2017.01.27 東京海上日動あんしん生命、就業不能保障を訴求

 東京海上日動あんしん生命は2016年11月、就業不能に関する保障を刷新した新商品「家計保障定期保険NEO 就業不能保障プラン」を発売した(注)。同社は、就業不能商品への女性契約の割合を高めようと、新商品発売1年前からプロジェクトチーム(PT)をスタート。12月7日からは、女性向けの新パンフレットを使った女性へのアプローチも開始している。本社メンバー11人による「女性PT」と女性営業担当者メンバー8人による「かがやきPT」による「相互で同じ目標に向かって協力し合う取り組み」が加速中だ。
 新商品開発と同時に拡販の施策を検討した同社では、就業不能系商品の男女別の契約率に着目した。同社商品全体の男女別の契約比率はほぼ半々だが、就業不能保障商品に関しては女性の比率が約20%と低い。そこで、「女性の契約を伸ばすことで拡販につなげられる」との仮説の下で実態の検証に取り組んだ。
 本社の「女性PT」は15年11月に営業企画部のメンバーを中心にスタートし、毎月1、2回の会議を開催してきた。一方、代理店を支援する北関東甲信越営業支援部の女性営業担当者8人で構成される「かがやきPT」は16年4月に発足。女性営業担当者が増えている同社では、「かがやきPT」で女性営業担当者のスキルやナレッジの共有を目的とした会議を実施しており、今回の新商品拡販については、共同で具体的な施策を検討した。
 本社の女性PTを主導する営業企画部企画グループの仲山涼子主任は「各種の調査資料や独自アンケートなどから、最新の状況が次々と浮かび上がった」と話す。例えば、女性の就業率は「M字カーブ」といわれるが、復職者が増加している昨今ではMのカーブが緩やかになっている(厚生労働省「2015年労働力調査」による)。また、生命保険文化センターの「平成27年度生命保険に関する全国実態調査」からは、「配偶者に対して今後増やしたいと思う生活保障準備項目」として「就業不能時の生活資金の準備」が上位に来ていることが分かった。「収入保障・就業不能分野における女性マーケットの現状」(同社が16年7月に実施したウェブアンケートで、20~59歳の就業可能年代の男女が回答)では、女性(500人超)のうち収入保障・就業不能保険を知らない人の割合は75%、加入してない理由では「提案されたことがない」が約23%、「保険料が高そう」が約38%だった。
 これらの調査結果に基づいて、PTでは「認知度を高めることで契約の伸展が見込める」と判断。「女性にとっての収入保障・就業不能保険の重要性」を理解してもらうことが必要との考えから、伝えるための方法を検討したメンバーは、「がんと女性の関係」や「女性の雇用形態別の継続就業の実態」にも着目した。
 具体的には、「がん患者のうちの3人に1人は就業可能年代(20~60歳)」「がん患者全体のうちの就業可能年齢の患者は女性の方が多い」「半数以上を非正規やアルバイトが占める女性の雇用形態では退職を余儀なくされる率が39%、正規雇用者でも20.7%」といった実情が分かり、女性にこそ備えが必要なのではないかと考えるに至った。一方で、今備えが必要と感じていない女性に、どのように伝えていけばよいかをメンバーで考え、ニーズ喚起にもつながる新パンフレット(人生を「旅行」に例えた「人生旅行プランニングBOOK」)を作成した。
 同パンフでは、「安全で楽しい旅のために今考えておきたいこと」として、①鍵が「ライフプラン」にあること②起こり得る「トラブル」をシミュレーションしておくべき③トラブルに「対策」を取り「輝く未来」を手に入れる―ことを推奨している。
 かがやきPTのリーダーで北関東甲信越営業支援部の杉山理恵副主任は「就業不能保険における課題は、顧客自身が就業不能時のことを具体的にイメージできていないこと、さらには女性に対する就業不能保険の提案手法が確立されていないことだと考える」と話す。そのため、募集人から女性の顧客に就業不能保険を提案してもらう切り口として、自身の就業不能時の保障の必要性を理解してもらうためのライフステージ別のトークスクリプトも作成した。
 パンフレットでは、女性に気付きを与えた後で「対策」として保険商品を案内。日常生活でのリスクや共働き世帯の住宅ローンへの対策として「家計保障定期保険NEO 就業不能保障プラン」を提案している。現在は、募集人向けに「女性の就業不能時の保障の重要性を伝えるための勉強会」を開催しており、今後は女性就労者の多い保育園や病院、企業での女性向けセミナーも展開していく予定。PTでは、「まずは女性の契約率30%以上を目指す」方針だ。
 (注)「家計保障定期保険NEO 就業不能保障プラン」は「家計保障定期保険NEO」に就業不能に関する特約を付帯した商品の総称。