2017.01.30 東京海上日動、FDCと連携し実証実験

 東京海上日動は1月24日、Planetway Corporation(本社:米国カリフォルニア州サンノゼ、注1)の非常にセキュリティーの高いデータ連携技術を活用することで、医療機関などにおけるブロックチェーン技術の活用に向けた実証事業を福岡地域戦略推進協議会(FDC、注2)と連携して実施すると発表した。
 ブロックチェーンは、決済や取引の自動化などさまざまな領域での活用が見込まれる技術として非常に高い注目を集めているが、ブロックチェーンにおける暗号化技術の利用は偽造・改ざんを防止するためのもので、取り扱うデータそのものは暗号化されていないことから、機密情報や個人情報などを扱う上で課題があるとされている。
 特に、保険業務で取り扱う契約内容や医療情報など、長期にわたって非常に高い秘匿性が求められる領域での活用に向けては、通常の暗号化での対応では不十分であり、新たな技術による課題克服が求められていた。
 東京海上日動では、エストニアの国民番号制度を支える非常に高いセキュリティー技術を適用したデータ連携基盤であるPlanetwayの「avenue―cross」(注3)と従来のブロックチェーン技術を合わせて活用することで、課題を克服し、新たな顧客価値の創出や革新的な業務効率化を実現することを目指す。
 具体的には、FDCの協力を得て福岡市域の医療機関と連携し、傷害保険金請求書に記載の医療機関に対し、ブロックチェーンを通じて入通院期間などの医療情報の提供を要求し、データ連携基盤を通じて医療情報などのデータを受領することで、医療情報に対するセキュリティーを確保しつつ、保険金支払い業務の簡略化、迅速化が可能かを検証する。
 同社では今後、実証事業の結果を踏まえ、保険業務で扱われる秘匿性の高いデータのやりとりへのブロックチェーン技術の活用を進めていくことで、保険に関連する事務プロセスを革新的に効率化するとともに、万が一の際の顧客への迅速な保険金支払いを実現していくという。
 また、将来的には、医療機関・介護事業者間の情報連携や海外とのデータ連携を活用した訪日外国人向け施策、スマートシティをはじめとした地方創生策など、保険分野以外のさまざまな領域での活用を進めていくことを目指す。
 (注1)グローバル通信、IoT、データの三つを事業の柱として、世界規模のビジネス展開を目指すため、2015年7月に設立。現在、世界200カ国で利用可能な通信サービスを提供しながら、IoTの新規事業創出に特化したプラットホームを開発中。
 (注2)福岡の新しい将来像を描き、地域の国際競争力を強化するために、成長戦略の策定から推進までを一貫して行う、産学官民一体のシンク&ドゥタンク。約140の企業・大学・行政などの会員で構成されており、福岡都市圏がビジネス交流・開発・営業拠点として「東アジアのビジネスハブ」となることを目指す。
 (注3)分散型データ連携を可能とするセキュリティーの高いデータインフラで、世界最先端の電子国家であるエストニアの国家インフラを支える技術を世界で初めて民間事業で活用する取り組み。