2023.11.16 日本生命 農水省・環境省と「木材利用促進協定」締結、全国で100物件の木造拠点建築へ すべてZEBReadyまたはZEB水準で
日本生命は10月17日、脱炭素社会の実現に向け、農林水産省・環境省と「建築物木材利用促進協定」を締結した。このような協定を国と締結するのは、金融機関初(10月現在、同社調べ)。協定締結は農林水産省で行われ、農林水産省の青山豊久林野庁長官、環境省の神谷洋一大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官、日本生命の藤本宣人代表取締役副社長執行役員が出席した。
協定の名称は、「日本生命における木材利用拡大に関する建築物木材利用促進協定」で、対象区域は全国、有効期間は締結の日から令和13年(2031年)3月31日までとなっている。
同協定における日本生命の「建築物の木材の利用に関する構想」では、▽同社営業拠点の整備にあたり国産木材を積極的に活用し、建築物の木造化および木質化を地域社会に建物意匠面で訴求することにより、山村の活性化やネイチャーポジティブに貢献する▽建築物の脱炭素化の推進により、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献する▽合法伐採木材等の利用促進により、SDGsに貢献する―としている。
この構想の達成に向けた取り組みとしては、今後新築する営業拠点について、▽全都道府県に1物件以上を木造で建築し、31年3月までに全国で100物件、おおむね4800立法メートルの木材を利用する▽外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備え、「ZEBReady」(注1)水準の建築物とする▽物理的制約等がない場合は、木造拠点から優先的に太陽光発電設備を設置し創電することにより「ZEB」(注2)水準の建築物とする―を目指し、木材利用の意義やメリットを積極的に発信していくとしている。
日本生命では、老朽化した営業拠点の建て替えを推進しており、これまで原則「ZEB Ready」水準での建て替えを実施し、9月末までに120物件を竣工しているという。また、22年9月には「ZEB」認証を取得した木造の環境配慮型営業拠点(刈谷支社知立営業部)を新設するなど、CO2排出量削減に向けて取り組んでいる。このような背景を踏まえ、同社の「建築物の木材の利用に関する構想」について農林水産省・環境省と連携・協力するため今回の協定を締結した。
同社ではサステナビリティ経営を推進しており、重点的に取り組む重要課題を「人」「地域社会」「地球環境」としている。今回の取り組みでは、国と連携して、国産木材を積極的に活用し地域社会に訴求することにより、森林資源の循環利用による山村の活性化やネイチャーポジティブに貢献することを目指す。
また、同社では、事業活動領域でのCO2排出量を30年度に51%以上削減(13年度比)、50年度にネットゼロとすることを目指している。木造拠点は建築時のCO2排出量を鉄骨造拠点と比し約3割程度削減することができ、この取り組みを通じ、カーボンニュートラルな社会の実現に向け、さらなる環境負荷の低減を進めていくとしている。
協定締結による同社のメリットとしては、①木質感を出した意匠を訴求することで地域との密着を強めていく②カーボンニュートラルな社会の実現に向け、さらなる環境負荷の低減を進める―の2点も挙げている。同社によると、国との協定締結は都道府県にまたがった取り組みが必要となり、施主では日本マクドナルドと良品計画のみが締結済で、日本生命は金融機関初となる見通しとのこと。
同社では今後、木材利用の意義やメリットについて自社ホームページやプレスリリース等で積極的に情報発信していくとしている。
(注1)再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減に適合した建築物。
(注2)大幅な省エネルギー化と再生可能エネルギーの導入で、年間の一次エネルギー消費量がゼロまたはマイナスの建築物。