2017.07.13 日本生命 第70回総代会、長期的な経営環境の変化に対応、グループ一層の成長図る
日本生命は7月4日、第70回定時総代会を大阪市のリーガロイヤルホテルで開催した。筒井義信社長は、2017年度までの中期経営計画「全・進」の経営目標は1年前倒しでおおむね達成したとしながらも、「策定時とは経営環境が抜本的に変化した。新たな戦略の構築と仕切り直しが必要」とし、同計画をステージアップした「全・進―next stage―」を発表。ERM推進・先端IT活用・人材育成を重要な経営基盤に位置付け、マイナス金利に打ち勝つための施策を実行していく方針を示した。また、三井生命との相互商品供給などを通じて、グループ全体の持続的な成長を図る。
筒井社長は16年度の決算報告の中で、個人保険については歴史的な低金利によって一時払商品などの販売が減少したものの、シニア向け「Gran Age」や女性向け「ChouChou!」、経営者向けの逓増定期保険の積極的な販売が年換算保険料などの増加に寄与したと報告。保有契約も年換算保険料、件数共に増加し、保障額は減少幅を改善した他、新商品の投入やアフターフォローなどで顧客数(被保険者数等)は目標を上回る1181万人となった。
また、事務の見直しやシステム領域でのコスト効率化が奏功し2年間で100億円の効率化を実現したこと、幅広いリスクへの備えとして危険準備金や価格変動準備金を積み増したことで自己資本が増加したことを報告した。ソルベンシー・マージン比率については前年度から低下したが、200%を大きく超える896.0%を維持。連結業績は、三井生命とオーストラリアのMLCの業績が反映されたものの、単体の保険料等収入などの減少による影響で減収・減益となったと述べた。一方、「中長期の経営戦略上の重要な子会社等11社の業績拡大を目指す」と強調。三井生命とのシナジーを発揮すべく相互商品供給の第1弾として17年1月に三井生命の営業職員チャネルで日本生命の逓増定期保険の取り扱いを始め、10月からは第2弾として三井生命の外貨建て商品「一時払外貨建養老保険 ドリームロード」を日本生命の営業職員チャネルへ投入する。海外子会社とのシナジー発揮やアセットマネジメントにおける預かり資産残高が10兆円を突破したとし、筒井社長は、「これらの取り組みを軸としてグループ事業純利益は432億円と『全・進』の経営目標300億円を1年前倒しで達成した」と述べた。
続いて、「マイナス金利政策以後の経営環境変化に対応するための新たな戦略の構築と仕切り直しが必要」との考えの下、前計画を1年切り上げ17年から20年までの4カ年計画「全・進―next stage―」を説明した。「マイナス金利に打ち勝つための軌道修正と戦略を加速する。4カ年よりも長期的な環境変化も見据えた内容」と述べ、これまで以上にリーディングカンパニーとしてのプレゼンスを盤石に確立することが必要と強調。そのために①超低金利下での収益性向上②グループの社会的役割の拡大③グループ事業での着実な収益拡大―に取り組むと同時に、それを支えるERMの推進・先端IT活用・人材育成の3領域を重要な経営基盤に位置付けるとした。①については現行路線を格段に加速させると述べ、②については「保険+α」の価値提供が重要との考えの下、企業主導型保育所の全国展開や国内生保初の健康増進コンサルティングサービスなどを提供していく。さらに郵便局ネットワークを活用した遠隔での対面サービスの実証実験を開始し顧客との接点拡充を図っていく考えを示した。③では既存出資先の着実なシナジー創出や新規出資先の開拓に取り組む。経営基盤については、「ERMの推進、先端ITの活用、人材育成―を重要な経営基盤に位置付けて展開していく」と強調し、「グループの総力を結集して立ち向かっていく」と決意を示した。