で不動産に係る減損損失が前年同期との比較で少なかったことなどで、連結純利益の通期予想に対する進捗率は40%となった。
 住友生命は連結保険料等収入が前年同期比20.3%減の6293億円だったが、グループ基礎利益(住友生命の変額年金保険に係る標準責任準備金等の影響を除いたベース)は同15.7%と増益した。16年2月に完全子会社化した米国シメトラ社がグループ業績に大きく寄与したことから、グループの新契約年換算保険料は同9.1%増加して684億円、保有契約年換算保険料は前年度末比0.2%増加して、2兆7452億円だった。
 ジブラルタ生命は17年4月に販売を開始した「米国ドル建介護保障付終身保険(低解約返戻金型)」等の販売が好調に推移し、個人保険と個人年金保険の合計(個人保険)の新契約高は、前年同期比2.4%増の9415億円、個人保険新契約年換算保険料は同12.7%減の193億円となった。個人保険の保有契約高は前年度末比0.5%増の36兆1418億円、個人保険保有契約年換算保険料は同0.3%増の9406億円、総資産は同0.7%増の11兆4477億円とそれぞれ増加した。基礎利益は、利息および配当金等収入の増加等に伴い、前年同期比11.7%増の342億円となった。保険料等収入は同16.2%減の2840億円、四半期純利益は同26.2%減の154億円だった。
 アフラックは個人保険分野の新契約件数が前年同期比2%増の40万1350件、新契約年換算保険料が同4.5%減の226億円となった。新契約年換算保険料のうち第三分野は同10.4%増の213億円だった。保有契約件数は前年度末比0.3%増の2427万3754件、保有契約年換算保険料は同0.3%増の1兆4100億円で、このうち第三分野は同0.4%増の1兆589億円だった。保険料等収入は前年同期比1.7%減の3608億円、四半期純利益は同17.4%増の432億円、基礎利益は同16.2%増の711億円となった。
 メットライフ生命の新契約年換算保険料は前年同期比3.2%減の243億円。主に日本の低金利環境を踏まえた一部の円建て商品の販売を抑制して医療保険・がん保険や外貨建て商品の販売にフォーカスするという戦略的なシフトの実施に伴い、前年同期実績を下回った。保険料収入は外貨建て商品の販売と保有契約が堅調に増加したことで同6.3%増の3673億円となった。保有契約件数は前年度末比0.6%増の885万件だった。基礎利益は前年同期比395.5%の大幅な増加を達成し、234億円となった。保険料収入の増加、効果的な事業費管理やリスク管理を実施した成果、金利や為替変動等により責任準備金の積み立て負担が前期と比べ軽減したことによる。
 ソニー生命は新契約年換算保険料が前年同期比21.2%減の161億円で、このうち第三分野は同25.9%減の31億円だった。保有契約年換算保険料は前年度末比0.7%増の8269億円、第三分野は同0.7%増の1887億円となった。保険料等収入は前年同期比横ばいの2411億円、四半期純利益は同39.1%減の101億円、基礎利益は同77.7%増の249億円だった。
 T&D保険グループの新契約年換算保険料は266億円で前年同期から20.6%減少した。主に貯蓄性商品の販売停止.抑制および料率改定の影響等による。太陽生命の認知症治療保険、大同生命の就業不能保障商品等の第三分野の主力商品は堅調に推移し、T&Dフィナンシャル生命は一時払商品・平準払商品共に大幅に伸展。全体の新契約業績は概ね計画通り推移している。経常収益は保険料等収入の減少等によって同6.3%減の4572億円となった。四半期純利益はヘッジコストの増加等による経常利益の減少等を要因とし194億円と同22%減少した。なお、通期業績予想に対する進捗率は26.3%と概ね計画通りとなっている。
 フコク生命グループの保険料等収入は富国生命とフコクしんらい生命の合算で前年同期比19.2%減の1981億円となった。基礎利益は同11.7%増の217億円と前年同期実績を上回った。
 朝日生命は保険料等収入が前年同期比1.7%減の935億円となった。基礎利益は同183%増の55億円と大幅な伸びを示した。