2023.09.08 第一生命 企業年金特別勘定特約で新商品、「マルチストラテジー総合口Ⅰ型」発売

第一生命は8月1日、確定給付企業年金向けの新商品「特別勘定特約マルチストラテジー総合口Ⅰ型」を10月から発売すると発表した。英国運用会社のジャナス・ヘンダーソン社のマルチ・ストラテジー戦略を採用し、安定的な絶対リターンを追求するオルタナティブ商品。

「マルチストラテジー総合口Ⅰ型」は、ジャナス・ヘンダーソン社のマルチ・ストラテジー戦略―「金融市場における価格の歪みを収益機会とする複数の戦略を組み合せることで安定的な絶対リターンを追求するオルタナティブ戦略」によって運用を行い、目標リターンは、中長期的に国内短期金利+7%(報酬等控除前)、目標リスクは4~8%(報酬等控除前)。ベンチマークの設定はない。
同戦略は「投資家の投資制限」「行動バイアス」「構造的非効率性」「資金フロー」から持続的にもたらされる金融市場における価格の歪みを収益機会とする複数の戦略を組み合わせることで安定的な絶対リターンを追求するもので、具体的には、互いに低相関な、市場環境にかかわらず収益を獲得することを目指すリスクオン戦略(転換社債裁定、イベントドリブン、株式マーケットニュートラル、プライスプレッシャー、リスクトランスファー、債券・通貨・コモディティ相対価値)と、市場ストレスが高まる局面での収益獲得を目指すリスクオフ戦略(プロテクション)を組み合わせることで、どのような市場環境においても安定的な絶対リターンの確保を目指すもの。この戦略はすでに欧州等での販売実績があり、10年以上のパフォーマンストラックを有する戦略となっているという。具体的なパフォーマンスとして、2011年12月末~23年3月末の期間における累積収益率が148.20%(円ヘッジ、円ベース、報酬等控除前)で、年率リターンが8.42%、年率リスクが4.27%―と示されている。
第一生命では「世界的にボラタイルな市場環境を背景に、株式や債券といった伝統資産から安定的に収益を獲得することが難しい中、年金ポートフォリオにおけるリターン・ドライバーの機能を求める顧客ニーズが高まっている。安定的な絶対リターンの獲得を目指す本商品は、国内の企業年金の顧客の要望に応えられるものと考える。今後も顧客の年金資産運用の一助となるような魅力的な商品提供に努めていく」としている。
なお、ジャナス・ヘンダーソン社のマルチ・ストラテジー戦略における「金融市場の価格の歪み」とは、「投資家の投資制限:投資契約に定められた投資制限により、資金の投資先が制限され、投資可能な金融商品と不可の金融商品の間に裁定取引の機会が発生する可能性」「行動バイアス:市場の過剰反応や無反応により、資産価格がファンダメンタル価値から乖離することがあり、投資家にとっての投資機会となる可能性」「構造的非効率性:金融商品や金融イベントの中には、その複雑さから誤って評価されるものがあり、このような非効率性が収益を生む機会となり得る」「資金フロー:資金フローはファンダメンタルズよりも早く金融市場の価格に影響する場合が多く、平均回帰の投資機会をもたらす可能性がある」―のこと。
また、上記の七つの運用戦略については、「転換社債裁定取引:転換社債のミスプライシングを投資機会とする戦略」「イベントドリブン:企業イベントや資本構造に関連する価格の非効率性を投資機会とする戦略」「株式マーケットニュートラル:セクター別の過去の利益、将来の予想利益を基に株価のバリュエーションの範囲を推定し、それとの乖離をミスプライシングとして投資機会とする戦略」「プライスプレッシャー:大量の売り/買いが出る流動性イベントで発生する価格の歪みを投資機会とする戦略」「リスクトランスファー:デリバティブ市場の需給の不均衡を投資機会とする戦略」「債券・通貨・コモディティ相対価値:債券・通貨・コモディティ市場での非効率性とミスプライシングを投資機会とする戦略」「プロテクション:市場ストレス時や他の運用戦略のパフォーマンスがマイナスとなる局面でプラスのリターンを生み出すことを目的としたリスク・ヘッジ戦略」―と説明されている。